巣篭もり消費で火がついた!?ネットスーパーの隆盛 - ブランスリー電子版

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食のトレンドを追う/2009年10月号

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巣篭もり消費で火がついた!?ネットスーパーの隆盛
8月3日、東急ストアが楽天のネットスーパー「食卓.jp」に出店を発表。ネットスーパーで扱う米を持つ東急ストアの木下雄治社長(左)と楽天の三木谷浩史社長(右)。
 日々の食材や日用品をネット上で購入する「ネットスーパー」に注目だ。富士経済による食品の宅配市場の調査では、08年のネットスーパーの売上げは、食品だけでも227億円(同年の食品スーパー市場の総売上げ13兆3千億円の0・17パーセントに該当)、09年は25パーセント増の284億円と見込まれている。不景気下の内食回帰・巣篭もり消費の影響も考えられるが、インターネットで買物をする文化が根付き、消費者のライフスタイルが大きく変化したことが一因だろう。一方、伊藤忠食品が撤退するなど競争も激化している。さらに、買い物代行料や配送料金などがネックで伸び悩むのではという見方もあり、成長性は誰しも認めるものの、予測の難しい市場だ。



ネットスーパーの意義・形態・市場規模
表:グラフネッツ・パートナーズ調べ
ネットスーパーの利用実態 性別※男性(14%)は夫名義で登録している主婦もいるため、利用者はほぼ女性と考えてよい。
ネットスーパーの利用実態 年代別
ネットスーパーの利用実態 家族構成別
 ネットスーパーとは、顧客がインターネットサイトから商品を注文後、スタッフが店頭から商品を選んで荷造りし、消費者の自宅へ届けるサービスである。宅配時間帯に在宅が必要なため、利用者は子供を持つ30〜40代の専業主婦が多い(ネッツ・パートナーズ調べ)。ちなみに、生協の宅配売上げは、カタログ申込が1兆5千億円、ネット申込はその1割の1559億円(前出調べ)。まだ生協には水をあけられているが、週1回宅配の生協に比べ、ネットスーパーは即日数時間以内での宅配がウリ。今後は差が縮まることが予測できる。なお、現在は、既存の店舗を利用する「店舗出荷型」ネットスーパーが主流だが、10月から住友商事がネットスーパー用の配送・加工センターを作り、「センター出荷型」事業を開始予定。莫大な初期費用がかかるが、市場の可能性を見て、勝負に出たようだ。



イトーヨーカ堂の取り組み

 ネットスーパー市場最大手のイトーヨーカ堂は、2001年に東京の葛西店で最初のネットスーパーを開始した。99年に完成した同社のホームページを利用した事業ができないか、と考えたことがきっかけだ。05年のネットスーパー2号店開始後も、しばらくは事業を広げず実験的に運営、1日の配達便数や取り扱い品数などを見極めてきた。
自分の目で商品を吟味したい主婦たち
には抵抗感もあったようだが、クチコミや店舗内での案内などで、認知度アップに努めた。07年にネットスーパーがビジネスモデルとして成り立つと判断し本格的に開始、09年8月時点で、北は北海道から西は広島まで、全国99店舗で展開している。同社のネットスーパー利用のウリは、実店舗と同様に二自宅に入るチラシ掲載商品まで購入できる点。配達は1日5便、注文から2〜3時間で消費者に商品が届くよう努力している。
 「ネットスーパー市場の急成長が不景気や巣篭もり消費の影響とは考えにくいですが、ガソリンの値上げで、マイカーで来店するお客様のネットスーパー利用が増えました。ネットショッピングの定着や、生鮮食品をネットで購入することへの信頼度が高まったことも要因だと思います」(イトーヨーカ堂広報部)と市場の成長を分析する。また、「お客様に実際の店舗に足を運んでいただくことが第一。ネットスーパー事業を収益の柱にするつもりはなく、天候などの影響で来店できない方にも実店舗と同様のサービスを用意し、お客様に幅広い買物のスタイルを提供していきたいと考えています」(同社広報部)と、実店舗を補完する位置づけだ。
 ネットスーパー市場最大手のイトーヨーカ堂は、2001年に東京の葛西店で最初のネットスーパーを開始した。99年に完成した同社のホームページを利用した事業ができないか、と考えたことがきっかけだ。05年のネットスーパー2号店開始後も、しばらくは事業を広げず実験的に運営、1日の配達便数や取り扱い品数などを見極めてきた。自分の目で商品を吟味したい主婦たちには抵抗感もあったようだが、クチコミや店舗内での案内などで、認知度アップに努めた。07年にネットスーパーがビジネスモデルとして成り立つと判断し本格的に開始、09年8月時点で、北は北海道から西は広島まで、全国99店舗で展開している。同社のネットスーパー利用のウリは、実店舗と同様に二自宅に入るチラシ掲載商品まで購入できる点。配達は1日5便、注文から2〜3時間で消費者に商品が届くよう努力している。
 「ネットスーパー市場の急成長が不景気や巣篭もり消費の影響とは考えにくいですが、ガソリンの値上げで、マイカーで来店するお客様のネットスーパー利用が増えました。ネットショッピングの定着や、生鮮食品をネットで購入することへの信頼度が高まったことも要因だと思います」(イトーヨーカ堂広報部)と市場の成長を分析する。また、「お客様に実際の店舗に足を運んでいただくことが第一。ネットスーパー事業を収益の柱にするつもりはなく、天候などの影響で来店できない方にも実店舗と同様のサービスを用意し、お客様に幅広い買物のスタイルを提供していきたいと考えています」(同社広報部)と、実店舗を補完する位置づけだ。



