「オトメン」ブームも後押しする?大人のオトコのスイーツ事情 - ブランスリー電子版

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食のトレンドを追う/2008年11月号

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「オトメン」ブームも後押しする?大人のオトコのスイーツ事情

甘党男性のためのウェブサイト「メンズスイーツ.com」(http://mens-sweets.com/)
 裁縫、編み物、ビーズ細工、ぬいぐるみ、宝塚…。一般に、女性が好むとされる趣味を愛好する男性たちの存在が、少女漫画「オトメン(乙男)」のヒットによって注目を集めている。男性、女性ともにさまざまな面でジェンダーの垣根が取り払われつつあるのだ。女性や子供がターゲットのはずだったスイーツ市場にも、大人の男性をメインターゲットにした動きが出てきた。食の分野においてもジェンダーフリーの柔軟な発想が求められる時代となってきたようだ。



賑わうオトコ同士の情報交換

話題の「醤油スイーツ」に着目し、メンズスイーツ.comがアトリエオランジェ(三重県四日市市)と共同開発した「醤油と豆腐のロール」=上の写真=と「醤油と豆腐のムース」=下の写真=(ロール1本とムース4個のセットで税込4200円)。醤油と豆腐は、厳選した素材と製法にこだわる「伊勢醤油」と「岡村とうふ」を使用

 「メンズスイーツ.com」という、甘党男性のためのウェブサイトがある。全国の男性向けスイーツを扱うショップの紹介、菓子店とコラボレートした「メンズスイーツ」の開発・販売ほか、サイト利用者へのアンケートをもとにした「男性1000人が選んだ人気スイーツランキング」の公開など、甘党男性が喜びそうな活動をするポータルサイトだ。
 サイトを立ち上げたのは小倉康男氏。もちろん、自身が大の甘党だ。
 「一般的に『スイーツは女性のもの』というイメージがあり、肩身の狭い思いをしていた甘党男性がたくさんいました。彼らを支えるため、男性主体のスイーツサイトを立ち上げたんです」という。
 男性からは「甘党を恥じていたが、勇気づけられた」、女性からは「彼氏や父親など、身近な甘党男性へのプレゼント選びに役立つ」という声が届くそうだ。
 コラボ商品は、サイト上でアンケートを頻繁に実施し、季節や時代によって変わる甘党男性たちのニーズを常に追いながら「チョコレート好きな男性のために」など、毎回テーマを決めて、菓子店と綿密な打ち合せを重ねて開発している。
 「今までほとんど男性を意識した商品を考えたことがなかったので、刺激になる」と、店側も興味と意欲を見せるそうだ。



ヒットにつながるオトコたちへの気配り

ファミリーマートの「男のスイーツ」シリーズ第1弾「男のティラミス」は、発売から1年以上店頭に並び続ける人気商品(写真は今秋発売の「男のティラミス・秋」)
 コンビニエンスストアでは、ファミリーマートが、同店のメイン客層である30代男性のニーズに応える商品を積極的に開発する中で、昨年6月からオリジナルデザート「男のスイーツ」シリーズを発売。
 意外にもデザート購入層は女性より男性の方が多いそうで、男性客のさらなる取り込みを狙う形だ。
 ファミリーマートでは、毎週、お弁当やデザートなど多数のオリジナル新商品が発売される。商品サイクルが短くなる中で、シリーズ第1弾で発売した「男のティラミス」は、ファミリーマートの手作りデザートの中で、12週連続1位の人気を維持し、1年以上も継続して店頭に並び続けているという異色の商品だ。
 「『男のスイーツ』シリーズは、商品名に『男』とあるので手に取りやすい、という男性のお客様の声を聞きます」と広報担当の飯干陽子氏。
 パッケージデザインは、スイーツ系ではあまり使用されない黒、容器は男性的な直線の四角形を採用するなど、男性が手を取りやすくなるような工夫が凝らされている。
 通常、デザート類は、フルーツがたくさん盛られたり、彩りが鮮やかなものが多いが、「男のスイーツ」は、コーヒーやチョコの苦味、チーズのコクなど素材を生かしたシンプルな商品展開。また、季節ごとの旬や、トレンドを意識したテーマを設定して商品を開発しているそうだ。



