厚生年金支給日の売上に注目する動き - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男) - ブランスリー電子版


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いろいろ、エッセイ/2007年5月号

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厚生年金支給日の売上に注目する動き - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)

いろいろ、エッセイ(5)

 今年も日本各地で桜が咲き乱れた。パッと咲いてパッと散る桜のいさぎ良さが私は好きだ。風に吹かれて舞う桜吹雪も情緒がある。
 桜は折々の記憶を鮮明に呼び戻してくれる。もう何十年も前になるが、酒を飲んだ帰り道、歩き疲れてベンチに座りふと見上げた夜空に咲き誇っていた桜の美しさと優雅な姿は、今でもはっきり思い出すことができる。去年は近くの公園で寒さに震えながら仲間と花見酒を飲んでいた。
今年も桜の花や葉を使ったパンが売れた。旬の商売はタイミングを外さないことが大切。桜の香りのパンは一年に一度の味であって欲しい。売れ始めるとズルズルと販売期間を延ばしがちだが、そこは桜の命に習ういさぎ良さでパッと終えるのがいい。そうしないと売れ残りを売っていると誤解されてしまう。日本の四季は旬を演出するのに最適の素材を提供してくれる。筍やアスパラなどを使った商品を観たことがあるが、その開発力に敬意を表したい。旬を提供する時は仕入れ部門や作る側と売る側の合意も必要だろう。
パンの売上は天候と関係がある。気温や湿度も影響する。蒸し暑い天候だとパンの売上は一挙に下がる。一方、毎年決まって台風が日本列島を襲うが台風の直前はよく売れる。生地がメインの製品なら日持ちがするし簡単に直ぐ食べられる。買い溜めに適しているので売れる。
 ここ数年パンの売上予想が難しくなっている。計画を作成するのに大変な時間と労力を使う。10年くらい前は、前年とだけ比較して売上計画を組めばそれで問題なかった。今は前月や前週、前日と比較する必要がある。時代の変化が激しいということだろう。
 売上傾向は給与日に当たる毎月25日が相変わらず好調だ。土曜日曜の連休が増えて以後、金曜が週の中で一番売れるようになって久しいが、最近新たな動きが出ている。
 「厚生年金支給日」の売上に注目する動きだ。偶数月の中旬に売上の良い日が何回かあったので調べたら「厚生年金支給日」と合致した。これからは多くの団塊世代が60歳の定年退職を迎えて厚生年金受給者となる。今までの「給料日」の店の賑わいが「厚生年金支給日」に変わるのも近いのかも知れない。
 こうして一つの時代が終わり新たな時代が始まる。時代や制度が変われば、それに対応するのは当然のことである。変わりゆく時代の中で変化を予想して売上や利益を確保することは大切な経営の視点である。
 来年、桜が咲く頃に私は何をしているだろう。ただ巡り来る季節を静かに見守り続けているのだろうか。それともパンを売り続けて充実した生活を送っているのだろうか。いずれにしてもただ一つ願う事は、時代の変化に翻弄されないように足場をしっかり固めて、自分のスタンスを維持し、常に前向きに進んで行きたいということである。







原価計算女王
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