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| いろいろ、エッセイ/2008年2月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 販売員は、お客様を大切にすることが仕事 - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)
いろいろ、エッセイ(14)
どうしても食べたいパンがあったので閉店間際に買いに行ったが売り切れていた。「遅かったからしょうがない」とその日は諦めた。三日後に再び買いに行った。二度目もそのパンはなかた。立ち切れる寸前の腹の虫をなだめながら、販売員にお目当てのパンはないかと聞いたら、「売り切れました」だけ。「申し訳ありません。お取り置きしましょうか」の一言があれば、こちらの受けとめ方も違ったのだが。 どうしても、そのベーカリーのそのパンが食べたいので、三回目は「今日は絶対にあるはず」と決め込んで時間を変えて行ってみた。しかし、またもや品切れ。店員に話すのも馬鹿らしく何も言わないで店を出た。それから半年以上になるが、その店に行っていない。多分もう行かないと思う。こうしてお客は店になんの言葉も残さず、二度と戻らない。店は一人のお客を確実に失った。客数が減ることは売上が厳しくなることと分っていると思うが、一人一人のお客様を大切にしているとは思えない状況が店で起きていた。 ある大手のベーカリーでは、接客や売り方で参考になる店があると販売員を見学に行かせて、良いと思った事は店で直ぐに実施させている。良い方法と思うがしかし、そこまで遣っても厳しい売上が続いているという。製造が製品に心を込めて作っているように、販売員は一人一人のお客様を大切にしなければならない。お客様と直接に接する販売員は、お客様を大切にすることが一番の仕事であり、お客様に対する教育も必要である。 店のリーダーにも問題があると言う。部下に言うべきことを言い切れない。「こうして下さい」も言えない。「それは駄目です」など言える訳がない。全てを一人で抱え込んでしまい、リーダーは鬱病になる。こんな話を販売を指導する担当者から聞いたことがある。 全体が素人化の方向に進んでいるように思えてならない。基準をどんどん下に合わすから質はみるみるうちに低下する。要因は色々あると聞くが、ならば一つ一つ手を打つ以外にない。 去年の12月号で横浜中華街のレストランの心がふれあう接客を紹介した。その記事を読んで頂いたベーカリー関係者から感想を聞いた。ベーカリーには当てはまらないと言うだけで、正直びっくりした。少しオーバーに言えば、もはや私の思い描いていたベーカリー業界ではなくなっているとさえ感じてしまった。異業種から学び取る柔軟な取り組み姿勢は必要であるし、そこから得ることは山ほどある。 今は作り手から使い手の時代である。お客様は今、何が欲しいのか。今、何を食べたいのか。時代の風と人の心を敏感に迅速に受け留めて、直ぐ行動に移していくような商売をする必要がある。その最前線にいる販売関係者に、なお一層の奮起を期待している。 |



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