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| 食のトレンドを追う/2009年6月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 「弁当男子」が牽引する新たなマーケットと、その「ライフスタイル」とは | |
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「弁当男子」という言葉をご存知だろうか――。現在、巷をにぎわしている「弁当男子」とは、かつて、OLや愛妻弁当持参のサラリーマンのものであった手作り弁当を、自ら楽しんで作り、職場に持参する独身男性たちのことである。彼らの存在が起爆剤になり、続々と新たなマーケットが生まれている。「弁当男子」をひもとくことで見えてくる新たなライフスタイルとは?
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| 節約・エコ・健康志向が弁当ブームのキーワード | |
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オフィスのランチシーンに、ちょっとした異変が生まれている。折からの健康志向や昨年からの不況の影響などが重なり、外食ランチから手作り弁当派へとシフトする人たちが増加、弁当ブームが起こっているのだ。
『手作り弁当』と聞くと、OLたちが持ち寄る色とりどりの弁当や、サラリーマンが遠慮がちに広げる愛妻弁当をイメージする人も多いだろうが、今回は少々勝手が違う。ブームを牽引しているのは、「弁当男子」と呼ばれる独身男性たち。すでに様々なメディアでも取り上げられているため、ご存知の方も多いだろう。 「弁当男子」とは、その名の通り、『弁当を自ら作って持参する男性』を指す。この言葉が出始めたのは今年初めごろ。火付け役となったのは、ショッピングサイトの「カラメル」が今年2月に行なった「弁当男子特集」だ。男性による弁当ブログや男性向け弁当グッズなどを紹介して話題を呼んだ。 「昨年から弁当を作り始めている男性が増えていると感じ、1月に男性向け弁当グッズをネット上で紹介したところ、反応がよかったため特集を組みました。弁当作りそのものを楽しみ、ブログで紹介する男性が増えています」と話すのは、サイトを運営するpaperboy&co.の安宅啓氏。 住宅や不動産情報のポータルサイトHOME`sを運営するネクストが4月23日に発表した「2009年度一人暮らしの社会人における意識と実態調査」によると、男性の27・7%が手作り弁当を持参しているという。実際、今回の取材を通じて周囲に「弁当男子」派が多数いることが判明。その声を聞いてみると、「きっかけはボーナス減。外食は800円以上かかるけど自炊は300円以下」「最初は抵抗があったが、出勤前の気分転換になるし、女性ウケもいい」「以前からマイ箸と水筒を持参していたので自然と弁当へ」「メタボ防止のため、カロリー計算しながら作る」・・・。 理由は様々だが、そこから見えてくるのは、節約・エコ・健康志向というキーワード。ケンタロウやコウケンテツなど、イケメン料理研究家の台頭で、「料理ができる=男のステイタス」になりつつあることも影響しているのだろう。 |

| 男性用弁当箱、前年比205%の伸び | |
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この流れをいち早く汲み取ったのが横浜ロフト。2月中旬から約2カ月間開催した「春のランチマーケット」で「弁当男子」のコーナーを設置した。
「毎年この時期に新入学生向けに弁当グッズコーナーを設けるのですが、今年は男性にターゲットを絞りました」とは、販売課販売促進担当の横川鼓弓氏。約60種類の男性用弁当グッズをそろえ、前年比170〜180%と売り上げを伸ばした。 「昨年春からのメタボ検診により、大人向け弁当箱は売れはじめていたのですが、秋のリーマンショックで節約志向が高まり、売れ行きがさらに加速していたんですね。当初は、ご主人用に買っていく奥様方も多かったのですが、秋以降は若い男性のお客様が増えていたため、コーナーを新設しました。その反響は大きく、イベント期間を延長したほど」(横川氏)。 現在も規模を縮小して「弁当男子」コーナーが設けられているが、その勢いがとどまる気配はない。通常、弁当グッズは入学直前時期をピークに売り上げが減少するが、今年4月の売上は前年同月比205・8%と急増中だ。 売れ筋は、ビジネスバッグに入るスリムタイプ。昨年冬には、温かいまま持ち運べる魔法瓶タイプが大ヒット、現在は保冷バックつきや銀を練りこんだ抗菌仕様も人気が高い。ごはんがこびりつかないつや消し仕様などの新傾向や、カラーバリエーションも増加。関連グッズも総じて好調だ。 「エコブームの影響もあり、以前からステンレス製水筒は売れていたのですが、弁当ブームにより、シリコン製おかずカップなど、使い捨てではないエコグッズをあわせて購入する方も多いですね。下ごしらえを簡単にするレンジグッズも受けています」(横川氏) 「弁当男子」が生み出すマーケットはそれだけにとどまらない。本屋には男性用弁当本がズラリと並び、女性定番のアフタースクールだったこんな場所にもその姿が見られるように・・・。 「2007年から開催している男性向け料理教室の会員数は4月末で約600名に達しました。昨年の12月から会員が増え始め、3月からは毎月急増しています。料理ができる男性が支持されていることや、婚活として通われる方も。30代前後の方が多いようです」と話すのは、ABC Cooking Studio広報・西沢貞子氏。 一度ハマると凝り出すのは男性のサガ。ブームは果たして定着するのか。今後に注目したいところだ。 |

| 弁当用フライものが一人勝ちしている冷凍食品業界 | |
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もちろん、食の世界でも恩恵を受けている分野がある。
「昨年の餃子騒動で冷凍食品の客離れが起きていたが、弁当用のフライものだけは以前より売れている。通常、売り上げが落ちる夏休みシーズンも好調をキープ」(大手冷凍食品メーカー) 不況による内食回帰もあり、ふりかけや味つけのりなどもヒット中だ。 様々な分野で新たなマーケットを生み出している「弁当男子」が意味するものとは、一体なにか――。そこには節約や健康志向といった外的要因だけでなく、どうも独身男性の内的要因が大きく関係しているようだ。自身も弁当男子であるという「カラメル」の安宅氏は弁当作りの魅力をこう語る。 「限られたスペースの中、色とりどりのオカズをレイアウトしていくのは楽しいし、普段関わりのない他部署の人と弁当を通じてコミュニケーションがとれるのも楽しみのひとつ」。 薄れつつある『飲みニケーション』から、弁当によるコミュニケーションへ――。まるで独身男性のライフスタイルの変化を示しているかのよう。折しも『草食男子』という言葉がマスコミを賑わしている昨今。自分のペースを大切にし、無駄なことには時間やお金を使わない。そんな草食男子と弁当男子の姿がリンクして見えてくる。 「今、弁当箱以外で伸びているのがメンズケアグッズ。自分の外見に気を遣うのと同様に、健康やお金の使い方にも気を遣う。彼らにとって弁当作りは、自己管理のひとつ」(横川氏) 新たな価値観が生み出した新スタイル。弁当男子は、時代を象徴した男性像を体現しているともいえるのだろう。(N) |
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