パンの専門学校 - ブランスリー電子版

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業界アンテナ/2006年10月号

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パンの専門学校

パンの専門学校3校を取材した。短期間で専門の技術と知識を習得させるために、それぞれの持ち味を活かしながら、様々なカリキュラムを実践している。さらに、各校とも、技術と知識の教育だけにとどまらず、人間教育にかなりの重点を置いている。

※専門学校の掲載は五十音順です。



学生にプロ意識を芽生えさせる

 将来のパン業界を担う優秀な人材を育成することを目指して、パンの専門学校は、日々学生と向き合っている。
 現場の教師へのインタビューで分かったことは、彼らは、これから社会に出ていこうとしている学生らに、プロ意識を芽生えさせることに、常に心を砕いている、ということだ。
 東京製菓学
校・高橋朗パン科課長は「多くの学生は夏休みにベーカリーでアルバイトをし、現場の厳しさを身を持って体験します」と話していた。
 日本菓子専門学校・鈴木信明教育部部長は「特に社会人としての、例えば生活のけじめや責任感などをしっかりと身につけさせるように教育しています」と話していた。
 専門学校は、入学者の目的意思がはっきりしているという特徴もある。
 国際製菓専門学校・川��一文製パン科長は「目的意識がはっきりしている人が多くなってきているように思います。また、短大や大学にいってから入学してくる人が多いですね」と話していた。
(16ページ参照)



社会に出てすぐに役立つカリキュラム - 国際製菓専門学校

国際製菓専門学校は、JR立川駅のすぐ近くにある。


世界各国のパンや天然酵母のパン、菓子パン、調理パンなど数多くの種類のパンを学ぶ
 国際製菓専門学校(東京都立川市曙町1‐32‐1、電話042‐540‐8181)は、「パンを学びたい」「洋菓子を学びたい」「両方を学びたい」など様々な要望に応えるために、数多くの学科を設けている。
 製パン専科(昼1年) 1年間で一人前のブーランジェとして現場に立てるようにパンの技術を広く深く徹底的に学ぶ。社会に出てすぐに役立つカリキュラムを意識して、フランス、ドイツ、イタリアなど世界各国のパンや天然酵母のパン、菓子パン、調理パンなど数多くの種類のパンを学ぶ。
 菓子・製パン科(昼1年) 1年間で洋菓子と製パンが学べるコース。実習のほかに、テーブルコーディネート、フラワーアレンジメントなども学ぶ。
   ◇
 同校にはこのほか、製菓総合専門士科(昼2年)、洋菓子専科(昼1年)、製菓衛生師科(夜1年半)などが設置されている。



総授業時間の8割以上が、実習 - 東京製菓学校

選任教師による完全担任制で、即戦力のある人材を育成


1年間でパンの基礎から応用までを網羅し、即戦力のある人材を育成する
 東京製菓学校(東京都新宿区高田馬場1‐14‐1、電話03‐3200‐7171)は、総授業時間の8割以上を、実習にあて、選任教師による完全担任制で、即戦力のある人材を育成する。
 また、大手ベーカリーの工場やリテールベーカリーの厨房など、どんな現場に入っても対応できるように様々なメーカーの機械設備を導入している。
 パン本科(昼1年) 1年間でパンの基礎から応用までを網羅し、即戦力のある人材を育成する。卒業後のあらゆる現場を想定し、多種多様な材料を使っての実習を行う。冷凍生地を使った実習も行う。スペイン製の石窯を使った授業もある。製パンを科学的に理解するために、製パン実験の授業もある。
 パン専科(夜2年) パン本科と比べても遜色のないカリキュラムが組まれている。毎週、月曜日、水曜日、金曜日の午後6時から9時30分まで授業を行う。仕事をしながら通う人、別の学校に通いながら勉強する人など、様々な人が学んでいる。
   ◇
 同校にはこのほか、洋菓子、和菓子の各本科(昼2年)、洋菓子、和菓子の各専科(夜2年)などが設置されている。



菓子業者らの要請で設立 - 日本菓子専門学校

1グループ4人制の実習で、職場で求められるチームワークと確かな実践力を実につける


バランスのとれたカリキュラムに基づき、密度の濃い授業を展開
 日本菓子専門学校(東京都世田谷区上野毛2‐24‐21、電話03‐3700‐2615)は、全国の菓子製造業者や材料、機械メーカーなどの要請に応える形で、人材育成と、業界の地位向上を目指して1960年に設立された。
 技術の習得だけではなく、一般教養から専門教育までをバランスよくカリキュラムにとり入れている。
 製パン技術学科(昼1年) 1グループ4人制の実習で、職場で求められるチームワークと確かな実践力を実につける。洋菓子と和菓子のエッセンスを活かしたパン作りが学べるのも特徴。バランスのとれたカリキュラムに基づき、密度の濃い授業を展開。
 製菓技術学科(昼2年) 1学年では、洋菓子、和菓子、パンの基礎を学び、2学年では、洋菓子か和菓子のいずれかを専攻する。菓子作りの技に加え、衛生学、栄養学、経営学などの基礎知識を学び、さらには人間教育や社会教育も実践している。職人としての経験や勘だけではなく、理論的に菓子作りを考えられる力を養う。
   ◇
 同校にはこのほか、通信教育課程(2年)が設置されている。 

