「ライバルは有名店ではなく、コンビニです」 - 吟遊詩人 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2008年10月号

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「ライバルは有名店ではなく、コンビニです」 - 吟遊詩人

人気の高い「バゲット」(220円)。独自の製法で独特の味と食感を実現している


フランスパン生地にドライトマトとチーズをふんだんに巻き込んで焼き上げた「ドライトマトとチーズのフランスパン」(260円)


スコーンも人気だ。左から「かぼちゃ」(150円)、「チョコチップ」(150円)、「プレーン」(150円)
 東京・杉並区の「吟遊詩人」の営業時間は、午前7時から午後10時過ぎまで。「定休日なんていうのは、あくまで店側の都合で、お客さんにしてみれば、定休日なんかない方がいいに決まっています」
 オーナーの清澤稔さんはこう話した。
 「荻窪にも有名パン店はたくさんありますが、うちのライバルはそうした店ではなく、コンビニなんです。同じメロンパンを食べるなら、コンビニのものじゃなくて、うちのメロンパンを食べてほしい。常温で2日も3日も持つパンなんで絶対におかしいですよ」
 原材料の高騰から、今年5月に値上げを実施したが、買い控えはほとんどなかったという。「もう2年間ここで営業していますが、9割以上は、固定客です」と清澤さんは言うが、そうした固定客が同ベーカリーのパンを必要とする度合いは、値上げによって低下することがなかったということだ。
 清澤さんは、こうした熱心な固定客のニーズに応える一方で、コンビニのパンを買うような人たちも、常に意識しているのだ。



イーストリートベーグルの商品開発も担当

人気のマフィン。左から「抹茶マフィン」(200円)、「シナモンアップルマフィン」(200円)、「スイートチョコレートマフィン」(200円)


「クロワッサンダマンド」(200円)


ブリオッシュ生地にビスケット生地をのせて焼いた「スイートブール」(170円)


クランベリー、ラズベリー、ブルーベリーをたっぷりと入れた「ベリーベリーマフィン」(200円)
 清澤さんは、高校生のときにアルバイトをしていたレストランで、パン職人がパンを作っているのを見て、「パン生地がまるで生き物のようだ」と感動した。そして、自分もパン職人になりたいと強く思うようになった。
 高校卒業後、ロイヤルホストで有名な、福岡に本社があるロイヤルグループのベーカリーレストラン、アペティートに入った。そこで一通りパンの技術を身につけた。
 入社して8年が過ぎたとき、ある人のすすめで、東京に出る。西新宿のニューヨークマフィンファクトリー(現在は閉店)で働くためだ。そこでは、パンではなく、マフィンやピザなどの商品開発などを行った。この間、人気ベーグル専門店、イーストリートベーグルの立ち上げ時の商品開発も担当した。
 「アメリカで公認会計士をしていた岡本さんという方が、『アメリカで食べたベーグルを日本で再現して販売したい』と始めたのが、イーストリートベーグルだったんです。私は、いろいろなベーグルを作っては岡本さんに食べてもらい、『ああでもない、こうでもない』を繰り返しながら、最終的に約10種類のベーグルを完成させました。それが、イーストリートベーグルの立ち上げ時の品揃えになりました」



現在の状況がとても好ましい

様々なパンが並ぶショーケース。販売は対面で行う。ショーケースのすぐ後ろが厨房になっている


商品が見安いように工夫がされたショーケース


様々なパンが並ぶショーケース。販売は対面で行う。ショーケースのすぐ後ろが厨房になっている
 清澤さんが、自分の店を出したのは2006年の3月だった。18歳でパンの道に入ってからすでに20年が経っていた。
 「店名は、自分がとても好きな福岡のベーカリーの『即興詩人』という名前にちなんでつけました。自分でも詩を書くから、ということもありました。最近でこそ、和風の店構えのパン屋さんが多くなりましたが、私はすっと前から、和風の店構えがいいなと思っていたんです」(清澤さん)
 パン作りの基本は「丁寧に作ること」だ。
 「パンを作る立場からしたら、『一回に作るパン数十個』ですが、買う立場に立ったら、買ったパン1個がすべてなわけです。ですから、ひとつひとつのパンに細心の注意を払って、パンを作るように、スタッフにも、自分自身にも、常日頃から言い聞かせています」
 清澤さんは「5年後はどうなっていたいか」の質問に「今とまったく同じようにパンを作っていたいと思います」と答える。
 清澤さんにとって、現在の状況がとても好ましいのだ。
 もちろん、店の数を増やして、商売の規模を大きくしようなどとは思わない。
 「地元の人たちに、パンを作って販売するということを通して関わり、少しでも役に立てたらいいなと思っています。だから年中無休で、朝早くから夜遅くまで店を開けているんです」(清澤さん)



「師匠に教われたから、今日の私がある」

オーブンは、ドイツ・ウェルカー社製のものを使用している


吟遊詩人の店構え。シンプルな雰囲気だ


オーナーの清澤稔さん
 清澤さんは、アペティート時代に師事していたパン職人、小野隆造氏から教わったことを何かにつけて思い出すという。
 「とても厳しい人で、当時は、いっしょに仕事をしていると、緊張してしまう自分が、いやだなと思っていたのですが、今になって考えると、小野さんに教わることができたから、今日の私があるといってもいいと思います」
 「どんなときにそれを実感しますか」との質問に清澤さんは「『お宅のフランスパンはおいしい』といわれたときなどは、教わることができてよかったと心から思います。この間なんか、主婦の方が、兵庫県のある有名ベーカリーのパンを持って来て、『あなたのパンはこのパンよりおいしいわよ。食べ比べてみて』と言ってくれました。本当に嬉しかったですね」



吟遊詩人

住所 〒167-0032 東京都杉並区天沼3-2-2荻窪勧業ビル1F
電話 03-5335-6362
営業時間 午前7時〜午後10時
品揃え 約50品目
日商 約10万円
スタッフ 製造3人、販売1人
店舗面積 厨房10坪、売り場4・5坪

原価計算女王
原価計算女王

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