この店にしか出来ない製品と接客 - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男) - ブランスリー電子版


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いろいろ、エッセイ/2007年10月号

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この店にしか出来ない製品と接客 - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)

いろいろ、エッセイ(10)
 今年は時間を作って日本の夏を楽しんだ。何年かぶりに仕掛け花火を観たり、原宿表参道で開催された「スーパーよさこい2007」で全国から参加したグループの踊りを観たりして日本の夏を堪能した。
 この夏の暑さは異常だった。記録的な暑さが続きパンの売れ行きが厳しかった店が多いと聞く。パンは暑さに弱い食品だ。知人がベーカリーをオープンして一周年になるのでお祝いを兼ねて長野に行ってきた。なだらかに広がる高原の店からは南アルプスの山々が望めた。ラジオから全国的な酷暑のニュースが流れているが、微かにふく風が気持ち良かった。
 長野に移り住む前は都内でお客さんが三人も入ればいっぱいになるようなベーカリーを営んでいた。結構流行っていると思ったが、長野でベーカリーをオープンするとのハガキを突然受け取った。
 知人からオープンして一年間の苦労話や参考になる話を聞いた。何故新しい地を選んだのか、どんな苦労があったのか、これからどんな店にしたいのか等を無遠慮に聞いた。
 話の中で「新店を出した時に意識したこと」が印象に残っているので一部を紹介させて頂きたい。
 新しい土地で開店するに当って、「元気で、清潔で、品揃えを良くする」を目指し今も意識して実施しているとのことだ。店舗デザインやレイアウトは直ぐ真似されてしまう。だから真似もし易いが、納得いくまでオリジナルなデザインに拘ったそうだ。
 一番大切にしたのは、この店でしか出来ない製品とお客様への対応であるとのこと。
・今までその地で売っていない物を作る。
・今までのその地の一番店を超える為に、徹底的にその店を視察する。
・
今までにない店であることを印象付けさせる為に、地域密着型のフリーペーパーで宣伝する。
・基本は繰り返し言い続け、遣り続ける。
 要約すれば以上の話となる。また、売れていない店には二つの共通点があると言う。その一つ目は店が汚れていることだという。手を加えれば綺麗になるのに汚れ放題になっていることと、二つ目は販売員が死んだような眼になって覇気がないという。そう言えば最近そんな店を観ることが多くなったような気がする。
 先日、郊外にある大型SCへ買い物に出かけて憤ったことがある。平日の午後の食品売り場は、お客と思われる人の数は極めて少なく販売員がはるかに多い状態であった。
 ショーケースの後ろで二名の販売員が私語をしている。背を仰け反るようにして笑いを堪えている。その前を通った時、私は無視されたと感じ憤りを覚えた。それ以来あのSCへ行くのを止めにした。販売は大変な仕事だと、最近つくづく思う。







原価計算女王
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