パン作りをとことん追求してきた。ルバン種は、パンに加える「だし」 - パン工房風見鶏 - ブランスリー電子版

2026年10月21日に公表されたPHPの脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)については、いずれも対策を完了しています。

ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
お店拝見/2006年6月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


パン作りをとことん追求してきた。ルバン種は、パンに加える「だし」 - パン工房風見鶏

売り場は2階部分まで吹き抜けになっていて、開放的な空間だ。2階部分の窓からやわらかな光が差し込み、パンをやさしく包み込む。
Shop Data
住所 埼玉県さいたま市南区大谷口5338‐6
電話 048‐874‐5831
最寄り駅 JR武蔵野線・東浦和駅
最寄り駅からの距離 徒歩約15分
営業時間 午前10時〜午後7時30分
定休日 第1、第3、第5日曜日
店舗面積 約30坪(製造スペース18坪、販売スペース12坪)
品揃え 約100品目
客単価 約1100円
日商 30万円
スタッフ 12人(製造8人、販売常時平均3人) 



「ここは劇場のステージです」

サンドイッチ類は種類も多く充実している。


中央の平台には、クロワッサンやチーズフランスなどが並んでいた。
 パン工房風見鶏は、JR武蔵野線の東浦和駅から徒歩約15分の住宅街の中にある。2階建ての建物の屋根にはシンボルマークの風見鶏が設置されている。
 売り場は約12坪。2階部分まで吹き抜けになっていて、外の光がたくさん入るように高い位置に大きな窓が設けられている。
 入店して、少し左に目をやると、ちょっとした演台のような場所があって、そのすぐ後ろに大きな窯がある。そこで颯爽と窯出しを行っていたのが、オーナーの福王寺明さんだった。
 客が入ってくるたびに「いらっしゃいませ」、出て行くたびに「ありがとうございました」と声をかけながら、てきぱきと作業をする。福王寺さんは「ここは劇場のステージです」といった。
 売り場の中央には大きな平台やサンドイッチ用のショーケースなどがあり、様々な商品が並んでいた。特にサンドイッチの品揃えが豊富で、華やかな感じ。
 平台の周りの陳列棚にも、アイデアあふれ
る様々な商品が所狭しと陳列されていた。
 「人気商品は」と福王寺さんに尋ねると、開口一番に名前があがったのが、「王様のクリームパン」(170円)。バターロールの生地にカスタードクリームを少しだけ入れて、上にメッシュのデニッシュ生地をかぶせ、ホイロをとって焼成。粗熱がとれたら、「なめらかカスタードクリーム」(カスタードクリームと生クリームを混ぜ合わせたもの)をたっぷりと注入し、粉糖などで仕上げた商品だ。
 「チョコバナナ」(70円)は、ドーナツ生地にチョコレートやバナナなどを入れて、まわりにココナッツをまぶして揚げた商品。



