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| いろいろ、エッセイ/2007年3月号 |
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| 『当たり前の事を、びっくりするほど、ちゃんとやれ』 - 武市 多美夫(パンを売り続けてきた男)
リビングの窓から差し込む夕陽が、私の顔を照らしている。庭の梅の木が、夕暮れ時の空の色を下地にしてシルエットに浮かんでいる。穏やかな一日が終わろうとしている。
一日を太陽の動きで知り、四季の移りを花便りで知る。こうして人は皆、自然の中に生きている。 今年は暖冬である。寒さが不得意な私には嬉しい冬だが、季節にそぐわないあまりの暖かさが気掛かりである。雪不足で営業が出来ないスキー場があるかと思えば、毎年今ごろは雪でクローズになるゴルフ場が、今年は雪がなく営業してゴルファーを喜ばせている。 暖冬により様々な影響が出ているが、米が不作になると心配する声がある。山に降る雪が少なく雪解け水が田んぼに流れ込まない為、水不足で稲が順調な成長をしないとの予測である。 またもや世間を騒がせている食品会社がある。ミルキーが好きで親父がみやげに買って来るのを楽しみにしていたものだ。小さい頃に夢を与えてくれた会社の不祥事だけに残念でならない。工場や店舗には作業手順やルールがあって、それを守るのは当たり前のことと思っていたが、どうやら現実は違うようだ。 『当たり前の事を、びっくりするほど、ちゃんとやれ』 当たり前のA、びっくりのB、ちゃんとのC。ABCの原則で、リスクマネージメントの基本であるが、「これくらいなら、いいだろう」「わからなければ、いいだろう」の二つの甘えが諸々の不祥事の原因と言われており、今回もこの甘えがなかったとは言えまい。 人間って奴は意識している間しか気にしない。それも極めて短い時間しかもたない。 それでは甘えを無くすにはどうするか。それは言い続けて意識させて、遣るべきことを徹底して遣らせるしかない。同じ内容を繰り返し繰り返し言い続けるしかない。「何故そうするか、何故そうするに至ったか。それがなされた時はこうなり、なされなかった時はこうなる」と伝えることも必要だ。 過去に解体した食品会社があるのに、「あれは人の事よ」と他人事でしかなかったのだろう。 不祥事を起こした工場が消滅して更地になった現場を観た時、背筋がゾッとしたのを覚えている。ミスによって信頼を失い、ドミノ倒しのように総てが瞬時に崩れていくのを、だれも望みはしないだろう。 今までより、もっと食の安全と安心を真剣に考えていこう。本当の信頼は、最低限のモラルを踏まえて実行した時にしか生まれない。 「これくらいなら、いいだろう」「わからなければ、いいだろう」。食の安心安全に携わるものとして、あってはならないこととして、肝に銘じておきたい。 |



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