ベーカリーの新たなスタイル - TOTSZEN BAKER'S KITCHEN - ブランスリー電子版

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お店拝見/2008年6月号

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ベーカリーの新たなスタイル - TOTSZEN BAKER'S KITCHEN

低温で長時間発酵させ、粉の旨味と香りを最大限に引き出した「バゲット・ドゥ・トラディション」(中央の2本)。右は、同じ生地に、アマニ、白ごまなどを練り込んだ「4種の穀物のトラディション」(330円)。左はフランスパンの「フルート」(220円)。
住所:神奈川県横浜市港北区大倉山2-1-11
電話:045-548-0568
営業時間:平日午前9時〜午後8時、日祭日午前9時〜午後7時
定休日:月曜日、第2日曜日



硬水と軟水を巧みに使い分ける

店内には、パンに使っている6種類のミネラルウォーターが飾られている。実際に販売も行っている。


一枚板の陳列台の上に個性的なパンが所狭しと並ぶ。顧客にパンの説明をしながら、対面で販売する。


入り口正面奥に、麺台が設置され、パンの成形作業などを行う


ほうれん草とベーコンをたっぷり練り込んだ「ほうれん草のTOTSZEN!?風フォカッチャ」(右)と、ソーセージと自家製ザワークラウトを入れて、白ごまをまぶして焼成した「シャキシャキザワークラウト」(左)
 「当店の『バゲット・ドゥ・トラディション』は、硬度が160以上の超硬水を使っています。長時間発酵のバゲットは、粉との水和に時間がかかる硬水が向いていますね」
 神奈川県横浜市港北区に2006年5月オープンした「TOTSZEN BAKER’S KITCHEN(トツゼン ベーカーズ キッチン)」のシェフブーランジェ、内山芳雄さんはこう話した。
 同ベーカリーは、水にも相当なこだわりを持っている。仕込み水はすべて市販のミネラルウォーターを使用。超硬水から軟水まで、6種類をパンの種類によって使い分けている。2種類以上のミネラルウォーターをブレンドして仕込む生地もあるという。
 「同じバゲットでもストレート法のものは、硬水と軟水の中間ぐらいの水が向いています。菓子パン生地は、軟水がベストですね」
 内山さんは、主にホテルでパンを作ってきた。経験20年のベテランだ。
 「ここでしか買えないパンを作っているつもりです」と内山さんはいう。例えば、「チョココロネ」にしても、円柱状に巻いて、深くローストしたアーモンドをトッピングし、ネーミングを「オトナのコロネ」とするなど、ほかでは買えない個性豊かなチョココロネになっている。「アイデアは、不便さの中から生まれてくることが多いですね」



今までにない付加価値を提供

オーナーの岸本拓也さん(右)とシェフブーランジェの内山芳雄さん(左)


湯捏ね生地を使用した「レーズンブレッド」(420円、右)と、小麦粉の味を最大限に引き出した「パン ドゥ カンパーニュ」(ホール700円、ハーフカット350円、4分の1カット175円、左)


キウイ、ブルーベリーなどをトッピングした季節限定デニッシュの「イール デ フリュイ」


フランス産石臼挽き粉などを使用し、長時間発酵をとって焼成した「リュスティック」(左)


ベルギー産チョコを使ったガナッシュが入った「オトナのコロネ」(中央)


レジで接客をする岸本さん。スーツを着用して応対するのが、岸本さん流だ。
 TOTSZEN BAKER’S KITCHENは、空間の演出も個性的だ。オーナーの岸本拓也さんは、ホテルで様々な企画やブランディングを担当した経歴を持つ。
 「販売スペースは、ニューヨークのデザイナーズホテルをイメージして仕上げました」と岸本さんは話す。
 店構えは、ベーカリーというより、ファッションブランドのショップといった雰囲気。入店すると、一枚板を使用した、カウンターのような雰囲気の陳列台にパンが所狭しと並んでいる。販売方式は対面販売で、岸本さん自らが、スーツに身を固めて接客する。
照明も独特だ。販売スペース全体の照明をかなり落して、並んでいるパンがスポットライトを浴びて浮かび上がってくるような効果を出している。入り口の正面の奥には、大きな麺台が設置されていて、そこでシェフブーランジェの内山さんがパンの成形作業などを行う。まるで、劇場のステージで演技をしているような雰囲気だ。
 「今までになかった付加価値をお客様に提供させていただきたいと考えています。よりよい物をよりよいサービスで提供したいですね。そのための雰囲気作りです」(岸本さん)
 店内のパンは、効果的な照明に照らし出され、品定めをする客達に何かを話しかけているように見えた。
 「バゲット・ドゥ・トラディション」(310円)は、低温で長時間発酵させた製品で、粉の旨味と香りを最大限に引き出している。シリアル番号を書いた紙を巻きつけて販売している。
 「リュスティック」(260円)は、フランス産石臼挽き粉などを使用し、長時間発酵をとって焼成。もちっとした食感が特徴だ。
 「ほうれん草のTOTSZEN!?風フォカッチャ」(250円)は、ほうれん草とベーコンをたっぷり練り込んだフォカッチャで、ユニークな成形が印象的だ。
 このほか、ソーセージとザワークラウトを入れて、白ごまをまぶして焼成した「シャキシャキザワークラウト」(240円)、キウイ、ブルーベリーなどをトッピングした「イール デ フリュイ」(390円)、ベルギー産チョコを使ったガナッシュが入った「オトナのコロネ」(200円)などが人気だという。



脱「模範的ベーカリー」

取材メモ オーナーの岸本拓也さんは、ホテルで様々な企画やブランディングなどを担当していた。食についての興味は相当なもので、ホテル時代は、ボーナスの全てを、レストランなどの食べ歩きに費やしていたという。「これまでになかった新しい付加価値を提供したいと考えています」という岸本さんがプロデュースしたベーカリーは、パン業界でいわれている「模範的なベーカリー」とは一線を画するもので、とても新鮮だった。

原価計算女王
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