リニューアル成功の秘策〜売れるお店に変える〜 / 第三章 設計者の選び方とつきあい方 - ブランスリー電子版

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リニューアル成功の秘策/2009年6月号

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リニューアル成功の秘策〜売れるお店に変える〜
第三章 設計者の選び方とつきあい方
角田誠(つのだまこと)
日本商業施設学会会員、商業施設士、商業施設活性化コンサルタント、一級建築士。株式会社第一店装(電話044‐222‐3913、http://www.dai1-t.com/)代表取締役。武蔵工業大学(現東京都市大学)卒業。商業施設の企画、設計、施工などに、数多く携わる。「江東区魅力ある個店づくり」「熱海市商工会議所店舗診断」制度などの派遣指導員として活躍。(協)日本店装チェーン理事、日本商業施設士会理事などの団体役員としても活躍中。



■設計者選びはパートナー選び

 お店をリニューアルした方、新装開店したばかりの店主さん、そういった方々のお話を聞く機会があります。「良い店ができた」と喜んでいらっしゃる方がある一方、「使い勝手が悪い」「思っていたのと違う」と渋い表情で本音を漏らす方は、意外に多いものです。
 リニューアルは、大事業です。規模によっては、数百万円から数千万円の設備投資をすることになります。お店ができたあとに、「やっぱりこうすれば良かった」という後悔は、絶対に避けましょう。
 そのためにも「設計者の人選」が重要です。設計コストは、総予算のうちの数%と考えられます。しかし、設計の占める比重は、リニューアル成功のうえで、大きなものがあります。
 設計者を、リニューアルにおける、最も心強いパートナーとしたいものです。オーナーの構想をカタチにし、オーナーの立場にたって見積の内容検討、関係法規の確認、工事のチェックなどを行います。
 設計者には、オーナーと価値観を共有できる最高のパートナーを選びましょう。



■設計者を選ぶポイント(その1)

 では、どのような設計者に、自分のお店をまかせればよいでしょうか。
 まず、設計者は、業種に精通していることが大切です。店舗設計者は、ほとんどの場合、自らの得意な分野を持っています。医師の世界でもさまざまな専門分野があります。たとえば、外科の医師のなかにもさらに細かく、症例や部位によって、専門が分かれているようです。
 店舗設計者も同様で、飲食店が得意な人、アパレルが得意な人などがいて、その他にも、宝飾店、雑貨ショップ、理容美容など、あらゆる専門の分野があります。
 業種ばかりではなく、「和風」、「欧風」、「エスニック風」などのデザイン様式による違いもあります。
 設計者の得意業種や経験を知るためには、手掛けた店舗の実例写真や資料を見せてもらうことが有効です。
 特に物販店には、「商品知識」が不可欠です。商品の陳列方法やお客様の購買パターンを理解していなければ、売れるお店を設計することはできません。
 オーブンフレッシュベーカリーの場合は、さまざまなパンのアイテム知識や機能性の良い店内レイアウト、効果的な陳列方法の提案などができることが大切になります。
 さらに、厨房設備では、製パン機器に関する知識やパン生地を乾燥させない厨房内換気の手法といった、電気、ガス、水道、空調など、あらゆる設備設計のスキルをもっていることが要求されます。
 ベーカリー同業者からの紹介は、専門の設計者を正しく選任するうえで信頼できるものです。また、製パン機器メーカーや食材業者などの業界関係者の口コミ情報も参考になるでしょう。



■設計者を選ぶポイント(その2)

