デザイナーからパン職人に転身 - パンの蔵 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2008年2月号

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デザイナーからパン職人に転身 - パンの蔵

「緑茶に合うパンがあったら面白い」という発想から生まれた看板商品の「茶々」
住所:店舗=神奈川県中郡大磯町大磯1009、厨房=神奈川県中郡
大磯町大磯995-13
電話:店舗=0463-61-4441、厨房=0463-61-4442
営業時間:午前10時〜午後8時(日曜日は午後6時まで)
定休日:月曜日(この他月1回の不定休あり)



実家が和菓子店で自然に和風になった

蔵造りの家屋をイメージした店構え。白と紺の対比が印象的だ


ショーケース奥の木の格子戸が和の雰囲気を盛り上げる


友子夫人の実家の和菓子店から仕入れた和菓子類も販売


オーナーの加藤秀晴さんと友子夫人
 JR大磯駅前に「和」をイメージしたベーカリー、パンの蔵はある。改札を出るとすぐ正面の場所で、外装も内装も蔵造りの家屋をイメージしている。オーナーの加藤秀晴さんと友子夫人の実家が両方とも和菓子店で、「自然に和風のベーカリーになった」(加藤さん)という。
 厨房は、店舗から徒歩約5分の場所にあって、そこで作ったパンを1日20回程度店舗まで運んでいる。
 友子夫人の実家の和菓子店から仕入れたあんを使ったあんぱんは、看板商品のひとつだ。「蔵あんぱん つぶし」(100円)、「蔵あんぱん こし」(同)、「お茶あんぱん」(同)、「栗白あんぱん」(同)、「ヤーコンごまあんぱん」(130円)の5アイテムを揃えている。あんぱん4種類をセットにした「蔵セット」(420円)もある。
 プチサイズのクロワッサンは、ネーミングに一工夫し、焼きたてを訴求。「蔵ワッサン プレーン」(70円)、「蔵ワッサン チーズ」(100円)、「蔵ワッサン ねぎ」(同)、「蔵ワッサン ウィンナー」(同)、「蔵ワッサン チョコ」(同)の5アイテムで、売り場のすぐ脇にあるコンベクションオーブンで頻繁に焼成している。
 「茶々」(650円、ハーフカット325円)も看板商品のひとつだ。テレビの取材にあわせて開発した商品で、「緑茶に合うパンがあったら面白い」という発想から生まれた。煎茶のパウダーなどを練り込んだ生地に、緑茶のペーストを巻き込んだ生地を、特注の型に入れて焼成する。土産用としての購入も多いという。
 「ガーリックフランス」(180円)と「バターフランス」(同)も、合わせて1日120本は売れる人気商品だ。
 「熟成!レトロバゲット」(260円)は、加藤さんが、ある講習会で製法を覚えて商品化。販売数はまだそれほど多くはないが、「バゲット」(230円)と共に、少しずつファンが増えているという。



地域貢献の精神が根底にある

「蔵あんぱん つぶし」(左)と「蔵あんぱん こし」(右)。和風を打ち出す「パンの蔵」は、あんぱんを強くアピールしている。


あんぱん4種類をセットにした「蔵セット」。半透明の手提げ袋に入れて販売


「ガーリックフランス」(左)と「バターフランス」(右)も人気商品だ


販売方式はセルフと対面の合体型。地元の客が中心だが、観光客も多いという


「熟成!レトロバゲット」(右)と「バゲット」(左)


左から、「蔵ワッサン チーズ」「蔵ワッサン ねぎ」「蔵ワッサン ウィンナー」「蔵ワッサン チョコ」
 加藤さんは、美大を卒業後、広告代理店に就職、18年間、デザイナーとして勤務した。一目置いていた会社の同僚が、「自分が本当にやりたいことをやる」といって会社を辞めたことに触発され、「自分で何かをやろう」と決心した。 自分が生まれ育った大磯の人たちに喜ばれることをしようと、思いを巡らせた結果、「大磯にはおいしいパン屋がない」ということで、ベーカリーを開こうと考えた。知人からあるベーカリーを紹介してもらい、広告代理店に勤めながら、土曜日だけ働かせてもらった。
 「実際にパン作りを体験し、クリエイティブな仕事だと感じました。パンは生き物で、奥が深いと思いました。これなら興味を持って続けていけると思ったんです」と加藤さんは振り返る。
 その後、数店のベーカリーで修業を積み、1995年に、現在の店舗から程近い場所に店を出し、独立した。友子夫人もオープン前の半年間、朝、子供の朝食を作る前の2時間、あるベーカリーでパン作りを手伝って技術を覚え、オープン後は加藤さんと共にパン作りを行った。
 加藤さんは、地域貢献をしたいという思いが強い。地元の農業高校で年2回、パンの講習会を行っているのもその一環だ。
 また、同校食品化学研究班とのコラボレーションで、「おから」や「ヤーコン」を利用した商品を開発し、販売している。
 現在の駅前の店舗へ移転したのも、大磯駅の顔とも言える場所に、不動産屋が並んでいたのでは、大磯駅の魅力が半減するとの思いから、高い家賃を押しての決断だった。
 同ベーカリーは、駅前の販売店舗が約10坪、厨房が約15坪。スタッフは製造が加藤さんを入れて5人。このほかにサンドイッチ担当が2人。販売担当が常時3〜4人。平均日商は25万円前後という。



クリエイティブな仕事

取材メモ 加藤さんは元デザイナーで、「パン作りはクリエイティブな仕事だ」という。パンの素材の研究にも熱心で、例えばレーズンでも、グリーンレーズンやカランツなど様々な種類を使い分けている。リキュール類も、ベーカリーでは普通使用しないようなものをたくさん使い分けている。「このパンにはこの材料の方がよく合う」といった具合に、ディテールをひとつひとつ検討しながら商品を開発していく。出来上がった試作品は、友子夫人を始めとする女性スタッフらの厳しい審査を経て、何度も作り直し、最終的な商品が出来上がるのだという。



原価計算女王
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