ネットスーパー事業専門のネッツ・パートナーズ
食卓.jpのトップページ。生鮮食品から日用品までスーパーマーケットの商品が購入でき即日届く
 ネットスーパー事業専門のネッツ・パートナーズという会社がある。ネットスーパーのサイト「食卓.jp」の運営や全国のスーパーへのネットスー
パー事業の提案とシステム構築、ネットスーパー市場のマーケティングなどを行っている。05年に独立資本で設立し、08年7月に楽天の子会社化、今年2月に楽天とシステム連携を行った。「食卓.jp」では、マルエツと紀ノ国屋のネットスーパーが利用できる。10月からは東急ストアを含めた2社が加わる予定。買物には楽天ポイントが付与される。
 「ネットビジネスは会員獲得が難しいですが、弊社サービスには楽天会員5000万人という集客力があります。また、企画から事業立ち上げまでのスピードや問題解決ノウハウなど、ネットスーパー事業専門の知識を利用できることがスーパー側のメリットです」(店舗営業部部長・石渡和生氏)
 スーパー側が簡易に使いこなせるウェブシステムや、店頭での商品ピックアップから出荷までをスムーズに行える楽天の物流システムもある。まだマニュアルがない分野だけに自社で全てを行えば紆余曲折を経るのが必須だが、同社に任せれば無駄な労力や実験段階を経ずにネットスーパー事業を開始することができる。
 同社は、まず大都市を中心に全国各地のスーパーにネットスーパー事業を提案している。地域内で最初に提案に乗った店には、一定期間同地域内で他社に営業をかけない、という「独占的アドバンテージ戦略」も考えている。その背景には、バーチャル空間で拡大した親会社の楽天が、各地域の日常の消費拠点に根を張っていこうとする戦略も見え隠れする。
 
また、企画から事業立ち上げまでのスピードや問題解決ノウハウなど、ネットスーパー事業専門の知識を利用できることがスーパー側のメリットです」(店舗営業部部長・石渡和生氏)
 スーパー側が簡易に使いこなせるウェブシステムや、店頭での商品ピックアップから出荷までをスムーズに行える楽天の物流システムもある。まだマニュアルがない分野だけに自社で全てを行えば紆余曲折を経るのが必須だが、同社に任せれば無駄な労力や実験段階を経ずにネットスーパー事業を開始することができる。
 同社は、まず大都市を中心に全国各地のスーパーにネットスーパー事業を提案している。地域内で最初に提案に乗った店には、一定期間同地域内で他社に営業をかけない、という「独占的アドバンテージ戦略」も考えている。その背景には、バーチャル空間で拡大した親会社の楽天が、各地域の日常の消費拠点に根を張っていこうとする戦略も見え隠れする。



非対面方式ゆえ一層重要。商品力と細やかなサービス
05年よりネットスーパーを開始したマルエツ。配送料は5000円(税込)未満の買物で525円、5000円(税込)以上で315円、配達日が4日以上先かつ5000円(税込)以上で無料。配送エリアは東京・神奈川、品揃えは3500品目。
 石渡氏は、ネットスーパーの市場規模が、今後、全スーパー市場の10パーセントまで伸長すると予想している。さらに、「品出しが店頭在庫でまかなえなくなり、ネットスーパー専用倉庫などができた場合には、市場の20〜30パーセントまで占める可能性もある」という。まだまだネットスーパーに進出する企業は少ないが、新規参入が増え消費者の認知度が高まれば、巨大市場に成長する可能性も少なからずあるということだろう。
 しかし石渡氏は、ネットスーパーを
ビジネスとして成立させるためには、配達料や買物代行手数料が必須だという。現在のスーパーの商品の値段は、客が来店し商品を選んで買うセルフサービス前提の価格設定になっているからだ。ネット事業は、スーパー側が商品を選びガソリンを使って消費者へ届ける手間と費用がかかり、それを無料にしたら莫大なコスト増となる。
 また、消費者が直接商品を選ばないからこそ、実店舗同様のきめ細かなサービスと商品力が必須となる。同社が行ったアンケートによると、少し遠いなどの理由で行ったことのないスーパーにネット部門ができた場合、ぜひ利用したいと考える消費者が多い。現在の商圏外からも客を呼び込める利点がある一方、商圏外の競合店に逆に客を取られる可能性もある。さらに、消費者はその日の都合でネットか来店かの利用形態を変えるため、ネットと実店舗のサービス格差を最小限にとどめる必要がある。
 「高齢化社会で、来店して買物することができなくなったという人も増え
ています。利用者は買物がネットか実店舗かの違い、スーパー側は、品出しが店頭か配送車かという違いだけです。ネットスーパーを『特別な事業』とか『余計な仕事』と思わずに、実店舗同様、スタッフ一丸となって運営することが成功のポイントです」(石渡氏)
 各社が店頭で培ってきた、サービスと商品力に磨きをかけるという基本がネットスーパー市場で勝利するカギのようだ。

原価計算女王
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