ラ ブランジュリキィニョン:お金がかからないように自分たちで全部店を作ってしまおうと考えました

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お店拝見/2006年5月号

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「お金がかからないように自分たちで全部店を作ってしまおうと考えました」 - ラ ブランジュリキィニョン

レジにも楽しさがが溢れる。店内には、様々な手作りの備品が配されていた。
住所 東京都国分寺市南町2‐11‐23
リヴェールプラザ101
電話 042‐325‐6616
最寄り駅 JR国分寺駅
最寄り駅からの距離 徒歩10分
営業時間 午前10時〜午後8時
定休日 日曜日
店舗面積 20坪(製造スペース16坪、販売スペース4坪)
品揃え 約70〜80品目
客単価 700円
スタッフ 5人(製造3人、販売平均1・5人)



自己資金ゼロ。投資総額は800万円

スタッフが勢揃い。左がオーナーの神林慎吾さん。右が販売企画担当の池津香織さん


店舗の外装もすべて自家製だ。


商品は店の外からも見えるようになっている。外から商品を覗きこんでから、店に入ってくる客も少なくない。
 「パン職人なら、いつかは自分のお店を持ちたいという思いはあると思います。でも資金の問題で現実は厳しいものです」
 東京・国分寺市の「ラ ブランジュリ キィニョン」のオーナー、神林慎吾さんはこう話した。
 「だったらお金がかからないように自分たちで全部店を作ってしまおうと考えました」
 神林さんは、独立前に渋谷のあるベーカリーでパン職人として働いていた。同僚に神林さんが一目置く女性がいた。
 そのベーカリーが廃業し、製パン機械の引き取りを依頼した機械業者が、神林さんの次の就職先を世話してくれた。イスラエル人が経営する神奈川県の卸ベーカリーだった。 そこのスタッフたちは、日曜大工が好きで、工場の備品などを自分たちで作っていた。
 神林さんの中に「自分で作ったパンを直接お客さまに販売したい」という思いが募り、独立を決意、2001年1月、JR国分寺駅から徒歩10分の場所に店舗物件を借りた。
 製パン機械は、すべて中古で揃えた。廃業した渋谷のベーカリーで製パン機械を引き取ってくれた業者が手配してくれた。新品で揃えるのに比べ3分の1以下の資金で済んだ。 「廃業した店から引き取ったままのものでしたので、それはひどいものでした。窯なんかは、炉床がさびだらけで、使えるようにするのに2週間かかりました」(神林さん)
 故障も多かった。新品の機械と違って、メーカーが修理に来てくれないので、自分で修理することが多かったという。「製パン機械の仕組みにはかなり詳しくなりましたね。『自分たちの手を掛けた機械』という感覚が、パンへの思いをさらに深めてくれました」(神林さん)
 売り場の内装もすべて自分たちでやった。デザイン担当は、渋谷のベーカリーで、神林さんと共に働いていた池津香織さん。セメントと砂を購入し、生コンを作り、床に流し込んだ。平らにならして、ブルーのガラス玉を散りばめた。あんべらも埋め込んだ。宝石を散りばめたようなオリジナルの床が出来上がった。壁面には、白いペイントを塗った。
 陳列台や陳列棚、レジ台などは、イスラエル人が経営する神奈川県のベーカリーのスタッフたちが作ってくれた。
 2001年1月に物件の引渡しを受けて、4月5日にオープンという強行軍だった。
 自己資金ゼロ。投資総額は、国民金融公庫から借りた800万円のみ。



ハロウィンでは、子供達の仮装パーティー

「ブルーチーズのラスク」(1袋168円)や、水玉の形をした「水玉クッキー」(1袋157円)などの焼き菓子のコーナー


ハロウィンの企画で子供達にかぼちゃのお面のクッキーをひく「くじの企画」を行った時のアルバムを手に、販売企画担当の池津香織さん


店内のあちこちに、常連客の子供の写真や、商品を紹介するイラストなどが飾られていた。


壁面には、オーダーメイドのパン持って喜ぶ子供の写真や、ハロウィンで仮装する子供達の写真などが所狭しと飾られていた。
 キィニョンは、販売スペースが4坪と小さな店だ。店舗正面の看板や入り口のドアなどもすべて自家製。店構えは、いわゆる一般的なベーカリーというより、おしゃれな雑貨店といった趣だ。
 通りに向いた面は、半分が総ガラスばりになっていて、パンが外からも見えるようになっている。通りに面したショーウィンドウのようだ。
 キィニョンは、顧客とのコミュニケーションを図ることに熱心だ。毎年、ハロウィンではユニークな企画を行う。10月始めから、子供連れの顧客に、塗り絵の用紙を渡して、持って帰ってもらい、子供に色を塗ってもらう。次に来店した際に完成した塗り絵を持ってきてもらい、お礼にクッキーなどをプレゼント。持ってきてもらった塗り絵は、そのつど店内に貼っていく。ハロウィンの日には、壁は子供達の塗り絵でいっぱいになる。
 それだけではない。10月31日のハロウィンの当日、常連客の子供たちが、「お姫様」や「お化け」などの仮装をして店に来店するのだ。その日、キィニョンは、子供たちの仮装パーティーの様相を呈する。
 さらに、かぼちゃのお面の形をしたクッキーを作って箱に入れ、子供たちにとってもらうという「くじ引き」も実施。「ビッグスマイル」のクッキーを引き当てれば「当たり」で、さらに大きなクッキーをプレゼント。当たりをひいたら、その場でデジカメで写真を撮り、その写真を店内に貼り出す。
 パンのオーダーメイドサービスも顧客とのコミュニケーションの有効なツールになっている。特に子供の誕生日用のパンを注文する顧客が多く、「似顔絵パン」が「世界にひとつしかないパン」として大人気だ。
 結婚式のサプライズ用のパンを注文する人も多いという。
 販売企画担当の池津香織さんは「お客様の印象に残るようにと、4年間いろいろな企画を行ってきました。すぐに効果が表れるというものではありませんが、継続は力なりで、時間をおいて少しずつ効果が現れてきますね」と話していた。



