高級フレンチからデザートブッフェまで変化に富む学食の現在 / - ブランスリー電子版

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食のトレンドを追う/2010年1月号

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高級フレンチからデザートブッフェまで変化に富む学食の現在

「普通の定食」を安く食べられる昔ながらの学食も、今では少数派?(写真は東京大学本郷キャンパスの中央食堂)
東京大学本郷キャンパスの「シチュー定食」はトマトシチュー、ピラフ、サラダで 550円。シチューはおいしかったが、学食としては少々高い印象
東京大学本郷キャンパス内にある「サブウェイ」。近年は、新たなマーケットとして、コンビニやファストフード店の大学構内への進出が見られる
 貧乏学生のために安く食事を提供する役割を果たしていた学食が、様変わりしている。こざっぱりとしたカフェテリアのような明るい雰囲気の中、学生向け価格で高級レストランばりのこだわりメニューが展開されているのだ。職人が握る寿司やフランス料理を食べられたり、ボランティア活動が行われていたり、「学生食堂」という場が食にまつわる多様な空間に変わってきている。

学食ブラッシュアップは大学の生き残り策か?
 「レベルの高い大学には、学生が自然に集まる」という認識はもう古い。「欲がない」と言われる現在の若者たちは「自宅から近い」「無理したくない」などの理由で大学を選ぶ傾向があるそうだ。少子化に加えそんな彼らを確保し、また「生涯学習」や「公開講座」などをウリに一般人を呼び込むため、各大学が知恵を絞っている。中でも、オリジナリティーあふれる学食のプロデュースが魅力的だ。
東洋大学白山キャンパスの学生食堂は、専門店6店が入るお洒落なフードコート形式になっており、10月に、デザートや軽食類を提供するカジュアルカフェがオープン。 
 日本工業大学の学生食堂にある「みのり寿司」は、新鮮なネタを使用した寿司や海鮮丼が食べられる。大学が積極的に宣伝し、ホームページで紹介されている「さんまのたたき丼」(500円)は、ご飯の上に大量のさんまがのりボリューム満点。
 東京大学では、04年、駒場キャンパスにフレンチレストラン「ルヴェソンヴェール駒場」が開店。学生にとっては少し贅沢だが、800円という低価格で日替わりランチを提供している。



学食プロデュースに見る新しい大学像
「ジョリポーランチ」。「ジョリポー」のメニューは、全てにカロリー表示がある
「シェフズランチ」のメイン料理の一例。ランチメニューは週ごとに替わる
神戸学院大学ポートアイランドキャンパス内にあるレストラン「ジョリポー」
 神戸湾内の人工島、神戸ポートアイランド内にある神戸学院大学ポートアイランドキャンパスには、同島内にある神戸ポートピアホテルがプロデュースする洋食レストラン「ジョリポー」がある。キャンパスが設立される際、大学側から打診があり、「学生だけでなく地域の人たちも大学を利用してほしい、という大学の意図に、当ホテルも同調しました」と、神戸ポートピアホテル営業本部 営業企画 イベント担当支配人・吉田雅美さんはいう。
 近隣住民や、海の見える島の散歩コースをデートする人たちなどがよく訪れる。上品な雰囲気と学生価格が評判で、ブログでの紹介も多い。
 スープ、メイン(2種から選択)、パンまたはライスで600円の「ジョリポーランチ」の他、1000円、1800円の高級ランチや500円程度のアラカルト(カレー類やオムライスなど)もある。
 「学生の利用の多い『ジョリポーランチ』を中心に、リーズナブルな価格でボリュームあるメニューになるよう工夫しています。また、できるだけ地元の旬な食材を使用し、季節感のあるもの・身体によいものを提供しています」(吉田さん)
 また、不定期で大学の研究とのタイアップ企画なども行う。
 「一般の方向けに、脂肪の代謝がテーマのウォーキングと組み合わせた企画で、講師が考案した代謝をよくするメニューをこちらでランチとして提供しました」(吉田さん)
 開かれた大学として、地域社会と連携した研究活動を積極的に行う同校。ホテル側も「ジョリポー」で、地域の人たちが楽しんで参加できる企画づくりを意気込む。学食が、学生の胃袋を満たすという単一的な役割から、複合イベント的な存在へと発展しているようだ。



各校のカラーや食の嗜好に沿いメニューと企画を多様に展開
さまざまなフェアメニューも、学食の楽しみ
学食のテーブルにおいてある調味料類も「大学生協」ブランドだ
学生食堂には、メニューや味について、たくさんの意見が寄せられる
 保育園から大学まで、また、企業や高齢者施設などあらゆる施設の食事提供を行うシダックスは、1965年から大学・短大での食事提供を開始、現在、約100校を受託している。食材・栄養・種類(和洋中)のバランスを重視し、流行に敏感な学生が楽しめるよう「トレンドメニュー」も導入して、大学のカラーに合わせた多様なメニューを展開する。
 「キャンパスランチ(定食)やアラカルト(丼・パスタ・ピラフなど)などは、男女別に嗜好や傾向を調査してメニューを作っています。また、各校の意向や学生のニーズに応じて『ヘルスアップメニュー』『焼きたてパン』『テーブルフォーツー』などを実施しています。また、運動部の活発な大学で『活動強度別メニュー』を提供したり、女子大でイタリアンが得意な当社シェフによる『イタリアン料理フェア』や、デザートブッフェなどのイベントなども行なっています」(メニュー開発室・高橋千佳さん)
 学生の食の嗜好は大きく変わったそうだ。以前は『安さ』と『ボリューム』が重視されていたが、最近はヘルシー志向もあり、全体的に焼肉、とんかつ、ハンバーグなどの「がっつり系定食」よりも、パスタ、ピラフ、麺類などの軽食類を選ぶ傾向がある。また、手軽に食べられる形態を好み、和食離れに加え一汁三菜といった日本の伝統的食事観念からも離れている。味つけや食事時間などにも変化がある。
 「外食の機会が多くなった現在の学生たちには濃い味が好まれています。また、洋食傾向が強くなったことから、醤油味よりもソースやマヨネーズなどの味つけが好まれるようになりました。生活が便利になり、食べたいときに食べたいものを食べるといった不規則な食事の仕方も目立つようになりましたね」(高橋さん)
 「1日3度の食事」という概念さえ薄まっている若者の食事事情だが、食育に力を入れるシダックスは、学生食堂が食への正しい知識を学べる場となるようさまざまな取り組みを行う。食に興味を持つようなメニュー提案や掲示板を利用した栄養情報を発信したり、管理栄養士による健康キャンペーンを行うなど、学生に「健康的な食生活」を働きかける。
 一方で、学生からの働きかけで「テーブルフォーツー」に参加したり、学生主導でランチタイムコンサートを開催したりと、学生自身が、学食を利用してさまざまな活動を行っているケースも多い。
 大学・学生・企業の3者が学食という場を発信源としてさまざまな試みを行っている。今後、学生食堂がどんなイベントステージに発展し、どんなメニューが展開されていくのかが楽しみだ。(U)
 テーブルフォーツー=対象となる定食や食品を購入すると、1食につき20円が途上国の子どもたちの学校給食費として寄付される、日本発の社会貢献活動。現在、企業、大学などの法人や個人での参加が増えている。





原価計算女王
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