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| 業界アンテナ/2008年2月号 |
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| 「なぜ」を常に考えて行動する | |
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ベーカリーの製造現場は、利益を生み出す源泉だ。厨房のオペレーションの良し悪しは、業績に直結する。そんな厨房からベーカリーを再生させるプロがいる。今回は、ベーカリー専門のコンサルティング会社、レーヴの橋本泰之社長に話を聞いた。
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| 人をいかに育てるかに尽きる
――橋本さんは、ベーカリーのコンサルティングをするときに、朝から晩まで、その店で、スタッフたちといっしょに仕事をする、と聞きました。
橋本 店長の立場で、その店で、朝一番から1日の仕事が終了するまで、いっしょに仕事をしなければ、その店のよさや、問題点は見えてきません。スタッフ一人一人がどう考え、どう動いているのかを肌で感じる必要があると思います。社長と話をして、現場をチラッと見るだけでは、何もわかりません。 ――業績が低迷していたベーカリーをいくつも再生させたと聞きました。再生のポイントは何ですか。 橋本 私は、例えば「新商品だけほしい」というようなベーカリーとはお付き合いしません。現場に入っていっしょに仕事をし、店のまわし方を1から考え直していく、というベーカリーのお手伝いをしています。 ベーカリーを成功させるポイントは、やはり人だと思います。人を育てるには、ただ命令してやらせるのではなく、自分で考えながら作業をするように仕向けることが大事です。単純作業の繰り返しになってしまったら、つまらなくなるし、決して長続きはしません。 新人が入ってくると、窯からやらせるケースが多いのですが、私は、仕込みからやらせた方がいいと思っています。なぜかというと、仕込みをやると、生地の配合を覚えるからです。仕込みはパン作りの工程の根っこの部分ですから、そこからスタートすれば、例えば、なぜ塩を入れるのか、なぜ、油脂を入れるのか、などと、いろいろな「なぜ」が自然に出てきます。その「なぜ」を自分で考えさせるようにするんです。ポイントだけしっかりと教えて、あとはできるだけ本人に任せるようにしています。もちろん、出来上がったものはしっかりとチェックしなければなりません。失敗した場合は、その理由も自分で考えさせます。そして、同じ失敗は2度と繰り返さないようにとしっかりと伝えます。 ――スタッフの技術が上がってくるまでの間、店長がかなり大変なのでは。 橋本 店長の度量の問題だと思います。当然、スタッフが失敗したら、店長がすべて責任をとらなくてはなりません。私が、コンサルティングで入る場合は、私が店長の役割をするわけですが、もし、スタッフが失敗して、商品が店に出せなくなったら、私がその商品をすべて作り直します。 私が今、コンサルティングをしているあるベーカリーは、歴史ある店で、昔は多くの店舗を展開し大いに繁盛していました。しかし、時代が変わって流行らなくなり、2代目が「これではいけない」と、大改革に乗り出しました。新たなブランドで再スタートすることになりました。私はその立ち上げからすべてにかかわりました。最もベースの部分の厨房のオペレーションをゼロから考え直しました。 1店舗目が成功を収め軌道に乗って、2号店を出す際にも私が関わりました。2号店の製造のオープニングメンバーは、経験7〜8年のチーフと、仕込みを1年半経験したアルバイトの女性、窯を1カ月だけ経験した40歳の男性、パートの主婦、それと私でした。窯の男性は、焼くことの面白さをさらに知って、見る見る上達しました。 製造のマニュアルがあって、最初に一通りしっかりと教えたら、致命的な失敗をしそうな場合を除いて、向こうから聞かれるまで出来るだけ何も言わないようにしました。そして、失敗したらその理由を自分で考えさせ、考えてもどうしてもわからないようだったら、初めて失敗の理由を説明します。そのかわり、同じ失敗をしたらそのときは叱ります。 ――ものすごく厳しくて、新しく入ってきてもほとんど辞めてしまうベーカリーもあると聞きます。 橋本 人それぞれキャラクターが違います。厳しく叱られ続けても、自分を発揮できる人はそういうベーカリーでもいいと思います。しかし、全員がそうではありません。極端に厳しくされると、萎縮して力を発揮できない人もいます。私はやはり、全員が1年ぐらいは続く仕組みでないと、パン業界に人が集まらなくなってしまうのではないかと思います。 ――ベーカリーの人の問題をうまくやっていくための秘訣はありますか。 橋本 そうですね。やはり、社長が直接、スタッフに「ああしろ、こうしろ」と言わないことだと思います。社長、つまり、経営者は社員に給料を払う立場なので、社員にとってショックが大きくなってしまいます。それじゃ、どうするのかというと、店長に言わせるんです。つまり、経営サイドと社員の間のクッション役が必要だということなんです。 私が仕事で、ベーカリーの現場に入っていると、「あ、この子は今何か問題を抱えている。このままにしておいたら、あとどれくらいで辞めてしまう」なんていうことがすぐにわかります。そういう時は、その人の性格にもよりますが、一声かけて相談にのってやるなどのフォローが必要です。そういうことをするのは社長ではなく、店長だと思うんです。会社の立場からではなく、社員の立場から話ができますから。 ――橋本さんは、学校の先生もされていますよね。 橋本 はい。現在は横浜のある専門学校で非常勤講師をしています。学生と接していると、こちらもとても得るものがあります。彼らや彼女らは、大人に比べてストレートに意見をいいますから、とても参考になるんです。「こんなパンはだめだよ」とか「これ面白い」とか、学生らが何気なく発する言葉がとても参考になります。 それと、教えた学生が、社会に出て、いろいろな店で活躍しているのを見るととても嬉しいですね。彼ら、彼女らとのネットワークも私にとってとても貴重です。 ――今の学生はどのような感じですか。 橋本 パンの道一筋という人は少なくなり、生活をエンジョイしたいという人が増えているように感じます。就職先も、小さなベーカリーより、条件のいいホテルや大手チェーンベーカリーなどに人気があるようです。 ――メーカーの商品開発も積極的に行っていると聞きました。 橋本 いろいろなメーカーさんから商品開発の仕事をいただいています。メーカーで仕事をしていると、業界の様々な情報が入ってきます。また、業界紙をはじめ業界についてのいろいろな本も置いてあるので、一通り目を通せばとても役に立ちます。 ――最後に何か業界に対する提言はありますか。 橋本 労働環境を改善することが急務だと思います。人を増やさなくても、一人一人のスキルを向上させれば、週休2日制は実現できるのではないかと思います。「一人一人が自分の目標を決めて頑張ろう」を合言葉にすれば、スタッフどうしのモチベーションもさらに上がるのではないかと思います。 レーヴ 2001年10月設立。現場からの目線でのきめ細かなコンサルティングを行うことで、定評がある。橋本泰之社長は1956年横浜生まれ。新宿の専門学校を卒業後、銀座レストランみかわやに就職。その後センチュリーフーズ、モンタボーなどを経て、1996〜2001年、東京製菓学校教師。 |


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