自分が楽しいかどうか - パン処森本 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2003年10月号

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自分が楽しいかどうか - パン処森本

「製造現場にいて自分が楽しいかどうかが
唯一の価値基準です」。今年5月、千葉県佐倉市にオープンしたパン処森本の森本哲司さんはこう話す。店舗の外観は、ブルーとクリーム色の対比が印象的。外に面した壁のほとんどがガラス張りで開放的なイメージだ。森本さんは「業者さんにすべて任せました。本当によく造ってくれました」という。「でも工場のレイアウトには、かなり注文をつけました」。

千葉県佐倉市王子台3-26-1、電話043-461-8833、営業時間 午前7時〜午後7時30分



自分のパンと顧客のニーズを合致させることが永遠のテーマ

パン処森本の外観


レジのすぐ後ろの麺台が森本さんの定位置だ。


オーナーの森本さん
 「ミキサーは、普通は工場の一番奥にあるんですが、うちは売り場に面した作業台の脇にあります」と森本さんはいう。その作業台が森本さんの定位置。1日のほとんどをそこですごす。売り場との仕切りはガラス窓で、森本さんは、生地を仕込みながら、また、成形作業をしながら、いつも来店客に面して仕事をしている。「どんなお客様がどんな風にしてどのパンをトレーに乗せ、どんな表情でレジで清算したか、なんかがよくわかるんですよ。やっぱり自分のパンがお客様においしいと言っていただけるのが、一番うれしいですね」(森本さん)
 「製造現場での楽しさとは何ですか」の質問に、森本さんは「いいパンが焼き上がることです」と答えた。
 「パンの焼き上がり状態は、生地と対話しながら、ミキシングから工程を積み重ねてきた結果なわけです。手を抜かずにきちっと作業を進めてきた結果なわけですよ」と森本さんは自分に言い聞かせるように話す。
 また、「フィリングにしても、調理パンの具材にしても、自分が手をかけて作ったものをお客様が喜んで買ってくれることほど、うれしいことはありません。出来合いの具材を使った製品が飛ぶように売れたとしても、あまりうれしくありません」ともいう。
 しかし、「ハッシュポテト」や「もっチーズドーナツ」などの仕入れ商品もそれなりに売れているという。森本さんは「自分の主張はありますが、お客様のいうことは、素直に聞く姿勢は持っているつもりです。お客様が着てくれなければベーカリーは成り立たないわけですから。自分がいいパンだと思うパンとお客様がおいしいといって買ってくれるパンを合致させることが永遠のテーマなんですよ」



「保証人もいなかったし、独立できるとは思わなかった」

クッキーなどの焼き菓子が並ぶ一角。


子供用に小さなトレーも用意されている。
 「独立できるなんて思いませんでした」という森本さんは、あるリテールチェーンで5年間、また、別のリテールチェーンで4年間パンの製造に関わってきた。
 2軒目のベーカリーには、スタッフを積極的に独立させるシステムがあり、森本さんは独立するにはどうしたらいいかについての情報を周りから得るようになった。
また、そのベーカリーとつながりがあった店舗設計・施工の会社を知り、さらに独立への思いを強めた。
 森本さんは、お金はそれほど使わない方なので、それなりには貯めていた。しかし、当然それだけでは足らないので、どこかから調達しなければならなかった。
 「わたしの経験から言えば、自己資金が500万円あって、融資を受けるときの保証人がいれば、何とかなるのではないかと思います。ただ、わたしの場合は父親がいなかったので、保証人になってくれる人がいませんでした」
 「どうやって、資金を調達したか」の質問に森本さんは「具体的にはいえませんが、ひとつだけいえるのは、自分だけの力ではなく、親身なって助けてくれた人がいたおかげで独立できたということです」。



新興住宅地で、人口増加を期待

売り場の三方が、ガラス張りで解放的な空間になっている。


入店してすぐ右側の一角には、コーヒーサーバーが置かれていて、コーヒーの無料サービスを実施。
 パン処森本は、京浜急行線・京急うすい駅を下車して徒歩約10分の距離にある。森本さんによると、新興住宅地で、今後の人口増加が期待できるという。当然出店場所の選定にはかなりの労力を使った。
 店舗面積は約21坪で、販売スペースが約10坪、製造スペースがおよそ12坪だ。
 オープンして約3カ月半。森本さんは、パンを作りながら、売り場の来店客の様子を見続け、会話を交わし、「自分のパン」と「顧客のニーズ」が合致する部分を日夜探っている。

