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| 海外情報(36)/2004年1月号 |
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| 2003年のアメリカ製パン業界の動きをまとめる
ベーカリー専用の商品券を発行
メニューのカロリー表示、異業種のメニュー開発 2年前の同時多発テロ以後の世情不安と景気の低迷でアメリカにおける消費者の購買行動は、不用な物を買わない、買うときには十分な品定めをする、という「慎重型」に変わった。とは言うものの新商品の市場投入は活発であり、消費者の反応も大きい。要は消費者が賢くなったという事であろう。これは食品市場においても同じだ。ごく最近アメリカ市場を見聞し、関係者と話をした限りでは、最近の消費者は以前にも増して主張が明確になってきている。簡単にまとめてみると・・・。 (1)消費者の「プライス コンシャスネス・・・低価格意識」はいかなる業種でも強くなっている。 (3)より安全な食品を求める購買層が増えている。 (4)さらに詳細な商品説明が求められる時代となった。例えばレストランで出されるメニューにも近々カロリー表示が義務づけられるし、食品類にもさらに詳細な原産国表示が実施される。 (4)Obesity(オベシティ)・・・肥満は国を挙げて取り組まなければならない大問題となりつつある。アメリカ人の65%が肥満といわれ、成人病の増加をもたらしている。レストラン業界のみならず製パン業界も対策を講じなければならないとされ、目下のところ低カロリー商品の開発が急務とされる。 (5)急成長を続ける世界最大の小売業WAL・MART(ウォルマート)社の功罪が改めて議論されている。特に低価格を武器として既存のスーパーマーケット業界のみならず、あらゆる食品小売業界に打撃を与えている。地方都市商圏に同社店舗が進出する場合には既存の地元小売業の衰退を招き社会的な影響が大きい。地方自治体や小売業団体が同社の出店に反対する運動を起こす例も多い。西部カリフォルニア州は同社のスーパーセンターが進出していない最後の巨大市場であるが、来年度における出店計画の動静が注目されている。 (6)製パン業界以外、つまり異業種によるベーカリー商品の開発・製造・販売はさらに活発化するであろう。特にドーナツを店頭で製造して売る「クリスピー・クリーム」とアーチサンブレッドを主要商品とする「パネラ・ブレッド」の台頭は目覚しい。筆者の推測であるがこの2社の日本市場への進出は大いに可能性がある。おそらく密かにその戦略を検討しているのではないかと思う。 特にパネラ・ブレッドは今日もっとも有望視されている「ベーカリー・カフェ」業態であり、アメリカ市場での先駆者として十分なノウハウを蓄積していると思われる。参考までに同社の商品構成を簡単に紹介する。 ◎ブレッド類 サワドゥ、フレンチ、チャバッタ、フォッカチァ・アシアゴチーズ、シナモンレーズン、ハニーホイート、ナイングレイン、ライ、サンフラワー、トマトバジル、アーティサンチーズ、セサミセモリナ、石挽きライ、カラマタオリーブ、マルチグレイン、アーティサンフレンチ、アーティサンスリーシード、アーティサンカントリー、ホリディブレッド ◎ベーグル類 アシアゴチーズ、ブルーベリー、シナモンクランチ、ダッチアップル・レーズン、エブリシング、フレンチトースト、ナイングレイン、プレーン、セサミ、モカチップ、ピーナツバター・バナナクランチ、クリームチーズ、ローストガーリック ◎ペーストリー類 ベアクロー、キャラメルピカン、チョコレートラズベリー、ベリーチョコレート、キャロット・ウォルナット、レモンポピーシード、パイナップル・アップサイドダウン、シナモンロール、コブルストーン、コーヒーケーキ、チョコレートチッパー、チョコデュエット、ナッティチョコ、ナッティ・オートミール・レーズン、チョコ・へーゼルナッツ・マカロン ◎クロワッサン類 アップル、チーズ、チョコ、ラズベリー、フレンチ ◎デニッシュ類 アップル、チーズ、チェリー、ジョージアピーチ、ジャーマン・チョコレート ◎マフィン類 ブルーベリー、チョコレート、ローファット、トリプルベリー、パンプキン ◎スコーン類 ピカン、シナモンチップ、オレンジ ◎ストルーデル アップル、オレンジ ◇ そして同社が得意とするのは各種サンドイッチ類である。 