リテールベーカリーの進むべき道 - ブランスリー電子版

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特集/2006年2月号

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リテールベーカリーの進むべき道

ある日商ポイントを境に劇的な好循環が始まる

ダイユー星野良信社長

ダイユーの星野良信社長

 今から17〜18年前にベーカリーで年商1億円といえば、駅ビルや、駅前の人通りのある商業地でしかありえませんでした。
 しかし、 当時、手作りの焼きたてパンの魅力が消費者に浸透しつつありましたし、車を2台持つ家が増えるなどして、自由に車を使える主婦が多くなっていました。ベーカリーの郊外大型店が受け入れられる条件が整いつつあったわけです。
 駐車場を持つ大型店であれば、当然想定する売上規模も大きくなり、このことが売れる好循環を生み出す最大の武器になります。
 まず、豊富な品揃えを実現できることです。お客様の立場から考えると、たくさんの種類の中から選ぶ楽しさがあった方がいいに決まっています。売上規模が大きければ、例えば120品目の品揃えでも、一種類ごとの製造量はそれほど少なくなりません。それは、同じ種類の商品を1日に何回も焼き上げることができるということを意味します。つまり、焼きたてを提供できる確立が高くなるということになります。
 一方、売上規模が小さい小規模店舗の場合は、品揃えを多くしようとすると、1品目当たりの製造量は当然少なくなります。すると、1日1回焼き上げてしまえばそれで終わり、ということになって、お客様の手に焼きたてが渡る確率が低くなります。
 品揃えの多さと鮮度という観点から、好循環になるか、その逆になるかの境目は、日商30万円だと考えています。
 品揃えの豊富さと鮮度訴求が実現できるという商売繁盛のためのベースがあれば、商品戦略や、販売促進のための様々な他の施策が、ものすごい力を発揮するようになります。
 商品戦略については、「地域適合性」ということを重要視します。都心の一等地で売れる商品がそのまま郊外立地の店で売れるとは限りません。そして、「この店でなければ絶対に買えない」というオンリーワンの商品を作ります。販売数量規模でいえば、1日200個とか500個売れる商品です。こうした商品が最低で5個、理想的には10個ほしいですね。独自性のある商品を作るための方策としては、カレーやカスタードクリームなどのフィリング類を自家製にすることなどを提案しています。
 これまでの経験則でいうと、こうした看板商品になるのは、あんぱんやクリームパンなど、日本に長く存在してきた定番商品が多い、ということです。
 お客様を楽しませるための施策も重要です。私どもが提案しているもののひとつに、屋外のオープンカフェ風のスペースとコーヒーの無料サービスがあります。これには大きくいって3つの効果があります。
 まず、コーヒーが無料で飲めるという、お客様にとっての魅力が実現できること。そして、購入したパンを最もおいしい状態で食べていただけるということです。温かいコーヒーと共に味わう温もりのある焼きたてのパンは、お客様にとって感動的です。「パンてこんなにおいしかったんだ」と感激してもらえます。
 さらに、屋外のオープンカフェ風のスペースは、カップルや家族連れ、女性のグループなどに利用していただける憩いの場として機能します。それはさらに多くのお客様を呼び込む力になります。
 子供連れのお客様が安心して買い物ができるようにと考えた「キッズコーナー」も、お客様にも子供にも、そして店にとってもすばらしい効果を発揮します。
 ▼ダイユー ベーカリー専門の店舗プロデュース会社で、これまで数多くの繁盛店を手掛けた実績を持つ。
 
立地を重要視する

レーヴ橋本泰之社長

レーヴの橋本泰之社長

 郊外大型店の出店が相次いでいて好調です。その多くが石窯を導入し、日商100万円以上という店も珍しくありません。かなりの額を投資していて、規模が大きいので、材料の仕入れ価格の面でも競争力があるし、スタッフの雇用という面でも有利です。品揃えも豊富です。
 大手ホールセラーのパンも最近、研究が進んでおいしくなってきています。
 そんな中で、日商5〜7万円の小規模リテールベーカリーが生き残っていくためには、「お客様が喜ぶことは何か」を徹底的に追求していかなくてはなりません。
 立地をもっと重要視した方がいいと思います。場所によってお客様がほしがっている商品がまったく違います。独りよがりにならず、
お客様ときちんと向き合って、ものごとを考えていかなくてはなりません。
 例えば、ハード系が流行だからといって、ただ闇雲にハード系ばかり作っていても、売れるものではありません。形は直焼きパンでも、少しソフトにしてみるとか、少し甘みを加えてみるとか、いろいろと試してみることが大事だと思います。商品を通してお客様に問いかけてみるのです。
 材料について勉強することも大事だと思います。「ハム持ってきて」と業者に頼んで、持ってきたハムをそのまま使っていてはいけません。ハムにもいろいろな種類があります。どんなハムがあって、どんな味がするのかを知り、自分がイメージしている商品にはどのハムが必要なのかをしっかりと考えた上で、決めなくてはなりません。
 お客様が望むのであれば、スパゲッティでも総菜でも作って販売していいと思います。
 それと、労働時間が異常に長いという現状を打破しなくてはならないと思います。オーナーは、多少の長時間労でも耐えられますが、従業員はそうはいきません。
 労働時間があまりにも長いということは、スタッフが育たないということにつながります。オーナーでさえ、時間がたってくると、疲れてしまうことだってあり得ます。
 長時間労働を解決するには、パンの製法について考える必要があると思います。その意味で冷蔵発酵法は、パンの味もよくなるし、長時間労働の解消につながる可能性があるという意味でいいと思います。
 ▼レーヴ ベーカリーのコンサルティングや商品開発の提案などを手掛ける会社。









原価計算女王
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