
製品の多くには、「匠 design in Japan」というロゴが付けられている

本社のショールームには、自社製品が備え付けられていて、いつでもテストができる

ショールームに設置されたコンベクションオーブンやホイロなど
―――海外の市場開拓に力を注いでおられると聞きました。
小田 アメリカのある名の通ったサンドイッチチェーンで、世界的に3万2000店舗の展開をしている会社に、店頭焼成用のコンベクションオーブンとホイロのセットが採用になりました。その会社は日本でも展開していて、日本の店には、すでに約60台ほど納入しました。日本以外でも、韓国やシンガポールの店舗に納入を開始しています。
―――かなり大きな仕事ですね。
小田 その会社には、すでに、公認のオーブンメーカーが2社あって、新規出店の場合などは、そのいずれかからオーブンを購入することになっていました。1社は、ドイツの由緒あるオーブンメーカーで、もう1社はアメリカのオーブンメーカーです。私たちが3つ目のメーカーということになるわけですが、最初は、先方も、「どうせ、できないだろう」と思っていたみたいです。しかし、先方から「いいオーブンができれば、テストはする」という約束をとり付けたので、当社としても、長い間製菓製パン機器の開発・製造に携わってきたノウハウを注ぎ込んで開発に着手しました。
私たちは、会社としては設立5年と新しいので、何かで飛び抜けなければならないと考えていました。世界的に名の通った会社に認められれば、当社の信用度もぐんと上がると考えました。戦略としては、開発と、顧客満足度向上のために費用を当てることを選びました。
―――見事に採用されたわけですね。
小田 オーブンとホイロが出来上がって、海外で毎日延べ1年間の公式テストを経て、お陰様で採用していただきました。
―――公式メーカーが3社ということになって、チェーン店のオーナーや責任者は、どうやって3社から選ぶのですか。
小田 3社に対して平等にコンペの機会が与えられます。
―――その際のネクストさんの強みは何ですか。
小田 当社のオーブンとホイロは、価格的には、ほかの2社と比べると少し高いんです。ですから、機械の性能を強くアピールしています。値段は少し高いわけですから、それに見合うだけのメリットをユーザーさんに感じ取ってもらえなくてはなりません。焼き上がった製品の品質が違うこと、そして、簡単な操作で均一な品質のパンが出来ることが、一番のアピールポイントです。 海外では、一台実績ができるごとに、当社のオーブンの評判が高まり、価格の差に文句を言わずに当社を選定してくれるような、良い循環になってきています。
―――日本だけではなく、世界中にネクストさんの機械が入っていけば、今後大きな成長分野になりますね。
小田 そうなってくれればいいと思っています。今後の課題は、海外での代理店網をどうやって築いていくかということです。また、ヨーロッパの場合は、外国の製品に対する規制がある国が多く、それをクリアするには、かなりの労力とお金がかかります。しかし、地道な努力を重ねていきたいと思っています。
―――フードサービスにおけるベーカリーシステムを成功させるポイントはありますか。
小田 システムをトータルシステムとしてきちんと考えた上で展開するということでしょうか。スクラッチ併用じゃないと儲からない、とよくいわれますが、材料原価から単純に決めつけてはいけないと思うんです。最終利益の考え方が重要です。
スクラッチ製法のことをよく知った上で、さらに、冷凍生地を使うにしても、生地玉か成形冷凍生地か、それともホイロ後冷凍なのか、などについて、十分な知識を持った上で、自分の会社にとってのベストなシステムを作り上げていけば、そのシステムには、十分なオリジナリティーが備わっていると思います。とにかく、「自分で消化して、創造する」ことが大事だと思うんです。
―――ところで、「ポワラーヌの石床と同じ遠赤を出す回転式石窯」を開発したと聞きました。
小田 そういうと語弊がありますが、要するに、ポワラーヌさんが使っている石窯の石床のメーカーを探し当て、そこから仕入れた石床用の素材を使って石窯を開発したということなんです。従来の石窯では菓子パン類を焼くのは難しかったのですが、いままでにない高品質の菓子パンも焼くことができます。熱心にコツコツと研究をしているある業者さんと当社の技術のコラボレーションで実現しました。
パン焼成によいとされる遠赤外線にも、いろいろな波長があって、例えば、焼成室の床の面と側面とで、素材を変え、バランス設計を図るといったことをしています。
―――ネクストさんの基本理念は。
小田 いい機械を開発して、その性能のよさで、お客様の役に立ちたいということです。さらに、日本のオリジナルの機械というか、欧米の単なる模倣ではない、日本独自の機械を開発できたらと思っています。もともとは欧米から入ってきた、レストランやカフェ、ベーカリーなどの文化を十分に吸収し、それを日本人として消化して、欧米のものとは一味違う、日本独自のものを作り出せないかといつも考えています。そのために、私たちは開発に相当な投資をしています。
私たちの機械には、「匠 design in Japan」というロゴを付けているんです。「日本の技術で開発した機械」ということを示すものです。 「メイド・イン・ジャパン」のすごさを、こんどは私たちが関わっているフードサービスの分野で、海外に発信できたらと考えています。