 次に大切なのが、設計者のコミュニケーション力です。
 リニューアルにあたり、オーナーの「こんなお店をつくりたい」という思いを的確に理解できる人物(会社)を選びましょう。オーナーの店づくりの構想をより良いカタチにするため、すぐれた設計者は、オーナーとキャッチボールを繰り返すことで、価値観の共有を図ります。
 設計者には、専門性に走りすぎて、これらのコミュニケーションを軽んじて、自己満足の設計を押し付けることもあります。
 それではオーナーにとって、店づく
りの良いパートナーとはいえません。冒頭の「使い勝手の悪い店」や「構想と違う店」になるのは、このような場合に起こりがちです。
 また、設計者の仕事には、「設計業務と監理業務」があります。
 「監理」とは、施工業者が設計プラン通りに工事を行うかをチェックする仕事です。この場合でも、設計者の施工業者に対するコミュニケーション力が重要です。
 すぐれた設計者は、設計と工事にズレが生じないように、あらかじめ施工業者によく説明し、理解を求めます。それでも、不都合が生じた場合は、工事のやり直しを指示する場合もあります。
 どの場面においても、設計者のコミュニケーション力が重要です。
 オーナーにとって、設計者のコミュニケーション力を推し量ることは簡単でないかもしれません。
 しかし、例えば設計者との会話の中で、こちらの質問や要望に対して的確に受け答えをしてくれるならば、話しやすい関係ができるでしょう。
 話しやすい関係を保ちながら誠実な業務の進め方をする人が、自分のお店づくりのより良きパートナーといえます。

■いつ設計を正式に依頼するか

 設計者と設計契約をすることで、業務報酬が発生します。それは、どの業務からになるのでしょう。
(1)改装の基本構想を確認するための
打合わせ
(2)平面プランの提示
(3)パース(完成予想図)
 (1)及び(2)の仕事までは、無料で行う場合が多いといえます。また、平面図だけでは、なかなか理解しづらいので、(3)のパース(完成予想図)の提示を行う場合もあります。これらの提示された資料を参考にして、設計を依頼するか、を判断します。
 ただ、設計者によって、業務報酬の範囲は、異なる場合もあります。無料での相談はどの範囲までなのかを事前に確認しましょう。同時に、設計の報酬についても、早い段階で確認しておくことが大切です。
 信頼できる「設計・施工業者」に設計と施工を一括依頼する場合でも、設計コストをサービスさせるのは望ましいとはいえません。設計費と工事費を混乱させることなく、責任ある業務を依頼しましょう

■情報と価値観を設計者と共有する

 リニューアルにより、お店をどのように生まれ変わらせたいか、その基本
構想について、設計者との間で共通の認識を持ちます。その前提として、現在のお店の様態を理解してもらう必要があります。
次に示す内容を、設計業務をする前に設計者に伝えることをおすすめします。
○創業年及び最近の改装時期
○客単価と来店客数
○スタッフの人員配置
○売れ筋商品(人気商品)と売り筋商品(利益を生む商品)
○店舗立地の特性と競合店
 また、営業中の様子を十分に見てもらいましょう。熱心な設計者ならば、曜日や時間を変えて観察することもあります。
 次に、現在の店舗運営から何が困っていて、どのように改善したいのかを伝えます。リニューアルは、「店舗改善の延長」ですので、その価値観を設計者と共有することが大切です。

原価計算女王
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■設計は設計者まかせにしない

パース(完成予想図)例
 デザインについては、その「ヒント」を提示してみることをおすすめします。それは、「キーワード」や、あるいは「イメージ写真」で十分です。例えば、イメージに合った南仏の街並みの写真があれば、そこからデザインコンセプトが膨らむことになります。
 デザインコンセプトが決まれば、素材、色、かたち、店頭の見せ方、ゾーニング(エリア分け)などの基本設計が進んでいきます。この段階でも、全てを設計者まかせにするのは、やめましょう。「なぜこの素材か」「なぜこのかたちか」を納得するまで確認します。設計者は、必ず、「お店づくりのストーリー」を描いているものです。そのシナリオを理解することが、リニューアル成功のカギといえます。
 もし、自分と設計者の考え方に違いが生じた場合は、どう判断すればよいでしょうか。設計者は、「お店づくりのストーリー」を念頭に、トータルコーディネートを考えるものです。オーナーの一部変更の要望により、基本ストーリーが崩れてしまうと、ひとつひとつは正しくても、アンバランスなお店になる危険があります。「お店づくりのストーリー」はできる限り尊重しましょう。
 また、設計プランが、現状のお店の「店舗改善の延長」になっていない場合は、設計者にはっきりと指摘して、修正を依頼します。その場合、変更はできる限り早めに申し出て、設計の手戻りを最小限にします。
 設計プランの良否の、最終的な判断基準は、自分のお店をご利用される「お客様」のためを考えたお店づくり、ということを念頭に考えて、オーナーが決断しなくてはなりません。


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