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| 食のトレンドを追う/2008年10月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 塩から醤油へ…。「甘しょっぱスイーツ」ブーム定着の可能性 | |
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「塩スイーツ」と呼ばれるお菓子がブームだ。ブームの火付け役と言われているのは、フランスの有名菓子店、アンリ・ルルーから発売されている「C.B.S.(キャラメル・ブール・サレ=塩入りバターキャラメル)」。昨年5月、アンリ・ルルーが伊勢丹新宿店の常設ショップとなったことで、大ヒットとなった。
以後、様々な洋菓子店が塩スイーツを売り出し、国内大手菓子メーカーや、コンビニエンスストアなども塩スイーツを開発・販売している。「塩」の文字を前面に出したネーミングやパッケージは意外性がありすぎて、手に取るには躊躇するのではと思われるが、実際に食べてみると、パッケージで強調するほどの塩辛さは感じられず、「塩」はあくまで、スイーツの甘みや旨みを引き立てるような使われ方だ。 |

| 仏の有名菓子店、アンリ・ルルーが火付け役に | |
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「大人のためのキャラメル」としてキャラメリエ(キャラメル職人)のアンリ・ルルー氏が、フランス西海岸・ブルターニュ地方の名産品である加塩バターを使用し、開発した「C.B.S.」。バターに使用される塩は、ブルターニュ地方で名高いゲランド塩田で採れた自然海塩だ。伊勢丹新宿店のアンリ・ルルーではキャラメル商品が約7割の売上を占め、ダントツの人気。その中でも一番の売れ筋商品が「C.B.S.」。事業担当者の田代義則氏は日本でのヒットの理由をこう語る。
「最初に食べたときに、『なつかしい味』という感想を聞きます。塩は和菓子などにも使用されていますし、キャラメルも塩も日本人になじみ深いものだったからでしょう。また、近年の塩の輸入自由化以後、自然塩が美容に用いられたり、レストランはもちろん一般家庭の食卓でも塩にこだわりが見られ始めたりと、日本人の塩への関心が高まったことも要因の1つだと思います」 |

| 日本での発売以前は、個人輸入するマニアも | |
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塩が効き、甘すぎない味で、大人の男性にも人気を得ている点も注目だ。「ワインと『C.B.S.』で晩酌をする、という80代の男性がいましたし、シャンパンなど、いろいろなお酒のおともに購入していく男性が多いですね。塩が効いているので、お酒のおつまみに適しているようです」
「C.B.S.」は、1977年に製造を開始し、「パリ国際砂糖菓子展」で1980年に「フランス最優秀ボンボン賞」を、94年に「フランス銘品最優秀賞」を受賞。日本で発売される前は、高い関税を払って個人輸入するマニアックなファンもいた人気商品だ。アンリ・ルルー側も、この商品の人気は一時的なブームではない、という確信があるようだ。 |

| ロッテが「塩」をテーマにチョコレートを発売へ | |
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国内大手菓子メーカーの中では、ロッテが、「塩」をテーマに、大人のためのチョコレート「ブルーダー」を9月30日から全国で発売予定。ベルギーの3ツ星レストランで日本人初のシェフパティシエをつとめ、現在は東京ミッドタウンと恵比寿に、パティスリー「トシ・ヨロイヅカ」を構える鎧塚俊彦氏が監修を行った。
開発担当者の藤松剛幸氏は、「大人が、夜、ほっとひといきついたときに、幸せな時間に浸れるような『大人のチョコレートを作ろう』というコンセプトから始まりました」と企画の趣旨を説明する。 大人の夜の楽しみといえば、酒。そこで、酒のともになるようなチョコレート作りを模索し、さまざまなフレーバーやスパイスを試した結果、塩がチョコレートの味わいを深め、酒にもマッチすることがわかったそうだ。 藤松氏によると「ウイスキー、特にシングルモルトと一緒がオススメ」とのこと。ゆくゆくは、酒とセットでの店頭販売も行なう予定だそう。 「塩とキャラメル」「塩と珈琲豆」の2種類の展開で、チョコレートの甘み、塩とキャラメルの旨み(コーヒー豆の苦味)、クランチの食感の三位一体が美味しさの魅力であり、塩がチョコレートの口どけのアクセントとなっている点が、この商品のキモだそうだ。誰が食べても評価できる品質を保ちながら新しさを求め、かつキワモノにならないようにすることが難しかったという。 「かつては王侯貴族が、チョコレートにスパイスやはちみつを入れて飲んだり、男性は精力剤として飲んだりしていました。たまたま塩スイーツブームの時期とぶつかりましたが、むしろ、そんなチョコレートの長くて深い歴史と文化を振り返ることで現代のチョコレート作りに生かしました。商品力に自信があるので、塩スイーツブームが去っても、需要がある限り販売し続け、ロングセラーとして市場を作りたいですね」と藤松氏。商品のメインターゲットは20〜30代の男性で、テレビコマーシャルはせず、商品力のみで勝負するそうだ。 |

| 醤油メーカーなどが「醤油スイーツ」を発売 | |
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一方で、今年はさらに日本の調味料の代表格「醤油」を使用した「醤油スイーツ」が出現。醤油メーカーや和菓子店などから、醤油ソフトクリーム、アイスクリーム用醤油、醤油ショコラ、醤油シフォン、醤油ロールケーキなどさまざまな「醤油スイーツ」が登場している。醤油とスイーツ……。塩以上に意表を突く組み合わせだが、意外なことに、キャラメルのような風味が出るのが特色。
大手食品メーカーでは、ネスレコンフェクショナリーが、今年3月20日から5月までおみやげ用品として、東京都内の鉄道・空港内売店、高速道路のサービスエリアで、「ネスレ キットカット しょうゆ風味」を期間限定で発売した。全国各地の特産品を原材料に用いて製造・販売されている「ご当 地土産用キットカット」の東京版だ。『東京の新名物』をコンセプトに、江戸時代から東京に根付く醤油文化を表現。「醤油スイーツ」として、大手食品業界の中ではいち早く商品化に取り組み、大きな反響を得た。販売再開の要望が募り、9月29日から来年5月にかけて、期間限定で販売を再開するとのこと。展開する地域の特性を意識したマーケティングと言えそうだ。 |
| 「塩」の名のつく甘味がもともと存在していた
甘みを引き出すために塩を加えることは、洋菓子でも和菓子でもひとつの手法として昔から知られてきた。また、塩大福や塩羊羹など日本には伝統的に「塩」の名のつく甘味が存在していたため、「塩スイーツ」は、味の面でもネーミングの面でも、さほど違和感なく受け入れられたのだと考えられる。
目新しい発見は、塩スイーツが晩酌のともに適していて、男性に好評であるということだ。近年は、スイーツ好きの男性の存在が目立ち始め、男性向けのスイーツ商品も展開されている。バレンタインには「自分へのご褒美」に、自分用チョコレートを買う男性もいるという。 「仕事を終えた後の、大人の自由時間をいかに幸せに、有意義に過ごすか」という現代人のテーマを背景に、男性という新たな、かつ強力なマーケットの支持を得て、「塩スイーツ」はブームに終わらず定着するかも知れない。(U) |
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