「本物」「高級」をキーワードに子どものおやつから進化する大人向けスナック菓子 - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
食のトレンドを追う/2009年2月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


「本物」「高級」をキーワードに子どものおやつから進化する大人向けスナック菓子

カルビー スナックカンパニーマーケティングチーム・斧本和美氏
 スナック菓子といえば、子どものおやつというのがこれまでのイメージだった。しかし最近では、従来の定番商品にひと工夫もふた工夫も凝らしたスナック菓子が大人向けとして売り出され、ヒットを飛ばしている。もともとスナック菓子は、外食の減る不況時に強い商品といわれるが、なかでも不景気の追い風をうまく取り込んで市場を伸ばしているのが、意外にもやや割高感のある大人向けスナック菓子だ。ともするとチープな食品との印象を抱きがちなスナック菓子が、様変わりし新たな消費者層を取り込み始めた。生産が間に合わず出荷停止になるものもあるという好調の要因とは?



40代をもとらえたスナック菓子の元祖

「日本味紀行」第1弾の、青森産のにんにくを使用した『かっぱえびせん 塩にんにく』


「日本味紀行」第2弾の、大分産のゆずを使用した『柚子こしょう』


「日本味紀行」第3弾の、和歌山産山椒を用いた『黒煎り七味』
 日本初のスナック菓子は何かご存知だろうか。諸説あるものの、本格的なスナック菓子としていち早く市場に登場したのは、カルビーの『かっぱえびせん』だ。「やめられない、とまらない」のフレーズでお馴染みのこのスナック菓子が発売されたのは昭和39(1964)年のこと。それから40数年たった現在も店頭に並ぶ定番中の定番スナック菓子だ。
 スナック菓子の元祖といわれる『かっぱえびせん』に、昨年6月、大人をメインターゲットに据えた新シリーズ「日本味紀行」が登場した。第1弾は、青森産のにんにくを使用した『かっぱえびせん 塩にんにく』。3カ月後の9月には、大分産のゆずを使用した『柚子こしょう』が登場。いずれも好調な売れ行きを示した。そしてさる12月には、第3弾として和歌山産山椒を用いた『黒煎り七味』が発売されている。
 「『日本味紀行』シリーズの主なターゲット層は、40代の主婦に想定しました。お子さんが中学生くらいになったこの層では、友達同士や夫婦でお茶を飲みながら、あるいはお酒を飲みながら食べることのできるスナック菓子へのニーズが高いことがわかったのが開発のきっかけです。そうしたニーズにフィットした商品をつくることができ、おかげさまでよい実績を残しています」(カルビー スナックカンパニーマーケティングチーム・斧本和美氏)
 まだ子どもが小さい30代では子どもの嗜好を優先してお菓子類を購入する傾向が強いものの、子どもが成長するにつれてその傾向が弱まっていく。従来、『かっぱえびせん』の離反層だった40代をつなぎとめるための切り札的商品として開発されたのが、「日本味紀行」シリーズだった。
 「日本味紀行」シリーズのコンセプトは、『こだわりの素材』。日本各地の名産から厳選された素材を用い、大人が満足する高級感漂う風味を出すことが大きなテーマだったという。和風を強調することで、安全・安心をアピールすることができたのに加え、従来の『かっぱえびせん』のブランド・イメージを損なうことなく新機軸を打ち出すことができた。
 「様々な名産を取り寄せ、試食しながら味付けを決めていきました。単にいい素材というだけではなく、エビとの相性や、スナック菓子としておいしく味付けできるかがポイント。濃厚になりすぎず、また奇をてらうことなくそれでいて新鮮で、お茶うけのおやつとしてもお酒のおつまみとしても対応できる味を設計しています」(斧本氏)
 従来の『かっぱえびせん』よりやや固めで幅広、さらに少しねじらせた形状も、食感や見た目を大人の志向に合わせて決められたものだ。3カ月ごとの期間限定で発売されるのも、「季節感を感じながら味わっていただきたい」(斧本氏)という、大人ならではの感性に訴えかける狙いがある。
 また、東ハトも人気スナック『キャラメルコーン』シリーズに、昨年10月、大人向けの『ザ・キャラメルコーン スパイシーチョコ味』を追加ラインナップ。新たな消費者層の開拓に乗り出した。



