パンの身だしなみのための成形の技。短時間の品切れが客との交流を深める - トーホーベーカリー - ブランスリー電子版

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お店拝見/2006年3月号

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パンの身だしなみのための成形の技。短時間の品切れが客との交流を深める - トーホーベーカリー

大きなパン職人のイラストが描かれた建物がトーホーベーカリーだ。
「お客様が店に入ってこられた時に、すべてのパンが目に入るようにしたかったんです」

トーホーベーカリー
住所 東京都三鷹市下連雀1-9-19
電話 0422-43-6311
営業時間 午前7時〜午後7時30分
定休日 日曜、祭日



大きなパン職人のイラストが目印

人気の「ラウンドサンド」。右が「ローストチキン」(231円)、左が「照焼きチキン」(同)


人気ナンバー1の自家製カレーを包んだ「カレーパン」(126円)


顧客の目の前で行われるパンの窯出し作業は、顧客の購買意欲を刺激する。
 JR吉祥寺駅からバスで約10分、吉祥寺通りに面した、大きなパン職人のイラストが描かれた建物が目に飛び込んでくる。一目でベーカリーとわかる。店の前にはオープンカフェ風のスペースと車4台分の駐車スペース。
 入店すると、すぐ左手に、大きな平台があって、同ベーカリーの売れ筋トップ5に入る「コロッケコッペ」やラウンド食パンを使った「ラウンドサンド」などの調理パン類が所狭しと並んでいた。お昼時には長蛇の列ができるという。通路を挟むようにして平台のまわりに配された陳列棚にも様々なパンが並んでいた。
 「コロッケコッペ」(105円)は、サクサク感のあるコロッケと千切りにしてよく水切りしたキャベツをサンドし、自家製のソースをかけた商品。コロッケのサクサク感を出すために長めに揚げているという。売れ具合を見ながら、1日何回もコロッケを揚げて、用意しておいたコッペパンにサンドする。揚げたてのコロッケのサクサク感が売り物だ。
 「ラウンドサンド」は、円柱形の型で焼くラウンド食パンを使ったサンドイッチ。ラウンド食パンを厚めにスライスして、ガーリックマーガリンをのせて、オーブンで加熱し、横に切れ目を入れて、具材を挟む。「照焼きチキン」(231円)と「ローストチキン」(同)の2種類がある。パンに染み込んだガーリックマーガリンが独特の香りと食感を出していて、具材との相性もいい。
 「トリュフ」(105円)は1月下旬から3月末までの期間限定販売で、バレンタインを意識した商品。ドーナツ生地を使用。生チョコを包んで揚げ、溶かしたチョコレートにドブづけして、ココアパウダーをまぶす。作り方が比較的簡単な割に、見た目の高級感がある商品だ。



