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| いろいろ、エッセイ/2008年12月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 値引はその目的をはっきりさせるべきだ - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)
いろいろ、エッセイ(24)
金融危機が全世界を巻き込んでいる。日本でも株価の下落は凄まじい。私は株にはまったく興味がないが、知人が大打撃を受けてこのところ元気がない。 大恐慌の時より酷い状況で、かつて経験した事がない経済状況であるという。 こんな時は個人個人が生活防衛をしなければならない。無駄使いを止めて「もったいない」の気持ちを持つ事が大切だ。因みに「もったいない」の意味の一つに「ばちがあたる」がある。無駄使いをすれば「もったいなくて、ばちがあたる」のだ。 パリの下町にあるホテルに2週間ほど泊まったことがある。そのホテルの大きな食卓は200年前の物であると女主人が誇らしげに話していた。木肌の艶や数々の傷跡から歴史を感じた。確かに物を大切にしているのがよく分かる。物を大切にしないと「もったいなくて、ばちがあたる」のだ。どうやら生活防衛のキーワードは、無駄使いを止めて、物を大切にすることになるようだ。 「入るを量りて出ずるを制す」。収入の金額を正確に計算して、それに応じた支出をすることだ。これは生活防衛の基本的な考え方になるだろう。今の時代はどんぶり勘定が通用するほど甘くはない。 これから年末年始にかけて各地でセールやフェアが多くなる。そこで値引きについて話をしたい。 私が住む街のAデパートは開業して25年近くになるが最近業態変更をした。私がべーカリーの仕事についた30年前は、デパートの定義の一つに値引きをしないという項目があった。既存のCデパートに対抗するためにAデパートは開業から立て続けに値引きをして賑わった。 10年位して方針を変えたのか、極端に値引きが少なくなった。「値引きしないならAデパートにもう行かない」という声が相次いだ。値引きをすればお客様は来るが、しないとお客様は来ない。だからまた同じように値引きを繰り返す。 お客様には「値引きが当たり前のデパート」というイメージが出来上がっていく。そして値引きをしなくなったと同時にAデパートからお客様が去った。その結果、営業状態が悪化して業態変化を余儀なくされた。 夕方に限定して値引き販売するというベーカリーの経営者から聞いた話だが、売上は厳しいが値引きを始める時間になるとお客様が増えるという。この状態を続けるべきか迷っていた。 値引きをする時はその目的をはっきりさせるべきだ。集客の為か、サービスの為か。お客様に与える値引きのイメージも考えなくてはいけない。思いもつかないイメージがお客様の中で先行して定着することがある。それは怖いことだ。 |



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