売れ過ぎて出荷が止まったおつまみスナック

江崎グリコが昨年2月に発売開始した『チーザ』。味は、「チェダーチーズ」(左)と「カマンベールチーズ」(右)の2種類
 よりマーケットを絞り込み、お酒のおつまみとして売り出したスナックもある。江崎グリコが昨年2月に発売開始した『チーザ』である。同社いわく「大人のためのおつまみスナック」の『チーザ』は、発売直後から飛ぶように売れ、生産が追いつかず一時販売休止を余儀なくされたほど。再発売後も売れ行きはすこぶる好調で、当初目標の4倍という高い水準で消費されているという。大ヒットの要因を、江崎グリコ広報IR部の渡辺俊光氏は、次のように分析する。
 「これまでのおつまみは、ピーナッツやさきいかなど加工度の低く、地味なものが多かった。そこで当社が『ポッキー』や『プリッツ』で培った技術を駆使して、加工度の高い魅力的な、つまり華やかでおしゃれなおつまみを提供できたのが理由でしょう」
 味は、「チェダーチーズ」と「カマンベールチーズ」の2種類。本物のチーズを51%以上練り込み、グリコ独自の『ハイチーズ製法』によってカリカリに焼き上げられたのが特徴。チーズの濃厚な味わいと香ばしさが独特の食感と相まって絶妙な旨みを醸し出している。「これまで食べたことがないおいしさ」という消費者の声も多いという。
 『かっぱえびせん 日本味紀行』とは対照的に、『洋風』のイメージを全面に押し出したのも成功の理由だ。本物のチーズを模した形状や、横文字をメインにしたカラフルなパッケージは、これまでのおつまみの地味なイメージとは一線を画し、自宅や友人宅でちょっとおしゃれにお酒を楽しみたいという大人たちから支持された。



新たな定番を目指し進化する大人の『おやつ』

 子どもに大人気のスナック菓子、おやつカンパニーの『ベビースターラーメン』も、大人向けの『ベビースターラーメン おつまみ』を発売して好評を博している。逆に、おつまみメーカーが新たにスナック菓子の分野に進出している例もある。珍味・おつまみの老舗、なとりは、昨年3月から水産系スナックの『ディップするおつまみ』シリーズを発売。大人向けの新たなスナック菓子の食べ方を提案している。
こうしたお菓子メーカーやおつまみメーカーが、ターゲット層を大人に据えたスナック菓子の商品戦略に打って出た背景のひとつには、いうまでもなく少子化の波がある。これまでのように子どもをメインに見据えたマーケティングだけでは、先細りは明らか。単なるお菓子メーカーという枠組から脱却し、離反しがちな大人層の消費者をどう取り込んでいくかが持続的に発展していくための大きなカギなのだ。
 では、大人の消費者に訴求するポイントは何か。和風洋風の違いはあるものの、カルビー、グリコ両者の戦略を見て浮かび上がってくるキーワードが、「本物志向」「高級感」だ。「不況のあおりで、消費者が安さを求める傾向は強まっていますが、一方で、本物感、高級感といった質の高さに対するニーズは衰えていません。『日本味紀行』シリーズでも、スナック菓子らしくない本物感を評価するお声を沢山いただいています」と、前出の斧本氏は話す。
 「日本味紀行」シリーズは、従来の『かっぱえびせん』と価格は変わらないものの、内容量は90グラムから60グラムと3分の2に減少している。実質、割高になっているのだが、「ネガティブな意見はまったく聞かれない」(斧本氏)という。『チーザ』に至っては、内容量わずか38グラムで実勢価格190円前後とスナック菓子にしては高価な部類に入るといっていい。それでも大人の消費者は、こぞって手に取るのだ。価格だけでは争えないのが大人市場の難しさでもあり、また可能性の大きさということもできるだろう。
 「今後は、『健康』という側面も大人向けスナック菓子を展開するための切り口になり得るのではないでしょうか」(斧本氏)
 子どものおやつから大人も楽しめる嗜好品へ。新たな定番を目指し、スナック菓子の進化は加速しそうだ。

原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら