時代が求めるパンは何かを、ずっと検証してきた。満を持しての全面リニューアルオープン - サンクルー - ブランスリー電子版


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お店拝見/2007年2月号

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時代が求めるパンは何かを、ずっと検証してきた。満を持しての全面リニューアルオープン - サンクルー

「古いヨーロッパの建物」を意識し、外壁に特殊な塗り壁材を塗って時代感を出した
山梨県富士吉田市のベーカリー、サンクルーが昨年12月、リニューアルオープンした。20年以上前のオープン時と比べて、様々な事情が変化し、売上も落ちてきていたが、リニューアル1カ月で、売上はリニューアル前のほぼ2倍になった。

住所 山梨県富士吉田市上吉田3581-5
電話 0555-24-3339
営業時間 午前10時〜午後7時
定休日 土曜日
品揃え 180〜190品目
最寄り駅 富士急行線・富士吉田駅(徒歩約15分)
敷地面積 約500坪
店舗面積 約61坪(厨房約35坪、販売スペース約26坪)
客単価 900円
日商 平日40万円、日祭日50万円
スタッフ 販売常時3〜4人、製造4人



ちょっとした工夫が商品価値を高める

ブレッド類の人気商品「チョコレートブレッド」


生地にパン粉ではなく、カレー粉をまぶして揚げる「ジャワカレー」


「チョコレートブレッド」を再利用した「チョコ&カスタード」


オーブンは、売り場から見える場所に設置されていて、窯出しの様子が見られるようになっている
 サンクルーは、街道沿いの立地で、20台収容の駐車場を完備。敷地面積はおよそ500坪で、建坪は約61坪。「古いヨーロッパの建物」を意識し、外壁に特殊な塗り壁材を塗って時代感を出した。屋根の濃いブルーと外壁の深みのあるクリーム色がシックな雰囲気を醸し出す。
 売り場は約26坪の広さ。売り場中央の平台の真ん中に、3段の陳列棚があって、ブレッド類が陳列されている。ブレッド類は袋に入れて陳列するため、あえて、棚下の照明はつけなかった。パンが熱せられて、袋の内側に水滴が付いてしまうからだ。
 店内にはこのほかにも、人気商品の数々が並んでいた。
 「チョコ&カスタード」(140円)は、菓子パン生地をベーキングカップに敷いて、チョコレートブレッドをサイコロ状にカットしたものをトッピングして焼き上げた商品だ。「チョコレートブレッド」を作る際に出る端生地を利用する。
 「ジャワカレー」(130円)は、カレーパン用のフィリングで「ジャワカレー」という材料があって、それを使用した商品。生地にパン粉ではなく、カレー粉をまぶして揚げるのがポイントだという。
 「チーズフランス」(260円)は、2種類のチーズを入れて焼き上げた商品で、上面にもチーズをトッピングし、チーズが入ったパンであることを演出している。人気商品のひとつだそうだ。
 「ソーセージリング」(130円)は、ハムソーセージを包んだ生地をリング状にして、チーズとオニオンスライスをトッピングして焼き上げたパンで、これも人気商品のひとつ。
 「十勝バター」(110円)は、十勝バターシートを折り込んだ生地をベーキングカップに入れて、そぼろをたっぷりとトッピングして焼成する。
 「メープルトースト」(130円)は、フランスパン生地をベーキングカップに器状になるように敷いて、角切りにしてメープルシロップに漬けた食パンを入れて焼き上げ、仕上げに粉糖をふる。
 「菓子パンは、いろいろと工夫をしています。また、なるべく頻繁に焼いて、焼きたての状態で買っていただけるように努めています」と同ベーカリー社長の吉沢秀雄さんはいう。



店作りには、様々な冒険をした

2種類のチーズを入れて焼き上げた「チーズフランス」。上面にもチーズをトッピングし、チーズが入ったパンであることを演出している


オーナーの吉沢秀雄さん(中央)とスタッフら。製造スタッフは4人と、売上の割に少ない


ハムソーセージを入れてリング状に焼き上げた「ソーセージリング」


十勝バターシートを折り込んだ「十勝バター」


メープルシロップに漬けた食パンを入れた「メープルトースト」


平台は重厚な作り。平台の中央の陳列棚には、ブレッド類が並ぶ
 サンクルーを経営する吉沢製パンは、1948年に、パンと和洋菓子の卸会社として創業。1963年頃から学校給食のパンも手掛けるようになった。
 1984年に、焼きたてパンの店、サンクルーをオープンし、製造小売の分野にも進出した。「当時はまだ、焼きたてパンを売る店がなかったので、よく売れましたね」と吉沢さんは振り返る。
 しかし、当初から20年経ったら、店を建てかえようと考えていた。吉沢さんの予想通り、焼きたてパンの店があちこちにできて、競争は激化した。「焼きたて」だけでは売れない時代がやってきた。
 「20年以上営業してきた場所に同じ店名でのリニューアルオープンだったので、いろいろと冒険ができました」と吉沢さんはいう。
 売り場の、通りに面した側には、イートインを配置したため、通りからはパンが見えない。「古いヨーロッパの建物」をイメージした外観は、一見パン屋さんとは分かりづらい。
 「20年以上営業してきて、お客様にある程度馴染みがあったからできたことだと思います」(吉沢さん)
 この他にも、屋根には太陽発電装置を設置したりと、様々な新しい試みを行っている。



