客との『協奏』で共に発展する-ブレッドギャラリーコンチェルト - ブランスリー電子版

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お店拝見/2009年9月号

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客との『協奏』で共に発展する-ブレッドギャラリーコンチェルト
オーナーシェフの石黒氏。店長・製造長の修業を経て、カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)で学ぶなど、海外の製パンや料理技術も習得している
子供向けのパンは子供の目線の高さに置くなど工夫が多々。菓子パン、調理パンなどの販売スペースも綿密に区分けされている
子供用スペース。絵本やぬいぐるみが用意されている
店外観。トリコロールカラーの看板が目印
 東京都調布市の閑静な住宅街に佇む「ブレッドギャラリー コンチェルト」。人気商品コッペパンシリーズが注目を浴び、日本初のパンのフードテーマパーク「東京パン屋ストリート」(運営=ららぽーとマネジメント、今年1月に閉館)に、2号店としてコッペパン専門の「こここっぺ」を出店し、好評を博すといった活躍が見られる店だ。
 コンチェルトの店内は、自動演奏を行う白いグランドピアノや、レジの横でアニメを流す大きなモニター画面が目を引き賑やか。焼き窯を模した棚に絵本やぬいぐるみを置いた子供用の小スペースもある。ギターや各国の楽器なども置かれた店の雰囲気は、とても楽しげ。
 同店は、店内イメージや配置、内装、壁やインテリアの素材や色、質感に至るまで、オーナーシェフの石黒献二氏がよいと考え、手間暇や費用も惜しまず工夫したもので彩られている。
 「パンはもちろん、店自体も手作りであることを大事にしたいんです。どうすればお客様に楽しく過ごしてもらえるかを考えながら、運営して来ました」と石黒氏。
 パン職人になる以前から、福祉活動に尽力してきた石黒氏の考え方には「コミュニティ・オーガニゼーション」の意識が息づいている。「お客様の必要とすることに的確な技術で応えていくことで、お客様も店も双方ともに伸びていく」という発想だ。



