地域の人たちのニーズを探る - ティグレ - ブランスリー電子版


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お店拝見/2007年7月号

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地域の人たちのニーズを探る - ティグレ

住宅街の中にたたずむティグレ。クリーム色のシンプルな外壁にテントの鮮やかなブルーが印象的だ。
住所:東京都世田谷区下馬6-20-4
電話:03-3414-5269
営業時間:午前9時〜午後8時
定休日:火曜日、第3水曜日



顧客とのコミュニケーションを重視

売り場は約5・5坪で、パンは対面で販売する。ショーケースやレジ台などは濃い茶色で統一し、重厚感を演出している。


シェフの望月哲二さん


店先の掛け看板は、手作りだそうだ。


イチジクとくるみが入った生地を使用した「イーゴのパン」。「イーゴ」とは、スペイン語でイチジクのこと。
 今年3月31日、東京・世田谷区の住宅街に「ティグレ」がオープンした。シェフの望月哲二さんは、東京・代官山のアルトファゴスの立ち上げに参加し、そこで7年半、パン作りに携わった。最後の4年間は、パン部門の責任者として、腕を振るった。その後、神奈川県小田原市の洋菓子店で働き、洋菓子の技術もマスターした。
 ティグレ開店に当たっては、アルトファゴスで共に働いた販売スタッフで、望月さんの妻の富美子さんと協力して準備を進めた。また、アルトファゴス時代の製造スタッフと、小田原の洋菓子店で一緒だった女性スタッフの2人に声をかけた。こうして、最強のオープニングメンバーが揃った。
 同ベーカリーは対面販売の方式を採用。スタッフが顧客と向き合って、会話を交わしながら、注文を聞き、パンをトレーにのせていく。「対面式販売にこだわった理由は、お店が住宅街の中心に位置していることもあって、地域のお客様の生の声を聞きながら、パン一つ一つの説明を直にしたい、お客様との会話を楽しみたい、と思ったからです」と望月さんは話す。
 ショーケースの後ろがガラス張りになっていて、売り場から厨房の様子が見えるようになっている。望月さんは「店内から厨房が見えることによって、お客様の反応をこちらも直に見ることができるので、どのような商品をお客様が必要とされているかが分かり、勉強になります」。
 オープンして2カ月が過ぎたが、地域の人たちがどんなパンを求めているかが分ってきたという。「これから夏に向けて、暑くても食べたくなる商品を作り、冷蔵ショーケースを導入していこうと考えています」(望月さん)



長時間発酵で小麦粉の旨味を出す

フランスパンに近い生地を長時間熟成させて作る「パン・ド・ミー」


コーヒーフィリングと、ヘーゼルナッツ、アーモンドを巻き込んだ「カフェ」


ショーケースには様々な商品が陳列されていた。


「ミルク・クリーム」(120円)は、冷やして食べることを提案している商品だ。


カレンズとくるみが入った生地で、クリームチーズを包んで焼き上げた「クリンズ」
 全体の商品構成について望月さんは「ハード系40%、デニツシュ30%、食パン20%、その他10%くらいの割合で作っています」という。
 パンの製法については「ドライフルーツやナッツを練り込んでパンを作る際は、焦げないように粉をふって、見た目にもグラデーションをつけています。基本的に一種類の粉で生地を作っているものはありません。灰分の多い粉や、食感や風味を出すための粉や、ボリュームや雑味が欲しい時に使う粉など、12種類以上の粉を使い分け、ブレンドしています」。
 ほとんどが長時間発酵の商品で、イーストを通常の20分の1くらいにおさえて、ゆっくりと発酵をとり、小麦本来の味を引き出す。クラストに甘みを出す目的でレーズン種など、数種類の天然酵母も使っているという。
 「自信作は?」との質問に望月さんは、多くの商品を紹介してくれた。
 「イーゴのパン」(230円)は、イチジクとくるみが入った生地を使用。生地には、牛乳やはちみつ、マッシュポテトも入っていて、比較的リッチな配合。生地を丸めて、スケッパーで4等分し、再び切り口どうしをくっつけてホイロをとる。「こうすることで、商品の表面積が大きくなリます。皮の部分がおいしいので、おいしい部分が多くなるわけです。火通りもよくなります」と望月さん。「イーゴ」とは、スペイン語でイチジクのこと。
 「カフェ」(230円)は、デニッシュ生地に、コーヒーフィリングを塗り、ヘーゼルナッツ、アーモンドを散らしてロールし、カットしてホイロをとり、焼成する。焼成後、ブランデーシロップを塗り、コーヒーチョコとフォンダンをかけて仕上げる。
 「パン・ド・ミー」(520円)は、フランスパンに近い生地を長時間熟成させて作る。「薄めにスライスしてトーストして食べてください」と提案しているという。
 「クリンズ」(230円)は、カレンズとくるみが入った生地で、クリームチーズを包んで焼き上げた商品で、「カレンズとクリームチーズの相性が抜群」と評判の商品。望月さんは、赤ワインが好きで、よくこのパンと赤ワインを楽しんでいるそうだ。
 パンがおいしく見えるように陳列方法も、工夫している。「バゲットなどは、藤かごを使わず、出来上がったバゲットがそのまま見えるように壁の棚に直接立てかけました。ショーケースの中のかごも、あえて黒にしました。実際、パンが映えて、おいしそうに見えるんですよ」(望月さん)



自分の感性を信じる

取材メモ 店に入ってまず思ったことは、パンがとてもおいしそうに見えるということ。ショーケースは濃い茶色の木製で、パンを陳列するかごやトレーのの色は黒だ。望月さんは「いろいろな色のかごに実際に自分のパンを置いてみて試してみたんです。黒の陳列用のかごは一般的ではないかも知れませんが、自分のパンが最もおいしそうに見えるのが黒だったんです」と話していた。お決まりのルールにとらわれずに、自分の感性を信じて実践することが、すなわち個性を打ち出すということになるのだ。

原価計算女王
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