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| 読者を訪ねて三千里/2006年11月号 |
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| 新しい時代への対応 - ロンシェール洗足本店
東京都目黒区洗足2‐25‐1、電話03‐3781‐5292
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| 売れる体質に見事に生まれ変わった | |
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作れば売れる時代の古い体質から、顧客を中心に考えた新しい体質に、見事に生まれ変わったベーカリーが、東京・目黒区、東急目黒線・洗足駅のすぐ近くにあった。名前は、「ロンシェール」。
午後4時過ぎに、店を訪ねると、売り場には、窯から出たばかりの様々なパンが、たくさん並んでいた。 チーフ・ブーランジェの上原貴峰さんは「とにかく無駄をなくして、効率化し、その分の労力を、お客様が求めているものを、求めているときに提供することに割くようにしました」と話す。「簡単な例でいうと、分割と成形の時間を、職人の技を磨くことで、かなり短縮することができました。また、製造のタイムテーブルを一から作り直して、製造の空き時間をできる限りなくしました。効率化を図った分、同じ作業をより少ない人数でこなせるようにもなりました」 効果が出るのは早かった。売上が倍増した。 |

| 夕方の窯出しが大きな効果を発揮する | |
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同ベーカリーでは、2年前に、4時過ぎにパンの焼き上げの最後のピークを持ってくるようにした。
このことにより、仕事帰りのOLやサラリーマン、次の日のパンを買い求める主婦などの需要をしっかりとつかんだ。 多くの商品は、1日3回程度焼き上げる。例えば、フランスパンは、午前4時に仕込み始め、午前10時ごろに、最初の窯出しがあって、次は、午後1時ごろに焼き上がる。 夕方の窯出しでも、フランスパンは焼き上がり、パチパチと音をたてながら焼きたてが並ぶ。 「ハード系は、確実に需要が増えています。おいしいラスクを作るなど、残った場合のことをきちんと考えて、とにかく、何回も焼き上げるようにしました。最近では、4時にフランスパンを焼き上げても、ほとんど売れ残らないようになりました」と上原さんはいう。 |

| 黒柳徹子さんが愛した「ファンデュ」が復活 | |
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ロンシェール洗足本店は、東急目黒線・洗足駅を降りて徒歩1分の場所にあり、ワインレッドのテントが目印だ。
店内には、夕方にもかかわらず、数多くのパンが並んでいた。 「ファンデュ」(120円)は、フランスパン生地をフォンデュ形に成形して焼き上げた商品。実はこの商品は、上原さんの祖父が同ベーカリーを創業した当時に、タレントの黒柳徹子さんの実家によく届けていたパンだという。最近、あるテレビ番組で、紹介したいという依頼があって、「それならば」と、復刻版として、品揃えに加えたのだそう。 テレビに紹介されたこともあって、よく売れているそうだ。1日3回焼き上げるが、そのたびにすぐに売り切れてしまうという。 「かぼちゃのチーズタルト」(150円)は、パイ生地に、かぼちゃとクリームチーズを合わせた自家製フィリングをトッピングして焼き上げたもので、秋の新商品だ。 「和栗のマロンパイ」(200円)は、渋皮付きの栗をまるごとひとつと、マロン入りアーモンドクリームをトッピングして焼き上げた商品で、これも秋の新商品だ。 「ダブルコロッケ」(160円)は、コロッケとタルタルソースをのせて焼き込んだ商品で、お昼時に人気。「フランクフルト」(160円)は、フランクフルトソーセージとマヨネーズをトッピングして焼き込んだ商品だ。 こうした焼き込み調理パンは、お昼時には、飛ぶように売れるという。 フレッシュバターと、マヨネーズを使用した自家製めんたいペーストを入れた「めんたいフランス」(180円)も人気商品のひとつ。食べやすいようにと、横向きに切り込みが入れてあった。 |
| 洋生菓子や焼き菓子類も充実 | |
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同ベーカリーでは、フレッシュフルーツと生クリームのロールケーキ「フルーツブーケ」(550円)などの洋生菓子も製造販売している。
また、焼き菓子類も充実していて、「レーズンサンド」(130円)、「ダックワース」(130円)、クラッシュアーモンドをまぶしたラング・ド・シャに、チョコレートクリームをサンドした「アンセレ」などをラインナップしている。 売上の7割がパン類で、3割が、こうした洋菓子類だという。 |
| 作れば売れた時代の負の遺産と決別 | |
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ロンシェールは、1932年創業の老舗だ。上原さんは、3代目で、広告代理店に数年勤務したあと、家業を継ぐことを決意。
平日はロンシェールで働きながら、週末はパンの学校で学んだ。その後ベーカリーで修行を重ねて、2年前に、ロンシェールに戻ってきた。 2代目の上原さんの父親は、自分ではパンを作らず、パン職人を雇って、多店舗展開を図った。多いときで8店を展開していたという。 しかし、時代は変わり、その頃のやり方では、売上を維持するのが難しくなってきた。 上原さんが、家業を継ぐ決心をしたのはちょうどその頃だった。 「制度疲労ではないですが、昔の売れていた時代そのままの体制だったんです。品質もばらついていたし、新しい商品はできてこないし、製造スケジュールも隙間だらけでした」と上原さんは振り返る。 現在は、不採算店をすべて閉め、洗足本店と、東京・品川区の旗の台店の2店に集約した。 「今の時代はやはり、コンビニなどとの差別化という意味からも、オーナーシェフがパンを作り、地域の人たちと直接かかわり合いながら、おいしいパンを提供していくというスタイルでないと、難しいのではないかと思います」と上原さんは話す。 |
| ベーカリーカフェで顧客との交流を深めたい | |
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「パンを通したお客様とのお付き合いを深めるという意味で、ゆくゆくは、ベーカリーカフェをやりたいと思っています。ここ本店の2階が、丸々すべてパンの厨房になっているので、それを1階に移すなどすれば、2階がそのまま、カフェのスペースとして使えるんです」
こう話す上原さんの目は、希望にあふれていた。 |
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