売れるお店はここが違う - 店長が自分でする店舗診断(第12回=最終回) - ブランスリー電子版

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店長が自分でする店舗診断/2006年5月号

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売れるお店はここが違う - 店長が自分でする店舗診断(第12回=最終回)

著者プロフィール
角田誠(つのだまこと)
日本商業施設学会会員、商業施設士、商業施設活性化コンサルタント、一級建築士、(協)日本店装チェーン理事、(社)商業施設技術者・団体連合会関東甲信越支部副支部長
商業施設の企画、設計、施工などを多く手掛ける。ベーカリー百数十店の店づくりに携わる。「江東区魅力ある個店づくり」制度に派遣される。
株式会社第一店装(電話044‐222‐3913)代表取締役、武蔵工業大学卒業 http://www.dai1-t.com



第7章 店舗診断結果の生かし方

■「総合評価」でわかる自店の長所と短所
 「店長が自分でする店舗診断」もいよいよ最終回です。
 今回は、約1年間、先月まで行ってきた店舗診断の結果を、実際に店舗改善に生かすための取り組み方について解説します。 
 「店舗診断」は、次の5項目に分けて行いました。
 1.店外診断
 2.店内診断
 3.什器及び陳列診断
 4.商品管理診断
 5.サービス診断
 これらの大項目に、それぞれ10〜30項目のチェックリストがありました(表1)。
達成度により、○ △ ×(場合により◎ ××)で回答したのち、評定を集計して、10点満点の評点を出しました。
 各項目の評点を五角形のレーダーグラフに記入することで、「総合評価」を表すことができます(グラフ1、グラフ1の記入例)。グラフは、大きな正五角形になるのがもちろんベストですが、実際には、項目により達成度にかたよりが生じることが多くなるものです。そのとき私は、達成度の「最も高い項目」と「最も低い項目」に特に注目することを勧めています。つまり、自店の「長所」と「短所」を再認識するのです。
 お客様は、数多いベーカリーの中から自分のお気に入りのお店を選びます。そ
のときの判断材料となるのが、他店にない独自の「長所」と、お客様のフィルター
に掛かってしまう「短所」なのです。
 「ベーカリー」は、まさに「人気商売」の代表といえます。お客様の足を遠ざける「短所」を克服すると同時に、お店の最大の武器である「長所」をもっと伸ばすことが、より多くのお客様に、より深く、そして永く愛されるようになるポイントです。

ラフ1

グラフ1の記入例

図1 店舗改善の戦略的分類
-


■店舗改善の戦略をもつ
 店舗診断を実施することで、より魅力あるお店になるための課題が明らかになってきたことでしょう。
 次のステップは、店舗を改善する実務ですが、その改善作業は「効率的」に実行することが必要です。
 店舗を改善するには、「コスト」と「時間」がかかります。
 どのくらいの「コスト」と「時間」がかかるのか、という視点で分類したものが「店舗改善の戦略的分類(図1)」です。
 店舗改善は、「コスト」と「時間」の視点を大切に、優先順位をつけて長期的に継続、実行する「戦略」が必要です。
 まず「コスト」も「時間」もかからない「日常的改善」から着手します。気が付いた時点で、すぐに実行することがポイントです。
 そして、「コスト」は低いが「時間」がかかる「技術的改善」と、「コスト」は高いが「時間」がかからない「設備的改善」を行
います。
 「技術的改善」は、接客サービスのマニュアルづくりや、商品知識の習得、販売促進ソフトの開発などです。
 「設備的改善」は、電球の交換や内装の修繕などです。明るく、清潔で、安全なお店を保つために必要な改善です。
 これら2つの改善は、お互いに有機的に組み合わせることが効果的です。お客様のニーズ・ウォンツを常に考えながら優先順位をつけて重要と思われる項目から実行します。
 以上の改善努力にもかかわらずに、売上の「自然減」が感じられるならば、店舗リニューアル(全面改装)を計画します。
 店舗リニューアルは、総合的に店舗経営を見直し、できうる打開策をすべて同時に実行する絶好の機会です。決して、ハードの大修繕工事だけであってはなりません。
 そのためにも、店舗リニューアルの設計は、その業種の販売技術について知識のある設計者に依頼することをお勧めします。
 店舗リニューアルは、おおよそ6年〜10年に1度の大事業であり、相当のコストもかかります。
 準備不足や打合せミスなどによる失敗は絶対に許されません。「成功するリニューアル」については、また次の機会にお話ししたいと思います。

■お客様の視点でお店を見る
 お客様が快適に買い物ができて、満足をしていただける良いお店づくりを目指します。
 そのためには、お客様の視点でお店を見る習慣が必要不可欠です。
 この連載「店長が自分でする店舗診断」の目的も、お客様の視点でお店を見直すということに他なりません。
 ただし、お客様の視点でお店を見るということは容易なことではありません。 そこで、「自分のお店の写真撮影をしてみて、今まで気付かなかった本当の姿を見る(第2回参照)」ことや、「ストアコンパリゾン(店舗比較見学、競合店視察)を行い、他店を、自店の鏡として問題点を探る(第9回参照)」ことを提案しました。
 お店側の「売り場」、という考えよりも、お客様の「買い場」、という視点に立ちます。そうすれば、目指すお店の姿は、おのずから見えてくるはずです。

■「これはいいな」の積み重ね
 ベーカリーは、食品製造小売業の代表ですから、「おいしいパンをつくる」ことがもちろん繁盛店の必要条件なのは言うまでもありません。
 しかし、その「製造技術」が先行し、「販売技術」が体系的に語られる機会が比較的少ない傾向にあったようです。
 「製造技術」と「販売技術」は、車の両輪であり、どちらかにかたよりが生じると非常に経営効率の悪いお店になってしまいます(第1回参照)。
 繁盛店ベーカリーには、店舗施設をはじめ、接客、陳列方法、販売促進等にいたるまで「販売技術」の向上には、めざましいものが見られます。
 今回の店舗診断で提示したチェックリストには、奇抜なものは何一つありません。
 私のお店づくりの経験のなかで「これはいいな」と感じたことを並べた「当たり前」のことだけです。その「当たり前」の積み重ねが、お客様に支持されるお店を育てます。
 チェックリストは、自分のお店の条件に合わせて項目を変えることで、お店独自のチェックリストを作れます。また、日常業務だけを選んで、スタッフのためのチェックリストを作るのも良いでしょう。

■終わりに
 お子様からご年配の方までに、喜んで食べていただけるおいしいパンをつくる。そして、お店に来ていただいたお客様には、気持ちよく買い物を楽しんでいただく。そんなお店が増えれば、パン好きな人はもっともっと増えるのではないでしょうか。
 おいしいパンのファンを増やすことが、活気ある街をつくることになります。その中心には「私のお店」があるという気概で、良い店づくりを目指していきましょう。


表1





原価計算女王
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