個性豊かな商品で溢れる店内

デニッシュは、すべてプチサイズで、価格は100円。「小さくすれば、何種類も食べられる楽しさがあるでしょう」と福王寺さんは説明してくれた。


人気の「王様のクリームパン」。見た目も華やかだ。


「洋風フォンデュ」(左)と「和風フォンデュ」(右)
 ほかにも個性溢れる商品がたくさん並んでいた。
 「洋風フォンデュ」(200円)は、全粒粉が入った天然酵母パン生地を、グラタンなどの器の形に成形して、パンクラムを入れ、さらにベシャメルソースや海老、ほうれん草などを入れて焼き上げる。「この商品はどしっとした食感のパンじゃないと合いません」と福王寺さん。
 「和風フォンデュ」(200円)もある。こちらの方は、黒米ごはん入りの天然酵母パン生地を使用。同じように器の形に成形して、かぼちゃやきのこを入れて焼成する。
 「きびだんご」(100円)は、玄米パンの生地を使用。黒糖あんともちを包んで、ベーキングカップに入れ、焼成したあと、油で揚げて、きな粉シュガーをまぶして完成だ。
 充実したサンドイッチ類のひとつ「ベーコン揚げなすフォカッチャ」(350円)は、ベーコンとナスを使ったサンドイッチだ。オーブンでベーコンをカリカリの状態に焼いて、さらにバーナーで表面をあぶり、油を落とす。ナスは、素揚げして、醤油、酢、ドライガーリックをあわせたタレに漬け込む。ソースは、ドライトマト、エシャロットなどから作る。同ベーカリーは、サンドイッチに使用する具材は、エビフライやコロッケなどその多くが自家製だ。
 一方、デニッシュは、そのほとんどが100円と低価格。実はすべてプチサイズなのだ。「カスタード」「クランベリー」「ショコラ」「くるみ」「マンゴー」など種類も多い。「デニッシュブームはもう終わりました。1個180円なんていうとちょっと高いな、という感じになってしまうし、小さくすれば、何種類も食べられる楽しさがあるでしょう」と福王寺さんは、説明してくれた。
 デニッシュ5個入りパックも販売していて、「パーティー用」や「ちょっとしたお土産」などとしてよく売れているという。クロワッサンも小ぶりで、種類が多く、1個80円〜100円とリーズナブルだ。
 「パンの販促に最も効果的なのは、試食を提供することだと考えています」と福王寺さんはいう。同ベーカリーでは、売り込みたい商品などには必ず、小さくカットした試食を添えるようにしている。また、「本日の作品」として、面白いアイデアが浮かんだときなどに福王寺さんが即興で商品を作って販売することもある。
 「お客様に食べていただいて、批評していただき、評判がよければ定番商品になることもあります」



食パンが強い店になろうと思った。深い味わいのある
ほのかな甘み

閑静な住宅街の一角にたたずむパン工房風見鶏。夜になるとライトアップされ、別の表情を見せる


看板商品の「工房食パン」


最近力を入れているというロールケーキの「バニラ」(右、1本800円)と「ダブルベリー」(左、1本900円)


オーナーの福王寺明さん


焼そば、キャベツ、タコなど11種類の具が入った「広島風お好み焼きパン」(150円)


スタッフが勢揃い。後列中央がオーナーの福王寺さん
 福王寺さんは、ある大手リテールチェーンで、10年間、パン職人として働いた。責任ある立場になり、厨房全体をまわしていくことに多くの精力を割くようになっていた。とことんパン作りを追求するよりも、大量のパンをそつなく効率よく作ることが求められた。そんなときに、東京・西葛西のパン技術研究所に派遣された。そこで、多くの人に出会った。それまでに使ったことがなかった材料を使い、経験したことがない製法でパンを作った。自分のパンをとことん追及したいという思いが深まった。
 28歳の時に、現在の店舗から約500メートルの場所に店を構え、独立した。前の会社で慕ってくれた多くの人が手伝いに来てくれた。
 オープン当初は、前の会社と同じような品揃えだったが、「場所がかわるとこんなにも好みが違うものか」と驚いた。そして、食パンを柱にしようと考えた。食パンが強い店は安
定している、と思ったのだ。
 「多くのベーカリーをまわり、いろいろな食パンを食べました。業者の方にもお願いして、あちこちの店の食パンを持ってきてもらい試食しました」(福王寺さん)
 「柔らかくて、ほのかな甘みがある食パン」「砂糖だけの甘さではなく、深みのある甘みがある食パン」「耳が薄くて、トーストするとかりっとする食パン」――これらが最終的にたどり着いた理想の食パンのイメージだった。
 早速食パンの改良にとりかかった。「コクのあるほのかな甘み」を出すためにハチミツを使ったり、練乳を練り込んだりした。
 福王寺さんは「料理にだしが必要なように、パンにもだしを入れる必要がある」と考えるようになった。そのひとつのきっかけとなったのが、約10年前に出会ったホシノ天然酵母だった。それはパンに加えるだしを作るのにうってつけの素材だった。
 福王寺さんは、ホシノ酵母と小麦粉、砂糖、練乳などを混ぜ合わせて熟成させ、独自のルバン種を考案した。これをパンに入れることで、理想とする「深い味わいのあるほのかな甘み」が実現できると考えた。
 「ホシノ酵母で作る種は、メインの『工房種』
など4種類ほどあります。まさにパンに入れる上等のだしです。これを入れると、パンの保存性も高まります。また、時間が経ってもパンの味があまり落ちないようになりました。おいしいパンを作ろうと、これまでずっと追求を重ねてきましたが、それはきっと、パンのぱさつきをなくすことと、複雑で深い味わいを出すことの2つに集約されるのではないかと思います」と福王寺さんはいう。
 現在、パン工房風見鶏には、「工房食パン」(1斤240円)、「風見鶏食パン」(1斤280円)、「オニオンブレッド」(1斤320円)などおよそ10種類の食パンがある。どれも研究に研究を重ねた苦心作の食パンだ。