くるみとへーゼルナッツのハースブレッド
 くるみとヘーゼルナッツ
 くるみとへーゼルナッツを練り込んだハースブレド。ミキシングで、ある程度生地を作ってから塩を投入する。
 【配合%】
フランスパン用粉(リスドォル)……………90
全粒粉……………………………………10
発酵種……………………………………20
塩……………………………………………2
バター………………………………………1
インスタントドライイースト…………………0・8
モルト……………………………………0・3
ビタミンC……………………………10ppm
水…………………………………………70
へーゼルナッツ……………………………13
くるみ………………………………………10
 【工程】ミキシングL4分ML5分(食塩投入)ML3分(へーゼルナッツ、くるみ投入)L2分、捏ね上げ温度26度C〜27度C、フロアタイム1時間、分割350グラム、80グラム、ベンチタイム25分、成形→ナマコ形(350グラム分割生地)、ブール形(80グラム分割生地)、ホイロ27度C75%55分〜1時間、焼成上火230度C下火230度C22分(350グラム分割生地、スチーム注入)
 ※ホイロ後クープを入れる。

粒あんにローストしたくるみを混ぜ込む
 くるみ餡ドーナツ
 つぶあんにローストしたくるみを混ぜ込んだくるみあんを使用。
 【配合%】
強力粉(カメリヤ)………………………………80
薄力粉(バイオレット)…………………………20
上白糖…………………………………………12
塩……………………………………………1・5
イーストフード……………………………0・1
脱脂粉乳………………………………………3
生イースト……………………………………3・5
全卵(正味)……………………………………15
水………………………………………………48
コンパウンドマーガリン………………………12
 【工程】ミキシングL3分ML3分(コンパウンドマーガリン投入)L3分ML3〜4分、捏ね上げ温度27度C、フロアタイム20分、分割45グラム、ベンチタイム20分、成形→▼くるみ餡を包む。ホイロ36度C70%40分、フライ温度175度C片面1分40秒
 ※成形の最後に、くるみのハーフを上面の中央に軽く押し込むようにしてトッピングする。
 ※生地玉の状態で冷蔵しておいて、必要なときに成形から作業を再開する。そのためフロアタイムが20分と短めになっている。
 ▼くるみ餡=粒あんにローストして細かく砕いたくるみを混ぜ込んだもの。

原価計算女王
原価計算女王
自家製のりんご煮とカスタードクリームを包む
 りんごちゃん
 自家製のりんご煮をバターロール生地で包んで焼き上げる。見た目のかわいらしさが印象的だ。
 【配合%】
強力粉(カメリヤ)……………………………………100
上白糖…………………………………………………12
塩………………………………………………………1・8
イーストフード…………………………………………0・1
卵黄(粉1キロにたいして)……………………………4個分
練乳………………………………………………………5
生イースト……………………………3
バター………………………………15
水……………………………………53
 【工程】L3分ML3分(バター投入)L2分30秒ML3〜4分、フロアタイム50分、分割50グラム、ベンチタイム20分、成形→カスタードクリームと▼りんご煮を包む。ホイロ36度C80%50分、焼成上火210度C下火200度C7分
 ※ホイロ後、薄くスライスし、グラニュー糖をからめたりんごをトッピングする。
 ※焼成後、粉糖をふる。
 ※生地玉の状態で冷蔵しておいて、必要なときに成形から作業を再開する。
 ▼りんご煮
 【材料%】
りんご………………………………100
バター…………………………………5
白ワイン……………………………4・5
グラニュー糖……………………………………………14
シナモン………………………………………………0・3
レモン汁…………………2分の1個(りんご1キロに対して)
 【作り方】(1)りんごの皮をむき、8等分にして、芯をとる(2)8等分にした1つひとつをさらに3等分する(3)[2]とバターをいためて水分が十分に飛んだ時点で白ワインを加えさらに加熱する(4)[3]の水分が十分に飛んだらグラニュー糖を加えてさらに加熱する(5)[4]にシナモンを加えて加熱し、火を止める(6)[5]にレモン汁を加える

顧客の声を素直に聞くところからすべては始まる

カレーパン


ハッシュポテト もっチーズドーナツ
 カレーパン
 自慢の自家製カレーを包んだカレーパンで、森本さんの自信作のひとつ。ひとつ120円。

 ハッシュポテト もっチーズドーナツ
 仕入れの商品だが、よく売れる。森本さんは「お客様がほしいというものは、提供します。お客様の声を素直に聞くところから始まると思っていますから」という。


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