新メニュー誕生は客の必然性から
量り売りもある菓子パンコーナー
「ガトーノアレザン」(200円、2個入り350円)。石黒氏が1999年のカリフォルニア・レーズン協会のコンテストに出品し、「アイデア賞」を受けた製品。フリアンとビスケットでくるみとレーズンの入ったキャラメルをはさんだロングセラー
「まるまるチーズケーキちゃん」(220円)。クリームチーズと卵をたっぷり使った、手作りチーズケーキ1ピースをまるごとパン生地で包む。子供に大人気
「ベートーベン」(530円)。ライ麦をたっぷり使い、紅茶の香りと味でライ麦の癖を抑制。レーズン、オレンジ、くるみと、具材も豊富でそのまま食べても美味
ロンネフェルトの紅茶コーナー。ベーカリーゾーンと子供用スペースの合間の空間に設置
 同店が持つ100点を越えるレシピの多くは「お客様の必然から生まれたもの」(石黒氏)だ。
 例えば、卵アレルギーの子供が、柔らかいパンを食べたいと希望したとき、石黒氏は、卵を使わずに子供が好きな味と食感を考え、フルーツとワインで仕込んだ食パン「ワインブレッド」(400円)を開発。「求める人のために生まれているレシピだから、『必然』なんです」と石黒氏。卵アレルギーの子供はワインブレッドに喜び、お互いの忘れられない思い出に。また、同製品は味わいのよさから新メニューとしても人気を集め、多くの人に愛された。
 他にも例がある。かぼちゃフィリングの入ったうさぎの形の「かぼちゃのピカあんパン」(100円)も、「子供にできるだけチョコレートを食べさせたくない」という多くの母親の声に応えて開発した菓子パンだ。石黒氏はチョコに代わる甘みとしてかぼちゃを選んだが、子供が好きな味にならない。「もっと食べたくなる工夫を」と、うさぎの形を考え出した。動物パンにすることで子供は興味を引かれ、購入。そこまで気に入れば、食べるようになった。また、動物パンという工夫は子供だけでなく、女性客の好評も得る結果に。
 このような成果の背景には、スタッフの活躍も見られる。同店はスタッフのアイデアが成功を生んだ例も多い。スタッフ育成について石黒氏は、「スタッフの独立も意識しているので、製造と販売は分けません。だから、スタッフにもレシピを含め店のためのアイデアはどんどん出してもらっています。僕はそれを全て聞き、お客様のことを考えたアイデアだったら積極的に採用する。実行してみて好評を得られなかったとしても構わない。まずは何が大切かをわかって掴んでもらいたい。そして、不採用になったアイデアにも、技術的なことも含めて理由を説明し、指導しています」と語った。
 「こここっぺ」で人気を得た、木製たらいに入れたビンのラムネ販売も、石黒氏の助言やサポートのもと、スタッフの1人が発案し、達成したアイデアのひとつだ。発案者は石黒氏に相談をしながら、自分のイメージに合うたらいやラムネを自ら探し、飾りつけも店舗レイアウトと合うよう工夫した。その結果得られた客の好評は、スタッフが成長するための貴重な経験に。
 客の気持ちやニーズを考え、客にとってよいものをつくる。そのために知識と技術を磨く。必要ならば、製パンに関するもの以外の知識も取り入れる。それがコンチェルトの基本なのだ。
 「ブレッドギャラリー コンチェルト」の名には、「パンの画廊」そして「協奏曲」という言葉に込めた思いがある。「何かと何かで成すのが『協奏曲』。『あなたとパン』、『あなたと私達』。この店で、皆で、共に、という意味です」と石黒氏。石黒氏やスタッフには、親しくなった客も多く、客とのコミュニケーションから生まれたヒット作も多数ある。だが、それはマーケット戦略やリサーチといったアプローチではなく、 『協奏』を意識し運営してきた結果だという。



パン食文化の提供。高級紅茶の販売も
レジ奥は店の看板とテーマのひとつである楽器でレイアウトされている
「竹炭食パン」(1斤340円、3枚170円)。食用炭パウダー(竹炭)を練り込んだミネラル豊富な食パン。炭の風味を抑え癖のないおいしさに
親しくなった子供が手作りの絵本をプレゼントしてくれた。「ピアノから流れる皆の思いがおいしいパンになる」といった、夢のあるお話が描かれている
 同店ではこの春からドイツの高級紅茶「ロンネフェルト」約50種の販売が開始された。同紅茶は製造元が販売員に、紅茶と製品についての一定レベル以上の知識を求めるのが特徴。石黒氏はじめ担当スタッフは紅茶の知識を深めるため、ロンドンでの海外研修を実行。現在担当スタッフ達は、パンとの相性紹介やメニュー提案も含め、的確な商品紹介が可能に。良品の導入に積極的な同店は、塩やオリーブオイルを含めたスプレッド類も販売。パン食の楽しみを深めるアイテムも提供している。店内には、パンを軸にしたさまざまな楽しさが詰まっている。
 同店が「店全体を手作りで」と考えるのも、画一性の高い既製品ではなく、世界で唯一のオリジナリティーを追求する姿勢から。客に提供するのはパンだけではない、店員を含めたオリジナルで良質な店の空間そのもの。ベーカリーやパン事業にパン販売以外のさらなる可能性を感じさせる店だ。



SHOP DATA

店名 ブレッドギャラリーコンチェルト
住所 東京都調布市菊野台2-58-2
電話 042-446-3555
営業時間 午前8時〜午後7時30分
定休日 無休 
品揃え 約100品目
店舗面積 売場20坪、工場27坪
スタッフ パート・アルバイト含め約40人(基本的に製造・販売共に行う)
日商 夏季平日約15万円、土日祝約25万円



原価計算女王
原価計算女王

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