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| いろいろエッセイ/2008年8月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 経験は時に邪魔になることがある - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)
いろいろ、エッセイ(20)
ガソリン価格や諸物価の値上がりが止めを知らない状況が続いている。状態が変化する時そこには必ずある複数の力が加わる。その力とは需要と供給のバランスの問題であったり天候の問題であったり諸説紛々である。レギュラーガソリンの価格がリッター180円台になるのも間近なようだ。つい何カ月前に120円台の時があったのは記憶も定かな時間しか経っていない。ほんの僅かな時間内に60円の価格変動を目の当りにした。価格とはそのもの自体に与えられるのではなく、周辺環境の変化の度合いであると判断すれば分り易い。 ガソリンスタンドのオーナーいわく、価格を上げてからお客さんの数が確実に減って、このままでは廃業に追い込まれるしかないと悲痛なコメントが聞かれた。 諸値上げに対する防衛策を実行に移さなければならないようだ。船の燃料や集魚灯の燃料が高騰し、操業すればするほど赤字になるためイカ釣り舟が休漁したように、車も乗らないことが一番の防衛になる。都心で交通量が一番多い路線バスの運転手から聞いた話だが、最近乗用車が減ったように感じるとのことだ。 ベーカリーはどうだろう。春以降パンの価格を上げたあるベーカリーでは、3パーセント値上げしたあとのお客さんの数が確実に5パーセント減ったと嘆いていた。これでは売上が上がるはずがない。値上げをすればお客さんの数が一時的に減る事は想定出来るが、そのダメージは最小にして最短のものにしたい。そのためにお客さんが店に戻る策を作り素早く行動をとることだ。 世の中どこにでも好事例はある。良い結果を数値で出せばその効果も分り易い。月例店長会議で何人かの店長に売上を上げるための事例を発表させたことがある。素晴らしい結果に結びついた報告があったので実行するように促したが、なかなか実行しない。 そんな中で店長になったばかりの店が成果に結びついた。理由を聞いたら、「自分は経験も浅く何も分らない。だからみんなが遣って良かったことをそのまま遣った」とのことだった。実行しなかった多くの店長達は自分の経験だけに縛られたり、垢の付いた発想ばかりを繰り返して無駄な時間を無意味に費やしていたのだ。「それはたまたまその店だから出来た事だ」「一時的な結果だ」などの言い訳が実行しなかった者達から聞かれた。 良い事を素直に素早く実行して成果に結び付ける。こんなに充実したことはないはずだ。経験は時に邪魔になることがある。 時代が急激に大きく移り変わっている事を痛感する日々である。ベーカリーにもその変化は起きている。昔は良かったと懐古するにはまだ早すぎる。今日出来ないことは明日も出来ない。好きな言葉の一つである。実行力と発想の転換で、この変化に対応していきたい。 |




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