パンの缶詰で、日本を制覇し、さらに、世界進出も視野に入れる - パン・アキモト - ブランスリー電子版

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レポート/2008年9月号

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パンの缶詰で、日本を制覇し、さらに、世界進出も視野に入れる - パン・アキモト

パンの缶詰は、「ソフトパンレーズン入り」「ソフトパンオレンジ味」「レーズン」「チョコクリーム」など14品目がラインナップされている
栃木県那須塩原市のパン・アキモト(電話0287-65-3351)は、パンの缶詰のパイオニアとして知る人ぞ知る個性派ベーカリーだ。地元に根ざしたパン製造小売を熱心に行う一方で、製法特許を取得したパンの缶詰を、日本中の地方自治体などに販売する。人気アニメのキャラクターなどをプリントしたパンの缶詰も、大きな人気を集めている。



阪神淡路大震災での経験がパンの缶詰を誕生させた

秋元信彦・営業部一課主任(右)と秋元輝彦・営業部二課係長(左)


箱詰めされたパンの缶詰は全国各地へ出荷される
 「13年前の阪神淡路大震災の時に、田舎のパン屋も何か出来るはずだと考え、被災地にパンを持っていきました。しかし、ウチのパンは防腐剤などが入っていないため、持っていったパンの一部はカビが生えてしまい、食されずに破棄されてしまいました」
 パン・アキモトの秋元信彦・営業部一課主任はこう話した。
 このことが、パンの缶詰が生まれるきっかけとなった。「長持ちがして、しかもおいしいパンは出来ないものか」と長期保存可能なパンの開発が始まった。
 「真空パックや焼成冷凍などの方法を試みましたが、思ったような結果が出ませんでした。次に試したのが『パンの缶詰』というアイデアだったんです」と営業部二課の秋元輝彦係長は振り返る。
 地元の農産加工所がたまたま持っていた缶詰を作る機械を借りて、パンの缶詰を試作した。しかし、3カ月後に開けてみると、カビが生えていた。
 試行錯誤を重ねた結果、缶にパン生地を入れて、缶ごとオーブンで焼くという方法に行き着いた。そうすることで、缶の内部は完全に熱殺菌される。この製法は日本、アメリカ、中国、台湾で特許取得済みだという。こうして、賞味期限1年から3年のパンの缶詰が誕生した。昨年からは、ダブルセイフティプルトップ(世界特許)を使用、切り口で手を切る危険性もなくなった。
 パンの缶詰めは、今やパン・アキモトの主力商品に成長。年間の販売量は、220万缶にも及ぶ。品揃えも、「ソフトパンレーズン入り」「ソフトパンオレンジ味」など14品目があり、防災備蓄用のほか、携帯用食品や、子供のおやつ用などに利用されている。



パンの缶詰のリユースシステムと共済ネットワークシステム

蓋を巻き締めたあとに、賞味期限が印字される


缶ごとオーブンで焼き上げて、特殊な蓋で、中が真空状態になるように密閉する


本社には、大きなパンの缶詰のオブジェが設置されている
 「スマトラ沖地震がおきたときに、『中古のパンでもいいから送ってほしい』との要請がありました。また、ある自治体からは『賞味期限が切れた商品を引き取ってほしい』と要請がありました。こうしたご要望に応えようと考えたのが、『パンの缶詰のリユースシステム』でした」(秋元信彦主任)
 リユースシステムとは、賞味期限が3年のパンの缶詰を購入してもらう際に、2年経った時点で、パン・アキモトが下取りして、新しいパンの缶詰を購入してもらうというものだ。下取りしたパンの缶詰は、発展途上国などに、国際飢餓対策機構とパン・アキモトが協力して贈る。購入者の地方自治体などは、賞味期限が切れた際の処理費用が必要なくなるほか、通常より低価格で買える、国際貢献が出来る、などのメリットがある。
 一方、パンの缶詰の共済ネットワークシステムもある。これはパンの缶詰を保持している団体でネットワークを作り、災害に見舞われた時に互いに助け合うための手伝いをパン・アキモトが行うシステム。
 「組織的に共済し合うことで、小さな予算で大きな効果を得ることができます。まさに共済保険の考えに根ざしたシステムです」 (秋元輝彦係長)



パンの缶詰を世界に向けて販売していきたい

本社工場の近くにある地元スーパーの中に「AKIMOTO」の店名でインストアベーカリーを構える


インストアベーカリーで一番人気の「甘納豆」(120円)。生地に甘納豆を巻き込んで焼き上げた商品。
 パン・アキモトは1947年に創業。パンの製造小売からスタートしたが、のちに学校給食用パンの製造やレストランなどへの卸販売も手掛けるようになった。現在、パン製造小売の店は3店舗展開している。
 1996年には「パンの缶詰」の開発に成功し、販売を開始。地方自治体などが、災害時の備蓄食として採用するケースが徐々に増え始めた。様々なキャラクターをプリントしたパンの缶詰の依頼も来るようになり、パンの缶詰の生産量は徐々に増えていった。ある人気アニメのキャラクターのパンの缶詰は、東京・秋葉原の自動販売機で販売され、2日間で数千個を売り切ったという。
 2005年には、順調に伸び続けるパンの缶詰の需要をまかなうため、沖縄県に2つ目の工場を竣工した。
 「沖縄の工場は2006年2月にフードインスペクション(米軍へ食品を提供する指定工場)の認可を取得しています。今後は、パンの缶詰を世界に向けて販売していきたいと考えているんです。当社の社長は『片目では地元をしっかりと見つめながら、もう片方の目では、世界を見つめていなくてはならない』と口癖のようにいっています」(秋元信彦主任)

原価計算女王
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