コロナド・カミタス・パニーニ(チャバッタにポーク、モツァレラ、アンチョビ、オニオンをはさむ) ターキー・アンチチョーク(スモークターキー、スピナーチ、アンチチョーク、パルメザン、トマト、オニオン、バジルをチャバッタにはさむ) フロンテーガ・チキン・パニーニ(スモークチキン、レッドオニオン、モツァレラ、トマト、オニオン、バジルをフォッカチアにはさむ) ボルトベーロ・モツァレラパニーニ(ボルトベーロマッシュルーム、オニオン、モツァレラ、パジルをフォッカチアにはさむ) アシアゴローストビーフ(ローストビーフ、スモークチェダー、レタス、トマト、レッドオニオン、ホースラディシュをアシアゴ・デミにはさむ) ターキー・フレスコ(スモーク・ターキー・ブレスト、ペスト・マヨネーズ、トマト、レッドオニオン、バルサミコビネガーをフォッカチァにはさむ) トスカーナ・チキン(グリルドチキン・ブレスト、ペストマヨネーズ、トマト、レッドオニオン、バルサミコビネガーをフォッカチァにはさむ) シエナ・ターキー(スモーク・ターキー、マヨネーズ、・レッドオニオンをアシアゴ・フォッカチァにはさむ) ベーコン・ターキー・ブラボ(スモークターキー・ブレスト、スモークベーコン、スモークゴーダ、トマトをトマトバジル ブレッドにはさむ) ガーデン・ベジ(スパイス味スイートペッパー、キュウリ、ゴルゴンゾラチーズ、レタス、トマト、レッドオニオンをチァバッタにはさむ) イタリアン・コンボ(ローストビーフ、スモークターキー、ハム、サラミ、スイスチーズ、レタス、トマト、レッドオニオンをチァバッタにはさむ) スモークターキー・ブレストサンドイッチ(低ファット・ターキーブレスト、レタス、トマト、スプラウト、マヨネーズ、スパイス味マスタードをサンドイッチブレッドにはさむ) チキンサラダ・サンドイッチ(チキンサラダ、マヨネーズ、スパイス味マスタード、レタス、トマト、レッドオニオン、スプラウトをサンドイッチブレッドにはさむ) ツナサラダ・サンドイッチ(ツナサラダ、レタス、トマト、レッドオニオン、スプラウト、マヨネーズ、スパイス味マスタードをサンドイッチブレッドにはさむ) これらのサンドイッチ類はいずれもフィリングに特徴を持たせており、自慢のパン類と組み合わせている。価格帯は6〜8ドル(約660円〜880円)。それにドリンク類を加えてもせいぜい10ドル前後で簡単な食事をとる事が出来るので人気があるという。またメニューも定期的に変えており、お客に飽きられない工夫をしている。 米リテールの問題点を探る さてアメリカにおける小規模リテールベーカリーの問題点は何かを現地で活躍する著名なコンサルタント各氏に伺ってみた結果を次のようにまとめてみた。 (1)仕事が忙しすぎて将来の展望(ビジョン)を描く時間がないし、また持とうとしない。現在の仕事にほどほどに満足しているし、収益も上がっているのでなおさらである。不幸にして売り上げが下降し、競合店・業態が出現した場合に十分な対応が出来るかが疑わしい。 (2)原材料価格が高騰傾向にあるが、適切な仕入れ源の確保が困難である。放置しておけば利益率の低下をもたらす。 (3)良質の製造要員、販売員の確保が困難。 (4)製造原価の低減と利益率向上の解決手段を模索しなければならないが、名案がない。また適当な相談相手がいない。 (5)競合店と対抗する手段として商品開発が最良の手段である事はわかっているが、どうして良いかわからない。 これらの問題点はいずれの業種にも共通して言える事であるが筆者が見る限りではアメリカのリテールベーカーは仲間同士での結束が固くお互いに助け合っている面が多い。例えば商品開発のためのレシピー公開、製造設備購入に際しての自分の使用経験に基づく情報交換、不要になった中古機械類の譲り合い、お互いの店舗見学、はては疲れた時の慰め合いなどが見られる。RBAという団体のe‐メール仲間は毎日連絡をとり合っているが、おたがいに距離は離れているものの連帯感が生まれている。日本でもこのような組織があれば良いと思うのだがいかがであろうか。 技術者育成を無償で行う そのRBAが最近になって提案しているアイデアのいくつかをご紹介しよう。 (1)RBAに加入している各店舗で共通して使えるギフトカード(商品券)の発行 (2)リテールベーカリーにおける小額の買い物にも使えるクレジットカードをRBAが斡旋して発行する。 (3)最近とくに増えている糖尿病、アレルギー、肥満に対処するベーカリー商品のレシピ開発 (4)地域における製パン技術者を育成するシステムの確立。これは特にハイスクール卒業レベルの若い世代を対象にした製パン技術の初等教育を無償で行なうというもので、いずれは業界で働いてもらうというのが主旨のようである。 1年間お読みいただいた読者諸氏に感謝をするとともに今後もお役に立つような情報をお届けしたいと思う。 |



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