ベッカライヒンメル:斬新で自由な発想でパンを作る

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お店拝見/2009年3月号

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斬新で自由な発想でパンを作る - ベッカライヒンメル

白壁に、イメージカラーのスカイブルーが映え、爽やかな印象の店舗


シュー皮に近いレーズン入りの生地を揚げた「クラプフェン」(100円)。金長さんが修業していたドイツのベーカリーの人気商品のひとつで、金長さんが最も美味しいと感動した商品だという。


中は大きな空洞がたくさんあり、独特の食感


ドイツパンの定番「プレッツェル」(220円)も健在


製造スタッフと共に、オーナーの金長暢之さん(中央)


売り場の床には、タイルで作ったモザイク模様のオーナメントが埋め込まれている
 東急目黒線・大岡山駅から徒歩約2分の場所に、鮮やかなスカイブルーが印象的なベーカリーがある。店名は「ベッカライヒンメル」。ドイツ語で「空」という意味だ。オーナーの金長暢之さんはドイツで2年間、パン職人として働いた経験を持つ。しかし、ドイツで学んだことをそのまま日本で再現しているだけではなく、そのエッセンスを活かしながら、金長さん流に再構築された商品とサービスを提供している。
 金長さんは、「店で目でまず楽しんでいただき、家で味を楽しんでいただきたい。おじいちゃん、おばあちゃんから小さな子どもまであらゆる世代の人たちから支持される店になれたらいいなと思っています」と話す。
 金長さんのパン作りは、斬新で自由な発想に溢れている。例えば、メロンパンの「メロンMEN」(160円)は、上生地に、ドイツで覚えたシュトロイゼルという生地を使用し、「サクサク」と「カリカリ」の中間ぐらいの独特の食感に仕上げている。
 「クラプフェン」(100円)は、金長さんが修業していたドイツのベーカリーの人気商品のひとつで、金長さんが最も美味しいと感動した商品だという。「この商品の作り方を覚えられるだけでも、ドイツに来た価値がある」と金長さんは思ったという。
 生地はシュー生地に近く、レーズンを入れている。焼くのではなく油で揚げる。でき上がった製品の中は空洞になっている部分が多く、独特の食感だ。
 一方、「焼きカレーパン」(240円)には、フランスパン生地を使用。表面にバゲットを砕いたものをまぶして焼成する。見た目も味も個性溢れる商品に仕上がっている。
 金長さんは、「パン作りに決まりなんてないと思うんです。フォカッチャの生地にあんこをあわせたって、おいしければぜんぜんOKだと思いますよ」という。
 一方で、オーソドックスなドイツパンもきちんと作っている。ライサワー種は、ドイツで教わったものをベースに、日本の材料を使って自分なりに作ったものだ。これを毎日種継ぎをして使用している。この他、小麦粉から起こした種も使用している。
 金長さんがおすすめのドイツパンは、「6種の穀物」と名づけたライ麦粉が60%入ったパンだ。オートミール、白ごま、ひまわりの種、かぼちゃの種などが入っている。この他、「プレッツェル」(220円)、「カイザーゼンメル」(コーングリッツ、白ごまなど4種類、各160円)などもドイツパンの定番商品だ。



ドイツでは、仕事のスピードを学んだ

チーズとハラペーニョを使った「ツォイスシュタンゲン」(右、380円)と、フォカッチャ生地でベーコンを包んだ「シュペック」(左、260円)


カイザーゼンメルは、白ごま、コーングリッツ、ひまわりの種、かぼちゃの種を、それぞれ表面にまぶした4種類で、各160円


フランスパン生地を使用した「焼きカレーパン」(240円)


オレンジピールを使用したフレンチトーストの「切り株」(250円)


9坪ほどの売り場には、完全オーダーメイドの陳列棚などが配置されている


厨房は、入り口のすぐ右手にあって、大きな窯が売り場に向かって設置されている


6種の穀物が入ったライ麦パンの「6種の穀物」(640円、ハーフカット320円)


ほうれん草を練り込んだ「ベーグルシュピナート」(250円)
 金長さんは、サラリーマンとして働いていたおよそ10年前に、「自分の店を持ちたい」と脱サラをし、埼玉県のあるベーカリーでパン職人としての修業を始めた。そこで3年間働いたあと、ドイツパンを学ぼうと、ドイツへ渡った。
 「妻と2人で、到着当日の泊まるホテルも予約していない状態で、日本を出発しました。とにかく思い立ったらすぐに実行しないと気がすまない性格なんです。とにかく向こうに行ってさえしまえば何とかなるという考えでした」(金長さん)
 ドイツでのホテル暮らしは1週間程度で終わらせることができた。飛び込みで交渉し、現地のベーカリーで働かせてもらえることになったのだ。
 「3日間のテストののち、『是非うちで働いてくれ』といわれました。嬉しかったですね」
 ドイツで学んだことで、今一番役立っているのは、仕事をスピーディーにこなす能力が、身についたことだという。
 「向こうは、労働法制が厳しく、1日の労働時間が決まっているんです。ですから、その中でいかにしていい仕事をするか、という観点から、製パン法が発達してきたみたいです。ドイツのパン職人は、決められた時間内に大量のパンを作らなければならないので、分割や成形の作業などがとにかく早いですね。また、仕事の効率ということを最重要視し、例えば、広い厨房の中を移動してまたもとの場所に戻ってくるとき、手ぶらで戻ってきたら怒られるんですよ。折角あそこまでいったんだから、次にここで使う道具を持って戻ってこいということなんです」(金長さん)
 ドイツで約2年間修業を積み、帰国。その後、東京・世田谷区のフレンチスタイルの有名ベーカリーで、「スーシェフ」として働くことになった。「シェフと共に充実した日々を過ごさせていただきました。シェフからは、主にフランス系のパンについて多くを学びました」(金長さん)
 2008年1月、念願だった自分の店をついにオープン。白壁にいイメージカラーのスカイブルーが見事に映える、爽やかな外観で、インテリアも、床にタイル張りのオーナメントをあしらったりして、随所に個性を演出している。
 「店の工事中は、ほとんど毎日現場に行って『ああでもない、こうでもない』と建築の職人さんとやり合っていました。業者泣かせの注文主だったかも知れません」(金長さん)



ヒンメル

店名 ヒンメル
住所 東京都大田区北千束3-28-4
電話 03-6431-0970
営業時間 午前7時30分〜午後7時30分
定休日火曜日 
品揃え 約50品目
店舗面積 厨房約9坪、販売スペース約9坪
スタッフ 製造3人、販売常時2人
日商 平日約15万円、土日祝約20万円



原価計算女王
原価計算女王

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