店内の陳列スペースを減らして商品の回転をよくし、焼きたてが並ぶ頻度を高めた

品揃え減らしたが、「多くなりましたね」

売り場は、ゆったりとした雰囲気で、じっくりとパンが選べるようになっている。厨房は売り場を囲むようにコの字型に配置されている。売り場と厨房の間には、大きな窓があって、来店客は厨房の様子を見ることができる。


コーヒー無料サービスのコーナーには、飲み残しを捨てるための流しと、カップを捨てるための装置が置かれている


通りに面した窓際に設置されたイートインのスペース。「昔は通りから見える場所だとお客様が嫌がったものですが、今は事情が変わってきているようです」と吉沢さんはいう
 新店舗では、売り場は広くなったが、それまで200以上あった品揃えを、約180品目に絞り込んだ。陳列スペースも多段の棚をなるべく置かずに、可能な限り平面陳列にこだわった。理由は2つあった。
 まず、陳列面積が狭い方が、商品の種類を多く感じてもらえるからだという。「多くのお客様から、『品揃えが増えましたね』ということばをいただきました。実際は品数は減っているんですけれど」と吉沢さんは話す。
 さらに、陳列面積が狭い方が、焼きたてのパンをより多くの顧客に買ってもらえると考えた。「リニューアル前は、今より店舗面積が狭く、品数は多かったのですが、パンは午後2時頃までにすべて焼き上げて、店に並べていました。当然売り場には3段や4段の陳列棚を多く設置して、そこにパンを詰め込むという感じでした。いまは、夕方にもパンが多く焼き上がりますので、いつ来ても、焼きたてのパンがあるという状況になっています。同じパンを何回かに分けて焼き上げるようにしたんですよ」と吉沢さん。
 こうしたオペレーションを、比較的少人数で可能にしているのが、同ベーカリーから車で約8分の距離にある、吉沢製パンの本社工場との連携プレイだ。同社は、現在もパンの卸販売を行っていて、本社工場で卸用の様々なパンを製造している。サンクルーで製造販売する菓子パンや調理パン、デニッシュなどは、本社工場で仕込んだ生地を、生地玉の状態で冷凍したものを利用している。
 ハード系のパンなどは、サンクルーで粉から仕込み、焼き上げる。卸用のハード系のパンもサンクルーで作る。
 「ドウコンが重要ですね」と吉沢さんはいった。
 「店内のいろいろな場所に細かな工夫をしているんですよ」
 吉沢さんはさらにこういって胸を張った。
 コーヒーの無料サービスコーナーには、飲み残しのコーヒーを捨てるための流しを設置した。カップを捨てるゴミ箱は、コーヒーカップの直径より少し大きめの丸い口を6つ作って、コーヒーカップを立てたまま捨てられるようにした。丸い口はそれぞれ筒につながっていて、コーヒーカップは重なった状態でゴミ箱に落ちていく仕組みになっている。こうすることで、ごみの処理が飛躍的に楽になったという。
 食パンのスライサーは、「忙しいときには、中々掃除する時間がとれない」ということで、客から見えず、しかもレジのスタッフがすぐにいける場所はどこかを考えて、レジのすぐ後ろではなく、壁を隔ててレジの後方に置いた。



まずまずの結果。次の展開も検討

売り場の周りに設置された3段の陳列棚は傾斜を大きくとって、パンが重ならないようにした


レジは、入店して左側にある。陳列棚や陳列台の間のスペースはかなり広く、ゆったりとパンを選べるようになっている
 リニューアルオープンから約1カ月が経過したが、現在の平均日商は40〜50万円と好調だ。
 「人口5万の町ということを考えると、まずまずだと思います。まだ、リニューアルしたばかりですが、近くに人口がもっと多くて、パン屋があまりない地域があるんです。そこに同じような店を出せたらと考えています」(吉沢さん)




広々とした店内。左奥に大きな窯が設置されていて、顧客の目を楽しませている

オーブンの横の壁には、パンの焼き上がり予定時間が掲示されていた

コーヒーの無料サービスコーナーでは、温かいコーヒーが自由に飲めるようになっている

厨房は基本的に、スタッフが売り場を向いた状態で作業をするように設計されている

原価計算女王
原価計算女王

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