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話題/2010年2月号

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行列のできる学生の作った菓子-国際製菓専門学校同校1階に「カフェDP」をオープン
学校の1階部分に設けられた「カフェDP」。JR立川駅からすぐの立地
用意した菓子は次々と売り切れていく。並んでいる人に商品の在庫を知らせる看板を用意
 国際製菓専門学校(東京・立川市、田中啓介校長)は同校1階に「カフェDP」をオープンした。カフェDPでは、同校の学生が実習で作った菓子を、一般客に向けて自ら販売。3回目の今回も35分ほどですべての商品が完売してしまう人気ぶりで、開店前には20人を超える列ができた。学生の作る菓子は、おいしくて価格も手頃とリピーターが多い。学生にとっては販売を実践できる貴重な場となっている。



学生が作った菓子を自ら販売。35分で完売する人気
ショーケースを前にケーキの注文を取る学生。トングを使って商品を慎重に扱う
左上から順に「シュークリーム」、「和三盆ロール」、「オペラ」、「洋梨のババロア」、「チーズタルト」、「りんごのタルト」
「メープルクッキー」、「あんずと木苺のパイ」、「オレンジケーキ」の3種が入った「焼き菓子セット」(200円)
「焼き菓子セット」(200円)を手に取る客
来店客に商品の説明をする学生
 午後2時50分、3時の開店を待って並ぶ客は20人を越した。今冬一番の冷え込みを記録した1月14日、その寒さにもかかわらず、列を成して待つ客の目当ては、学生たちが作ったケーキ。国際製菓専門学校の1階にある「カフェDP」では、昨年末から毎週木曜日だけ、卒業を控えた同校の生徒たちが作った菓子を販売している。
 「姉から評判を聞いて、電車で30分かけて来ました」(20代女性)。「最初に来たときは買えなくて。その次に来たときに、全種類買ったらおいしかったのでまた並びに来ました」と話す近隣に住む30代女性は、通りすがりでこのイベントを知った。学園祭などで同校の存在はお馴染みで、カフェは建設している時から、いつオープンするのか楽しみにしていたという。
 用意した菓子は、シュークリームや和三盆ロールなど洋生菓子6種類(各200円)と3種類の焼き菓子セット(200円)。これら合計205製品が、開店から35分で売り切れた。店頭の「洋生菓子はお一人様6つまで。焼き菓子セットは3つまで」と書かれた看板がある中、ほとんどの客が洋生菓子と焼き菓子セットのどちらも購入し、3時10分までに並んだ36人で全商品売り切れた。並んだけれど惜しくも買えなかったという男性客は、近所に住んでいるそうで、「また次週来ます」と言って残念そうにその場を後にした。
 学生の実習の一環で行われる同イベントは今回で3回目。昨年12月3日に行った第1回目のときも30分ほどで売り切れてしまう人気だったので、第2回目から販売制限を設けた。学生たちが作るため、数に限りのある商品をより多くの人に買ってもらえるためだ。客層は学園祭に訪れる人など近所の人が中心。小さな子ども連れなどの女性が多いが、近くの会社で働いているという男性客も目立った。



いつもの実習と緊張感が違う
真剣な表情で金箔を飾りつけ「オペラ」を仕上げる学生。オペラはスポンジとガナッシュ、生クリームを均一な厚さに重ねていくのが難しいという
焼き菓子を個包装して「焼き菓子セット」を作る
これまで実習した中で、一番の出来だという「りんごのタルト」。トッピングのりんご煮詰めるときの水分調節が成功の決め手
 イベント開催当日の学生のスケジュールは、午前9時に実習室で製造を始めて12時までに仕上げ、午後1時から作った菓子を包装し、1時半にカフェの掃除とセッティングを始めるといった流れだ。
 「いつもの実習より緊張します。計量のときから気を使います」と話す学生の表情は真剣そのものだ。
 「学生は平常の製菓実習では得られない緊張感を得ているようです。一般のお客様に食べてもらう『売り物』を作っているとなると意識が違いますね」と話すのは同学校教務主任でクラスの担任を務める前田聖子先生。
 製菓の担当は同学校から徒歩5分ほどの場所に構える菓子工房「ティーコジー」の滝澤幸治シェフ。店が学校に近い立地ということもあり、カフェDPに訪れる客層の分析に関しても頼れる存在だ。カフェDPの販売メニューは、滝澤シェフの店舗で実際販売している菓子とほぼ同じレシピで、春から夏にかけて行った製菓実習で指導した、およそ50品目の中から選んだ。「メニューは、学生たちが作りやすいものというよりは、やはりこの地域でおいしいと、人気のあるものを選びました」と滝澤シェフ。前回も一番人気だったのはシュークリームと和三盆のロールケーキ。「普通の店舗と違って、このカフェは週に一度だけオープンするのですから、来店客の方はここがどんな店かわからない。そういうところで販売するには、シュークリームやロールケーキなど、昔からある分かりやすいものの方が適しています。そのほかのアイテムの販売は、それがどんなケーキであるのか興味を持ってもらったり、わかってもらうために、お客様とのコミュニケーションを図るための練習にもなります」(滝澤シェフ)



買う側の立場に立てること
ショーケースの前に立ち、ケーキの層がよく見える位置を確認する学生
リーダーが中心となってオープン前の準備
 販売は、学生たちが話し合い自ら考えた方法を実践。昨秋、一般販売を前に、校内販売で練習した成果を生かす。
「オーダーの取り方など、お客様にご指摘を受けることもあります」(前田先生)。プロになってしまったら受けることのできない客の貴重な意見が聞ける。これは、地域にある学校の一学生として見てくれる地域の人の温かな目があるからだろう。
 ショーケース内の陳列では、「層が見えるようにケーキはこの向きで」と、入り口から入ってきた客を想定して考える学生の姿も。「販売はお客様に楽しんでもらうことを第一にと言っているので、ケーキを楽しんで選んでもらうためにはどうしたらいいかということを、回を追うごとに考えられるようになっています」と滝澤シェフ。以前は、ショーケースから取りやすい位置に並べるなど、売る側の都合を優先していた。学生にとって、一般客を相手にできる実践の場としてこのカフェDPの存在は大きく、プロになったときのことを常に考えて学んでいくことができるようだ。



原価計算をして製造、販売

 「焼き菓子セット(3個入)」(200円)の横に並んだ「サービスパック」は、3つのセットにならなかった半端のアイテムが2つ入って100円というお買い得品。「100円だと、お客様が気軽に買いやすいようで、前回もすぐになくなってしまった商品です」(学生)。今回も用意した8セットがオープンしてすぐ売り切れた。「使った材料はすべて売り切る」という実習の方針のもと、作ったものをすべて商品として意識し、無駄にしない。
 この日販売した商品の原価は学生一人ひとりが計算。実際に使った材料と配合量から計算した1グラム当たりの価格から、一つの製品のグラム数をかけるというシンプルな算出方法だ。「光熱費や人件費など入っていませんが、原材料の原価だけでも、数字として目で見ることが大事。ロスを出すとどれほど損をしてしまうのか最初から分かっていれば、製造から販売まで、どんな場面でも意識が全然変わってきます。顔つきが違います」(前田先生)
 カフェDPでの販売は今後も週に一度だけ続けていく予定だ。「もともと多目的な場として用意していたスペースです。カフェとしての販売以外にも、地域と学校が接することのできる場として活用し、地域貢献に繋がればと思っています」(同校の田中亮一副校長)

原価計算女王
原価計算女王

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