手作りの店舗に、個性豊かな手作りのパンが並ぶ。
新鮮な卵から作るカスター使用のクリームパン

養鶏場から直接届けてもらう新鮮な卵を使った「クリームパン」


「切り株タイプ」と「小枝タイプ」の2種類がある「フレンチトースト」


自家製ライサワーを使用した「ロッケンフォルコン」


ロールケーキをクロワッサン生地で包んで焼成する「ロールケーキクロワッサン」


様々なパンが並ぶパンの陳列台も手作り。
 キィニョンの看板商品のひとつは「クリームパン」(136円)だ。同商品は、東京・府中市の養鶏場から毎日届く新鮮な卵から作る自家製カスタードクリームを包んで焼き上げる。「とにかく新鮮なんです。このおいしい卵を生かして何か作りたいと思いました」と神林さんはいう。
 艶があって、ぷっくりと膨らんでいて、見るからに食欲をそそる。焼成前に塗り卵をし、すぐに焼成せずに少し時間をおくと、独特の艶が出るのだという。
 「湧水トースト」(1斤294円、半斤147円)も看板商品のひとつだ。日本名水百選に数えられる国分寺の真姿の池の湧水を仕込み水に使った食パンで、湧水のほかは、小麦粉と塩と酵母だけが材料。3種類の小麦粉をブレンド。小麦粉の香りを最大限に引き出した商品だ。神林さんが店を国分寺に構えたのは、この水を使いたかったことも理由のひとつだという。
 「シェフのおやつパン」(1個10円、5個入り52円、10個入り105円)は、菓子パンの生地を小さくカットして焼き上げた商品。最初は菓子パン生地が余った時だけ作っていたが、売れ行きが好調だったため、毎日作るようになった。特に子供に人気があるという。「子供の支持が得られれば、お母さんの支持も得られますから」(神林さん)
 「ロールケーキクロワッサン」(189円)は、自家製いちごジャムを巻き込んだロールケーキをクロワッサン生地で包んで焼き上げた商品。いちごの季節だけの限定商品だ。
 「ロッケンフォルコン」は、自家製のライサワーを使用したライ麦粉100%のパン。くるみとフィグを入れ、白ごまをまぶした商品(1本630円、ハーフ315円)と、押し麦とひまわりの種をまぶした商品(1本525円、ハーフ262円)の2種類がある。
 フランスパンで作る「フレンチトースト」は、輪切りにした状態のフランスパンを使った「切り株タイプ」(105円)と、輪切りにした状態のフランスパンを2つに割った「小枝タイプ」
(84円)の2種類。
 この他にも、フライドオニオンを生地に巻き込んで、チーズとマヨネーズをトッピングして焼き上げた「オニオンブレッド」(1本420円、ハーフ210円)、パン生地の器にビーフシチューを入れて焼き上げた「パンバスケット ビーフシチュー」(262円)など、個性あふれる様々なパンが店頭を飾っている。

湧水トースト
国分寺の真姿の池の湧水を仕込み水に使った食パン。3種類の小麦粉をブレンド。小麦粉の香りを最大限に引き出している。

【配合%】
スーパーキング(強力粉)…………70
リスドォル(フランスパン用粉)………20
ビリオン(強力粉)……………………10
シママース(塩)………………………2
三温糖…………………………………1
ドライイースト………………………0・8
ショートニング…………………………1
ラード………………………………0・5
湧水…………………………………68
【工程】
ミキシングL3分M3分(ショートニング、ラー
ド投入)L2分M3分H2分、捏ね上げ温度25度C、フロアタイム1時間(パンチ)1時間30分(パンチ)30分、分割225グラム×4、ベンチタイム30分、成形→俵形にして型に4つ並べて入れる。ホイロ30度C70%1時間30分、焼成上火190度C下火240度C50分(焼成後、溶かしバターを塗る)
※ドライイーストの予備発酵を十分に行う。
※生地に艶が出るくらいに十分にミキシングする。

シェフのおやつパン
菓子パンの生地を小さくカットして焼き上げた商品。最初は菓子パン生地が余った時だけ作っていたが、売れ行きが好調だったため、毎日作るようになった。

【もろみ配合%】
カメリヤ(強力粉)……………………5
酒粕…………………………………5
湧水…………………………………8
生イースト…………………………0・1
【工程】
(1)ボウルに全材料を入れ、ホイッパーで混ぜ合わせる(2)ボウルにラップをして、室温で約2時間発酵させる(3)[2]を冷蔵庫に一晩置く。
【中種配合%】
カメリヤ(強力粉)…………………35
全卵…………………………………20
生イースト……………………………2
もろみ……………………………全量
【工程】
ミキシングL3分、捏ね上げ温度26度C、発酵室温で2時間
【本捏配合%】
カメリヤ(強力粉)…………………50
バイオレット(薄力粉)………………10
三温糖………………………………20
シママース(塩)……………………1・5
生イースト……………………………1
バター…………………………………5
ショートニング………………………10
牛乳…………………………………18
中種………………………………全量
【工程】L3分M3分(バター、ショートニング投入)L5分M3分、捏ね上げ温度27度C、フロアタイム40分、分割40グラム、ベンチタイム30分、成形→長方形にのばして3等分し、天板に並べる。ホイロ32度C70%40分(ホイロ後塗り卵を施し、ポピーシードをトッピングする)、焼成上火200度C下火180度C10分

原価計算女王
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