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| 小規模店舗でも多頻度焼成は可能 - フェルマータ |
 真っ赤なテントがシンボルマークのフェルマータの外観  フランス産の小麦粉を使用し、低温で長時間発酵させた「バゲットJUN」(250円)。1日9本の限定販売だ  左から晶子夫人、鈴木純一郎オーナー、スタッフの山村さん  レジは入店して左側にある。レジの下は、サンドイッチの冷蔵ショーケーズだ 東京・国分寺市に2008年11月にオープンしたフェルマータは、売り場が3坪と規模は小さいが、パン作りへの思いはとても大きなベーカリーだ。オーナーの鈴木純一郎さんは、大手ベーカリーチェーンのポンパドウルに20年以上、製造スタッフとして勤務したベテラン。 しかし、立地とブランドが違えば当然作るパンも変わってくる。鈴木さんは、ポンパドウルで身につけた技術を最大限に活かしながら、それをさらに自分なりに進化させて、開業した地域の人たちに合った独自のパンを作り出した。 JR立川駅を降りて、バスで10分ほどの立川通り沿いにフェルマータはある。真っ赤なテントがシンボルマークの外観で、入店すると、陳列台をはさんで目の前にオーブンが迫ってくる。オーブンから出たパンをそのまま店内の客が持つトレーにのせられるくらいの近さだ。 商品は全体的に小ぶりで上品な雰囲気のものが多い。鈴木さん一押しの商品は、フランス産の小麦粉を使用し、低温で長時間発酵させた「バゲットJUN」(250円)だ。1日9本の限定商品になっている。この商品は鈴木さんがポンパドウル時代に開発して、ある製粉会社が主催するバゲットのコンクールで賞をもらったもの。長時間熟成させたことなどによる独特の深い味わいが特徴の商品になっている。 フェルマータのすごいところは、売り場3坪、日商7万円の規模で、ほとんどすべての商品について少なくても1日2回、平均で3回は焼成していることだ。カレーパンなどは1日6〜7回は揚げるという。 「『昼前にはすべて焼き上げてしまって、あとは並べておいてお客様が買っていくの待つだけ』というやり方だけは絶対に避けようと思っていました。売上が50万とか100万だったら、放っておいても焼成回数は多くなるのでしょうが、うちぐらいの規模で焼成回数を多くしようと思えば、意識的にそうしなければなりません。製造効率は悪くなるのですが、1回に窯に入れる個数を少なくするんです。だから、窯も2枚差し3段です」と鈴木さんは説明する。 当然、顧客が焼きたてを購入出来る確立が高まり、「この店はいつ来ても新しいパンがある」との評価がひろまり、固定客が自然と増えていく、といういい循環が生まれる。だからこそ、この規模で平均日商7〜8万円にまでなったのだろう。製造キャパの問題はあるが、今後も売上が伸びていく方向に確実に回転している。
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| 借金は一切せずに初期投資を抑える |
 焼き上がった「バゲットJUN」の出来栄えをチェックする鈴木さん(右)  レーズン入りのソフトな生地を、薄くのばしたフランスパン生地で包んで焼いた「レザン」(420円)  オーブンは、「売り場の中にある」といった雰囲気だ  1日6〜7回は揚げるという「カレーパン」(120円) 「最初はただ漠然と自分の店をもてたらいいかな、ぐらいにしか考えていなかったんですが、いつの頃からか、だんだんと独立したいという思いをはっきりと意識するようになりました。そうなると、普段の仕事の中で、『自分だったらこうする』という視点が生まれてくるんです。それが自分の考えを大きく発展させてくれたように思いますね」(鈴木さん) 鈴木さんは、ポンパドウル時代に通勤で立川通りを自転車で走っていた。通り沿いにあった「ここで店をやれたらいいな」と思っていた物件が、空き家になっていてテナントを募集しているのを見て、鈴木さんは、すぐに行動を起こした。 借金は一切しないことにして、それまでの貯金と退職金の範囲でできる店を造ることに決めた。 なるべくお金をかけないようにと、陳列台などの什器類も自分で作れるものは自分で作った。機械類は、オーブン、ドウコンディショナー、フリーザーは新品を購入したが、あとは中古品で揃えた。
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| テスト焼きのパンを無料で配り、PRする |
 約3坪の売り場には、こぶりで品のいいパンが並んでいる  デニッシュ生地を星の形に成形して焼いた「星くんたち」(1個20円、10個入り200円)  さわやかな風味に仕上げた「メロンパン」(120円)  食パン生地にチーズを練り込んだ「ハイ!チーズ」(130円)。あっさりした味が特徴だ  もちもち感のある生地にさつまいもを練り込んだ「さつまいものパン」(100円)  フランス産小麦粉を使用し、上品な味に仕上げた「クロワッサン」(130円) オープン前の約10日間、テスト焼きしたパンを店に並べて、来店した人に無料で配るサービスを実施した。 「『中でパンを焼いていますので、ご希望でしたら差し上げます』と外に書いておいて、『近くオープンしますので是非買いに来てください』といって、無料で配りました。いいPRになったのではないかと思います」と鈴木さんはいう。 店の宣伝をしたのはこれだけで、そのほかは一切PRしていないそうだ。 「スタッフも少ないし、あまり多くのお客様が殺到してしまうと、商品のクオリティーが保てなくなるので、宣伝はあまりせずに、少しずつお客様が増えていくように願っているんですよ。少しずつだったら、体制も整えていけますからね」(鈴木さん) 現在の日商は平日がおよそ7万円、土曜日や祝日には10万円を超えることもある。スタッフは鈴木さんと、妻の晶子さん、製造補助・調理の女性、山村さんだ。3人はポンパドウル時代の仲のいい同僚だ。 「この地域の人たちが望むパンはしっかりといいものを作って提供していかなくてはなりません。でもその一方で、自分が食べてほしいものも少しずつ提案していきたいと思っています。お客さんとの双方向のやり取りが大事だと思っています」(鈴木さん)
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フェルマータ
店名 フェルマータ 住所 東京都国分寺市西町5-36-7 電話 042-534-3334 営業時間 午前7時〜午後7時30分 定休日 日曜日、月曜日(不定休) 品揃え 約60品目 店舗面積 厨房約6坪、販売スペース約3坪 スタッフ 製造1人、製造補助・調理1人、販売1人 日商 平日約7万円、土曜・祭日10〜11万円
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