自家製のフィリングで独自性を打ち出す

ドーナツ生地で生チョコを包んだ人気商品「トリュフ」(105円)。


コロッケのサクサク感とキャベツのシャキシャキ感が特徴の「コロッケコッペ」(105円)。


子供に人気が高い「チビウィンナー」(73円)。


「木と石の温かさを表現した」という店内には、様々なパンが所狭しと並んでいた。レジの左がコッペパンの付け売りコーナー。そのさらに左には、窯出ししたパンの仕上げなどをする作業台がある。
 「カレーパン」(126円)はトーホーベーカリーの人気ナンバー1の看板商品だ。自家製のカレーは、大きめに切った牛肉を使用し、牛筋をミンチにして入れているという。カレーを包みパン粉もつけた状態で冷蔵しておいた生地を、45分程度のホイロをとって揚げる。1回十数個を1日15回程度揚げる。多い日は25回も揚げることもあるそうだ。
 「チビウィンナー」(73円)は、ウインナーにバターロール生地を巻いて焼き上げたプチサイズのパンで、子供に人気の高い商品。ついで買いが多いのも特徴だという。
 こうしたパンの製造を仕切るのは、同ベーカリーの松井成和店長だ。
 「パンの製造で気をつけていることは何ですか」の質問に「やはり見た目というか、パンの身だしなみというか、第一印象が大切だと思いますので、成形作業にはシビアになります。スタッフにもうるさく指導していますね。成形の段階でパンの最終的な顔がほぼ決まるわけですから。包あんの仕方や生地のしめ方、のばし方など、製品によってポイントが異なりますので、ひとつひとつきちんと着実にこなしていかなくてはなりません」。
 さらに「全体的に生地の吸水はできる限り多くするようにして、しっとり感を出すようにしています」。
 同ベーカリーは、カレーフィリングやカスタードクリーム、調理パン用のソースなどを自家製にすることで、独自性を出しているが、使用する原材料も厳選している。
 マーガリンは、問屋に頼んで様々な種類を持ってきてもらい、10銘柄以上の候補の中から選んだものだ。
 「チビウィンナー」に使用しているウインナーソーセージも、数十種類の中から選んだもの。
 「コロッケコッペ」に使用するコロッケも、多くの候補を試食した結果、ようやく決まったもので、揚げ時間を長めにして、サクサク感を出すようにしている。
 松井店長は、すべての商品について、味や食感のポイントを吟味し、それを実現するためのあらゆる努力を惜しまない。
 商品の鮮度にもこだわっている。カレーパン以外にも、「クリームパン」(レシピを11ページに掲載)、「コロッケコッペ」「チビウィンナー」など、1日100個以上売れる商品が多く、そうした商品は必然的に焼き上げ回数が多くなるので、焼きたてが、店頭に並ぶことが多い。
 「うちはフライヤーがひとつなので、特にお昼時の忙しいときなどは、カレーパンとコロッケコッペのコロッケがぶつかることがあって、短い時間ですが、カレーパンやコロッケコッペを切らしてしまうことがあります。そんなときに例えば『カレーパンがほしい』というお客様がいると、『あと3分で揚がります』などとお答えします。5分以内だったらたいていは待って頂けます。逆にそうしたお客様とのやり取りがコミュニケーションを深めることにもなるし、スタッフに活気を与えているようにも思います」(松井店長)



リニューアルして売上が3倍になった。

カットピザの人気も高い。「タンドリーチキンカレーピザ」(189円、右)と「トマトピザ」(同、左)


