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| いろいろ、エッセイ/2008年3月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| お客様の満足と店の満足のバランス - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)
いろいろ、エッセイ(15)
今朝の新聞で輸入小麦の製粉業者への売り渡し価格を4月から再値上げする記事を読んだ。今回の値上げは昨年10月を大きく上回り30%ほど上がるとの報道だ。小麦を主原料とするものの中には製パンや製めんがあり影響は広がりそうである。その他の食材や資材の値上げも取り沙汰されており、パン業界は昨年に増して厳しい経営が続くというのが大方の見方である。最近になって頓に個人のべーカリーが次々に潰れているのが目立つ。今まで通りのことをする事だけでは経営は立ち行かなくなるだろう。これから本当の経営の時が始まると思う。勘と度胸と意気込みだけの店舗運営ではなく、きめの細かさが必要になる。駄目な店は閉店に追い込まれることにもなるだろう。昨年商品を値上げした店で聞いたことだが、お客様になるべく負担をかけないようにするため、売れ筋商品の値上げ幅を小さくしたと言う。利益をキープするために値上げするという視点からすれば、あまり好ましい選択とはいえない。しかしお客様不在の商売をしたら結果は目に見えている。難しい判断が求められる。大手製パン会社では既に商品の再値上げが検討されているという。女房殿が友達からクロワッサンを貰ってきた。見慣れた包装紙とクロワッサンは私が以前勤めていた会社のもので「美味しいパンなので買ってきた」とのことで貰ったという。私がその会社に勤めていたことをその方は勿論知らない。嬉しい話だが味を確認するため恐る恐るクロワッサンを口に運んだ。満足できる味で一安心した。人の舌を満足させるために、製品を開発する者や作り出す者は日々努力しているがそれが評価されるのは嬉しいことだ。 値上げでお客様に負担をかけることになる。お客様から納得いただけるような良質な製品を提供することを心掛けることが必要である。 バレンタインが近づいたある日の午後、都内デパートの食品売り場を廻った。チョコレート業界では戦機が熟したとばかりに熱の入った商戦が繰り広げられていた。近年メーカー数と品種が益々多くなっているように思う。ベーカリーも何店か廻ったが負けてなるものかという勢いでチョコレートを使った製品をゴールデンスペースに飾っていた。昨年の12月にもクリスマスにちなんだ製品が各店の工夫がされて動きが活発になっていた。楽しさを演出しながらパンの良さをさらに知って貰うのも方法の一つである。 諸材料の値上げが確実に迫って来る。横を見ながら対応を決める企業もあれば独自の路線を進む企業もある。それぞれの対応でお客様の満足と企業や店の満足のバランスをとることになる。平成の世は今まさに、値上げの渦が激しく渦巻いている。そうした中で絶対に忘れてはならないことは食の安心安全を提供し続けていくことに変わりはない。 |



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