本物のオトコたちに贈るチョコレート

「おとこたちの空間」Part�気痢峇箟�チョコレート」(2625円)。ビターチョコと岩塩の組み合わせ。チョコを好みの大きさに砕ける専用ハンマー付き


「おとこたちの空間」Part�垢痢屮譽皀鵝�岩塩チョコレート」(2100円)。レモンの芳香と岩塩の2種類の味が楽しめる。食後酒に合うそう
 一方、シティホテル業界。右も左も「レディースプラン」ばかりというほど女性向けサービスが定着しているが、スイーツの面から男性向けのサービスを行うホテルがある。
 ホテルオークラでは、2001年11月から、男性向けオリジナルチョコレート「おとこたちの空間」シリーズを展開、好評を博している。企画担当者の宮田和浩氏は企画の意図をこう語る。
 「これまで都市型ホテルが提案するものといえば、ターゲットはいつも女性でした。しかし、実際のホテル利用客の多くは男性。そこで、日常忙しく働いている大人の男性のためのサービスを考えようと思い、企画に上がったのが『本物の男たち』に贈るチョコレートでした」
 新作は、毎年1回、バレンタインに向けた時期に発売される。シリーズに共通するコンセプトは「ゆっくりとブランデーなどを飲みながら味わう、男のチョコレート」。
 主に、岩塩、胡椒、ジンジャー、山椒、唐辛子などのスパイスが混じり、ひねりの効いた風味が楽しめる商品が多く、さらにチョコレートを割るためのハンマーや斧、はたまたダイスなど、遊び心を誘う小道具が付属されたものも。
 「日々の忙しさで忘れがちな『少年の心』や『ダンディズム』など、年齢に関係なく男性が抱く『男の美学』をホテルオークラ流のライフスタイルとして提案しています」(宮田氏)。
 同シリーズは、販売開始より安定した人気を得ており「チョコレートは甘くて苦手」「普通のチョコレートは飽きた」という層を満足させる出来ばえだそう。2001年の発売直後から大好評を博している第1弾の岩塩入りチョコレートは、目下ブーム中の「塩スイーツ」の先駆けともいえるが、「ヒット商品になったのは嬉しいですが、塩スイーツ自体はもう珍しくありません。過去の実績に安住せず、新たなブームを巻き起こすような商品を考えていきます」と、宮田氏は「男の遊び心」の発掘に意気込む。

現代社会に反映されたオトコたちのスイーツ嗜好

「おとこたちの空間」Part�困痢屮轡襯�チョコレート」(2625円)。アルコールの代謝促進や血糖値制御などの効果が注目されるシルクパウダーを配合した、ダイス付きチョコ
 なぜ、これだけ男性向けスイーツ市場が活況を呈しているのだろうか。
 「昔から甘党の男性はいましたが、時代風潮もあり、表面化しにくかったのでは。それが時代の流れとともに甘党であることをカミングアウトしやすくなり、市場も盛り上がってきたのでしょう」(小倉氏)
 「仕事一辺倒と評されてきた世代も、
自分だけのこだわりや熱中する対象を見出していきたいと思う時代になったのだと思われます」(宮田氏)
 男性たちが仕事以外に熱中するものを見つけ、自身のライフスタイルを彩る楽しさに目覚めたこと、また、ネットショッピングなど、顔を見せずに買物ができる環境が整えられたことなども背景にあるのかもしれない。
 今後も甘党男性は増え、彼らのニーズに応えれば確実に大きな市場になるだろう、と小倉氏は考察する。
 また、「女性は食後に甘いものを食べることが多いようですが、男性は一日の終わりに食べることが多いよう。男性は、仕事による疲労回復やストレス発散につながるスイーツを求めているのかも」と小倉氏がいうように、スイーツは、ストレス社会を乗り切るためのツールでもあるようだ。
 ところで、男性が食べ物に求める点といえば「ボリューム」と思いがちだが、市場ではボリューム感だけでなく、素材や味へのこだわりを前面に出す商品が目立つという。小倉氏は「男性は甘さひかえめでボリュームがあるスイーツを好む、という傾向は確かにありますが、一方で、女性に比べ、希少価値が高く、製法や原料にこだわりが多いスイーツを好む傾向も強くあります」と説明する。
 さまざまな趣味の世界で垣間見る「男性のマニア志向」は、当然スイーツの世界でも適用され、甘党男性のニーズに応えるべく、きめ細かな商品開発が進められているのだ。(U)

原価計算女王
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