基本的なことを徹底的に教える - 国際製菓専門学校 川��一文製パン科長

 ―最近の入学者の傾向は何かありますか。
川�� 目的意識がはっきりしている人が多くなってきているように思います。また、これは以前からの傾向でもあるのですが、短大や大学にいってから入学してくる人や、何年か社会人を経験して入ってくる人が多いですね。約半数はそうです。ベーカリーは、自分で何かをやりたいと起業を考える人たちには人気が高いようです。デイリーの商品で、毎日でも買いに来てもらえるというところが人気の理由のひとつではないかと思います。
 ―普段の授業で気を付けていることは何ですか。
川�� 学校は、卒業して現場に入るまでの中間の場所にあるわけですから、難しい技術を教えるより、基本的な、どこへ行っても使えるような事柄をまず徹底的に教えます。第一はあいさつと掃除です。製パンの技術にしても、まずはパン生地のまるめ方とのばし方を徹底的に教え込みます。それと材料の計量を正確にすることの大切さを教えます。製パン専科は1年の課程なので、前半にそうした基礎的なことを教え込んで、後半に、ミキシングや焼成などの高度な技術を教えるようにしています。
 ―学生との生活で印象深かったことは何ですか。
川�� 毎年最後の授業で、班ごとに好きなパンを作って、それを食べながら一人一人が1年間の反省や感想を述べるのですが、「このクラスでよかった」とか「いろいろ迷惑をかけたけれど、助けてもらって嬉しかった」などという言葉を聞くと教師をやっていて本当に良かったと思います。

原価計算女王
原価計算女王
チームワークが大事。レシピは自分で書く - 東京製菓学校 高橋朗パン科課長

 ―学生を教えていく上で気をつけていることは何ですか。
高橋 入学して1年後には、パン業界のいろいろな現場で働き始めるわけですから、まず、パン業界の実態を伝え、しっかりとした心構えを持たせるようにしています。多くの学生は夏休みにベーカリーでアルバイトをし、現場の厳しさを身を持って体験します。
 ―現場に入ったときに一番大切なことは何でしょうか。
高橋 チームワークです。一人でやる仕事ではないので、職場の仲間とうまくコミュニケーションをとっていかなければ、仕事はうまくいきません。入学して1カ月経つと、箱根のセミナーハウスで全員が参加して、3〜4日の合宿研修を行うのですが、仲間とのコミュニケーションという意味で、これがかなり役立っています。
 ―技術の習得の面では、どのような指導をされていますか。
高橋 最初に手仕込みでパンを作らせます。パン生地に直接触れて、生地の感触を味わわせるためです。そして、材料についての理解を深めさせるために、例えば同じ食パンを、強力粉や薄力粉など、小麦粉を変えて作らせたりする製パン実験の授業が1カ月ぐらい続きます。それから、基本的なパンの実習に入っていくわけですが、実習をやりながら、1品目ごとに学生に自分でレシピをノートに書かかせます。卒業までに約170品目の実習を行います。
 ―求人の状況はどうですか。
高橋 おかげさまで、毎年就職希望者全員が就職できています。最近は求人数がかなり増えています。

社会人としての規範を教え込む - 日本菓子専門学校 鈴木信明教育部部長

 ―基本的な教育方針は。
鈴木 パンの技術者としても、社会人としても、即戦力になる人材の育成を目指しています。特に社会人としての、例えば生活のけじめや責任感などをしっかりと身につけさせるように教育しています。技術は、毎日のことで、人によって習得の速さは違いますが、自然と身についてくるものです。
 ―具体的な教育内容で特徴的なことは。
鈴木 店舗形式で販売のシミュレーションができる教室があって、そこで販売の授業を行います。学生たちは、ともすれば、パンを作ることだけに考えが偏ってしまいがちですが、この授業で、販売のこともきちんと考えたパン作りができるようになります。
 ―最近の学生の傾向は何かありますか。
鈴木 昔はクラス全体に対して、びしっと指導すれば、みんなついてきたのですが、今の子供たちに対しては、一人一人の性格を熟知して、一人一人に1対1で向き合う部分が多くなりました。教師としては、大変ではありますが、やりがいがあります。
 ―今後、学校として新たに取り組んでいきたいことは?
鈴木 学校の存在感をさらに高めていくために、いろいろな情報をパン業界に向けて発信していけたらと思っています。例えば、パン業界で頑張っている女性の卒業生を講師によんで、女性のための勉強会なんかを開けたらいいなと思っています。パン業界への女性の進出はどんどん進んでいますが、女性であることからくる悩みを抱えている人も多いのではないかと思います。


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