店舗の前には、木の切り株のようなテーブルと椅子が置かれたオープンカフェ風のスペースがある。


平台には調理パン類が所狭しと並ぶ。


窯から出たパンは、コッペパンのコーナーをはさんでレジに向かって左手にある作業台にます運ばれる。
 トーホーベーカリーは、2004年1月にリニューアルオープンした。リニューアル以前の店舗は、現在の店舗の隣にあった。
 「ずっと駐車場を確保したいと思っていて、隣で駐車場を確保できる状況になったんです」と松井店長はいう。
 リニューアルに当たっては、ベーカリー専門の店舗設計施工会社のダイユーに相談した。
 松井店長は、「木と石の温もりを表現したかった」という。「今はおいしいパンを作って当たり前です。それをいかに表現し、お客様にわかっていただくかが重要だと思うんです。そのためには、ディスプレイが大切になってきます」
 店内は、陳列棚、平台、レジ台、窓枠など見えるところはほぼすべて木製で統一し、要所に石を積み上げた柱を配した。
 「手をかけて作った商品のよさが、木と石という自然素材で作った空間でより生かされると考えたんです」
 パンの陳列台は低めにし、陳列棚は、なるべく段数を少なくした。リニューアルして売上が3倍になった。
 「お客様が店に入ってこられた時にすべてのパンが目に入るようにしたかったんです。その方がわかりやすいし、パンの表現力が高まると思いました」(松井店長)
 トーホーベーカリーは、1951年創業の老舗だ。松井店長は3代目で、およそ14年前に1回目の店舗リニューアルを行ったときに、2代目で松井店長の父の松井秀雄さんを継ぐべく、修業先から戻ってきた。
 修業時代の松井店長は、パンを作ることだけに熱心で、顧客にいかにして伝えていくかということなどについては、あまり関心がなかったという。
 出入りの問屋の担当者などから、様々な情報を得ていく中で、「客の立場でものごとを考えること」「おいしく作ったパンをおいしく見せること」などの大切さを知ったという。
 店内には、顧客の立場に立った様々な仕掛けが随所に見られる。
 売り場から見える場所に設置された大きなオーブンから出てきた焼きたてのパンは、天板ごとレジの横の作業台に置かれ、天板から陳列容器に入れられて「○○パン焼きたてです」という元気な声と共に、売り場の陳列台や、陳列棚に運ばれていく。
 そして、パンをこまめに焼き上げているので、パンを売り場へ運ぶ頻度が高い。
 昔懐かしい「コッペパンの付け売り」のコーナーもあって、客の注文を聞いて、ジャムやピーナツバターなどをはさんで販売している。
 子供連れの主婦などが安心してパンを選べるように、子供が遊べる小さなスペース、キッズコーナーもある。
 松井店長は「任せることができるスタッフが育てば、2号店の出店も考えたいですね」と将来の抱負を語った。
 トーホーベーカリーは、売り場約13坪、製造スペースがおよそ17坪。
 製造スタッフは、松井店長と松井店長の父の松井秀雄さんを入れて社員が5人、社員候補のアルバイトが2人。
 販売スタッフは、マネージャーが1人、パートが常時3〜4人。
 客単価は約750円。1日の来店客数は、平日が約550人、土曜日が約650人だという。

クリームパン
自家製のクリームパンを包んだ看板商品。105円。
【配合%】
強力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
上白糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1・5
生イースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
全卵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
上質マーガリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
【工程】
ミキシング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・L4分M2分(上質マーガリン投入)L4分M4〜6分
捏ね上げ温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26度C
フロアタイム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45分
分割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40グラム
ベンチタイム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30分
成形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・生地を楕円形にのばして、▼カスタードクリーム50グラムを包み、綴じ目にはさみでカットを3つ入れる(クリームパンの成形)
ホイロ38度C90%1時間(ホイロ後塗り卵を施す)
焼成・・・・・・・・・上火250度C下火220度C5分
▼カスタードクリーム
【材料】
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4リットル
グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・720グラム
薄力粉(バイオレット)・・・・・・・・・・・・・・・・320グラム
加糖卵黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1キログラム
バニラビーンズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1本
バニラオイル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キャップ1杯
【作り方】
(1)グラニュー糖と加糖卵黄を混ぜ合わせる(2)[1]に篩いにかけた薄力粉を加えて混ぜ合わせる(3)牛乳を鍋に入れ、バニラビーンズとバニラオイルを加えて、かき混ぜながら42度Cぐらいまで加熱する(4)[3]を[2]に2回に分けて注ぎ入れ、混ぜ合わせる(5)[4]を銅鍋にとって、かきまわしながら、とろみが出て、小さな泡がぷつぷつと出てくるまで加熱する

プチりんご
クリームパンと同じ生地と、自家製カスタードクリームを使用した商品。ひとつ126円。りんごの形が印象的だ。
【配合】
クリームパンと同じ。
【工程】
フロアタイムまではクリームパンと同じ。
分割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40グラム
ベンチタイム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30分
成形・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カスタードクリームとアップルプレザーブを包み、マフィンカップに入れる
ホイロ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38度C90%1時間(ホイロ後、塗り卵を施し、上面にポッキーを刺す)
焼成・・・・・・・・・・・上火250度C下火220度C6分

原価計算女王
原価計算女王

売り場に面してオーブンが置かれていて、顧客は、パンの窯入れや窯出しの様子を間近に見ることができる。


店内の一角には子供が遊べるキッズコーナーがあって、子供連れの主婦などは、安心して買いものができる。


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