記事の閲覧
| <<戻る |
| いろいろ、エッセイ/2009年6月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| より多くの人に感動を与え続ける - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)
いろいろ、エッセイ(30)
テレビで接客応対のロールプレイング大会の模様を放送していた。会場では各地区の予選を通過した販売員の接客応対の様子が審査されていた。 「微笑みながら」「さりげなく」製品の特徴をアピールしたり、食べ方を提案する参加者の態度に大変感動した。 販売員は決して前へ出ないようにすることを、販売の先輩から昔教わったことがある。つまり主役はお客様であり「さりげなく」応対することがポイントであるというのだ。 最近は販売員が歌って踊って笑顔をプリンプリンに振りまくことを売りにしている店もあるようだが、私にはそのような店は馴染まない。多分何も買わずに飛び出てくるだろう。「さりげなく」という言葉にめぐり会うのも久しい。「さりげなく」とは、そんな様子を見せないこと、と辞書にある。 相手の意向をくみ取り、それに応える為に力を注ぐ。そこにいつも微笑みがあり、「さりげなさ」がある。こんな販売員を一人でも多く育てる事が必要だ。 接客が売上に影響するウエイトは大きい。だから接客教育に力を入れる必要があるのだ。 昨年のことになるが、ある中華レストランを紹介させて頂いた。先日久しぶりにその店を訪ねた。昼休みの時間まで30分近くある時間帯だが二組のお客がいる。前と変わらない美味しい料理で満足した。 食べ終えて一息つこうとした時、若い店員が来て何も言わずに食器を片付け始めた。その時店員が無言で「終わったら早く帰れ」と言っているように私は受け取った。 これが私が自慢していた店かと、少々がっかりした。その店に対するイメージはその一件以来大きく変わってしまった。以前は必ず店員からの一言があった。そんな事も心遣いの一つだ。 お客は販売員に「さりげない心遣い」の接客を期待しているのだ。 先日、いま流行のバスツアーで日帰り旅行を楽しんだ時に、プロの仕事をする添乗員に出会った。40名のお客を相手に手際よく進める添乗員の仕事振りに無駄はまったくない。身についた動きで速やかに、しかも確実に仕事を進めている。ここまでなら過去に何人かの添乗の方々に巡り会っているが、旅も終わりに近づいた時、狭い車内を一人一人に微笑ながらお礼の挨拶をしてまわっていた。こんなことは初めてのことなので感動した。隣の席の女房もしきりに感心していた。 プロの仕事とは、より多くの人に感動を与え続けることだと、挨拶をしてまわる添乗員の後姿を見て思った。 |




2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。