きびだんご

玄米パンの生地を使用した「きびだんご」
【配合%】
SH1(フランスパン用粉、瀬古製粉)…………………40
スリーグッド(強力粉)……………………………………40
玄米粉(ミタケ食品)……………………………………10
全粒粉……………………………………………………10
バター………………………………………………………4
工房種……………………………………………………20
生イースト………………………………………………1・7
牛乳…………………………………………………66・7
はちみつ…………………………………………………3
生クリーム………………………………………………2・5
プロベスト(濃縮乳)……………………………………2・5
モルト……………………………………………………1・5
食塩………………………………………………………2
上白糖……………………………………………………6
【工程】
ミキシングL4分M5分、捏ね上げ温度30度C、フロアタイム1時間(パンチ)30分、分割25グラム、ベンチタイム30分、成形→黒糖あんともちを包み、円形のベーキングカップに入れる。ホイロ35度C80%50分、焼成上火260度C下火200度C5分後、1分程度油で揚げる(粗熱がとれてから、きな粉シュガーをまぶす)。
▼工房種
【配合%】
▼ホシノ小麦粉種(赤)生種……………………………15
強力粉(イーグル)……………………………………100
水…………………………………………………………92
天塩………………………………………………………2
砂糖………………………………………………………5
練乳………………………………………………………5
ハチミツ……………………………………………………5
【作り方】全材料をミキシングし、27度C〜28度Cの場所で、15〜16時間発酵させる
▼ホシノ小麦粉種(赤)生種
【材料】
ホシノ小麦粉種(赤)…100
ぬるま湯………………200
【作り方】(1)ホーロー容器にぬるま湯を入れ、かき混ぜながら粉末状のホシノ小麦粉種(赤)を入れる(2)ホーロー容器に蓋をして、27度Cで20時間熟成させる

ベーコン揚げなすフォカッチャ

人気のフォカッチャサンドの「ベーコン揚げなすフォカッチャ」(左、13ページにレシピを掲載)。右は「自家製焼豚フォカッチャ」(350円)。
【材料】
フォカッチャ……………………………………………1個
なす………………………………………………2分の1本
塩………………………………………………………適宜
レタス……………………………………………………1枚
ベーコン………………………………………………70グラム
カルピスバター…………………………………………適宜
エシャロットとドライトマト……………………………20グラム
【作り方】
(1)なすは、さっと揚げて、軽く塩をふる
(2)[1]のなすを、▼タレに漬け込む
(3)ベーコンは、オーブンに入れて軽く焼き、さらにバーナーで表面に熱を加えて、油をおとし、かりかりの状態にする
(4)フォカッチャを横に割って、カルピスバターを塗る
(5)レタスを敷き、その上にベーコンとなすをおく
(6)みじん切りにしたエシャロットとドライトマトを揚げなすとベーコンにかける
▼タレ
醤油1、酢1、ドライガーリック適宜、白ごま少々の割合で混ぜ合わせる

原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら