
しっとりとしてソフトなパンの中に、自家製のカスタードクリームがたっぷりと入った「ふんわりとろけるクリームパン」

店長の松井成和さん

大きなポップに、炊き上がったばかりのカスタードクリームの写真を印刷して、アピールしている。

店舗の外壁には、大きなパン職人の絵が描かれていて、通りから見ると一目でベーカリーであることがわかる。
しっとりとしてソフトなパンの中に、自家製のカスタードクリームがたっぷりと入った「ふんわりとろけるクリームパン」(126円)。
東京・三鷹市、トーホーベーカリーの看板商品だ。1日350個近く売れることもあるという。パンのしっとり感を高めようと、生地にはルバン種を配合する。購入した次の日に食べてもしっとり感があまり変わらない。
カスタードクリームは、卵は卵黄だけを使用し、牛乳は乳脂肪分が多いものを使用している。たくさん食べてもくどさを感じさせない、上品な甘さが特徴だ。
看板商品に育て上げるには、それなりの仕掛けが必要だった。まず、同ベーカリーが、3年前にリニューアルオープンした際に、同商品を、看板商品として打ち出すために、銅鍋に入った、炊き上がったばかりのカスタードクリームの写真を大きく印刷したポップを作り、自家製であることをアピールした。また、陳列する器を、円形の籐かごにして、ほかの菓子パンとの違いを際立たせた。その結果、販売数量が約50%伸びた。このときは、「クリームパン」の商品名で、1個105円で販売していた。
それから1年後に、東京・吉祥寺の伊勢丹の催事に参加することになり、「何か目玉になるものはないか」と考え、クリームパンを打ち出すことにした。それを機にクリームを増量して、商品名も「クリームパン」から「ふんわりとろけるクリームパン」に変更した。
同ベーカリー店長の松井成和さんは「この時もポップには銅鍋に入ったカスタードクリームの写真を使ったのですが、出来立て感を伝えたくて、湯気が上がっているところを何とか撮ろうと、苦労しました」と話す。このあと、また販売数量がおよそ50%伸びた。
およそ1年半前には、同商品の価格を105円から126円に値上げした。「売れ行きが鈍ってしまうのではないかとかなり不安でしたので、商品の価値をもっとお客様に知っていただこうと、いろいろな工夫をしました」
まず、カスタードクリームに使用している卵が、那須の御養卵であることを、ポップに書いてアピールした。また、大きな籐かご2つに入れて、それまでよりも一度に陳列する数を多くすることで、目立つようにした。さらに、ホイッパーやミルクポットなどをいっしょに並べて、雰囲気を盛り上げた。
「売上は落ちませんでしたね。むしろ値上げ前より多くなりました。那須の御養卵は値上げ前も使用していたのですが、あえてアピールはしていませんでした。値上げを機に商品について、より詳しくお客様に伝えるようにしたんです。それが結果として商品がバージョンアップされたようなイメージになったのでしょうか」(松井さん)
▽トーホーベーカリー 東京都三鷹市下連雀1‐9‐19、電話0422‐43‐6311