スタッフ全員がアイデアを出し合う。全商品の販売数量を毎日記録する。 - ベーカリー麦畑 - ブランスリー電子版

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お店拝見/2006年1月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


スタッフ全員がアイデアを出し合う。全商品の販売数量を毎日記録する。 - ベーカリー麦畑

ベーカリー麦畑の外観。店舗用物件を2つ使用している。
「子供が喜ぶような店作りをしたい」という思いが根底にある。

住所 埼玉県三郷市早稲田2-18-16
電話 048-958-3451
営業時間 午前6時30分〜午後8時
定休日 水曜日



それぞれの立場で自由に働く。

バナナのような形に成形した生地に、バナナピューレを加えたビスケット生地をかぶせて焼き上げた「なんちゃってバナナ」


フランスパン生地を山食型に入れて焼成した「フランス食パン」。バゲットなどの直焼きの場合とはまったく違う食感に焼き上がる。


スタッフが勢揃い。後列左から2番目が藤井店長。
 埼玉県三郷市の「ベーカリー麦畑」。JR武蔵野線・三郷駅から歩いて15分ほどの大きな通り沿いにある。マンション1階の店舗用物件を2つ使用していて、横に長い店舗だ。繁盛のためのセオリーを一つ一つ着実に実行する平均点の高い店だ。
 品揃えはおよそ120品目。売り場の陳列棚の随所に、「アイデアパン」の数々が並んでいる。
 「ぶどうぱん」(215円、レシピを21ページに掲載)は、赤ワインを仕込み水に使った生地をぶどうの粒に見立てて球状に成形し、ぶどうの房のように6つ並べてホイロをとり焼成した商品。プリッツでぶどうの枝を表現している。「最初はワンローフなどで焼いていましたが、形を変えたら売れるようになりました」と同ベーカリーの藤井光洋店長はいう。
 「なんちゃってバナナ」(120円)は、メロンパンをアレンジした商品で、バナナのような形に成形した生地に、バナナピューレを加えたビスケット生地をかぶせて焼き上げた商品。形が違うだけで新鮮なイメージを与えてくれる。
 「フランス食パン」(1斤252円)は、フランスパン生地を山食型に入れて焼成した商品。フランスパン生地を食型で焼成すると、クラムが薄く焼き上がり、クラストもバゲットなどとはまったく違って、目が詰まってソフトな食感に焼き上がる。乳製品と卵に対してアレルギー症状が出る人でも食べられる。
 「ごまごぼうエピ」(210円、レシピを21ページに掲載)は、ホシノ天然酵母を使った生地で、ごぼうサラダを包み、ベーコンエピなどと同じ方法で成形する。
 これらの商品は、店長以下スタッフ全員が、様々なアイデアを出し合って、検討し、商品化に結びつけたものだという。「うちは、スタッフ全員がそれぞれの立場で想像力を発揮して自由に仕事をしています。例えば新商品でも、誰か一人の責任者が考えるのではなく、みんなからいろいろなアイデアが出されてくるので、ネタがつきるということがありません」と藤井店長は話す。



繁盛のための基本的なことを積み重ねる。

「焼菓子工房」と名づけた小さな厨房があって、そこで焼き菓子や調理パンなどを作っている。


ハンバーガーは、紙に包んだ状態で陳列し、商品の写真を掲げている。


「黒ごまとクルミのケーキ」(左、157円)と「クルミのココアケーキ」(右、147円)


売場の一角には大きなクリスマスツリーが飾ってあった
 ベーカリー麦畑の店内には、顧客を飽きさせないための様々な工夫が施されている。小さなことを地道に実践し、積み重ねていることが伺える。
 季節ごとのフェアは欠かさない。春の「いちごパンフェア」や「さくらまつり」、夏の「デニッシュフェア」、秋の「ハロウィーンフェア」、12月の「クリスマスフェア」などの毎年行っている企画以外にも、その時々で、アイデアを出し合って様々な催しを実施している。
 取材時、店舗は、クリスマスの飾り付けでいっぱいだった。
 フェアを行うメリットについて、同ベーカリーの大谷浩社長は「当店の場合は地域密着というか、固定客がほとんどなので、フェアを行ったからといって売上が大きく伸びるということはありませんが、常に新しいものを店に出すことで、お客様を飽きさせないという効果
が大きいと思っています」と話す。
 パンの陳列トレーについては、籐製のすのこにパラフィン紙を敷いたものを中心にしながら、ハンバーガーや調理パンなどはプラスチック製のトレーに、メロンパンなどは金属製の網に、カレーパンなどの揚げ物は、金属製の油切りに、それぞれ陳列するなど、商品によって使い分けて、商品がより魅力的に見えるようにし、売り場にアクセントを付けている。
 焼き菓子類も充実している。「黒ごまとクルミのケーキ」(157円)や「クルミのココアケーキ」(147円)、「コーヒーマドレーヌ」(157円)など様々な焼き菓子を製造販売。「焼菓子工房」と名づけた専用の厨房があって、そこで焼き菓子のほか、調理パンなども作っている。
 「焼菓子工房」は、売場に面した二方の壁がガラス張りになっていて、中での作業の様子が見えるようになっている。焼き菓子の品揃えはおよそ15品目だ。
 ハンバーガーの製造販売にも力を入れている。「フィッシュバーガー」(204円)、「カツバーガー」(246円)、「コロッケバーガー」(175円)などおよそ20品目。
 ひとつひとつを紙で包んだ状態でトレーに陳列し、中身が分かるように、商品ごとに袋から出した状態の写真を掲げている。
 「長崎のある有名なハンバーガー店のハンバーガーを見て、これだと思って、導入しました」と大谷社長。
 コッペパンを使用した調理パンも販売しているが、徐々にハンバーガーに売れ筋がシフトしてきているという。



時間と温度の管理、そして少量仕込み

厨房でパンを作る藤井店長(左)と製造スタッフ。
 「生地を自分に合わせるのではなく、自分を生地に合わせなくてはならないといつも自分に言い聞かせています」
 藤井店長はこう話した。
 例えば、分割の方法。発酵での戻り具合を考慮して、同じ商品でも季節によって、またその日の天候などによって、微妙な調節が必要になるという。イーストの量も季節によって調節する。
 「パン作りは、結局時間と温度の管理だと思いますので、フロアタイムは、すべて発酵庫でとるようにしています」と藤井店長。これを実現させるためにも、1回の仕込み量を少なめにして、その分仕込み回数を増やす必要があるのだという。藤井店長は「自分たちに見合った量」と表現した。
 このことは、パンが焼き上がって、売り場に運ぶ回数をできるだけ多くしたいという藤井店長の考えにもつながる。
 小麦粉換算で1キロ〜2キロ仕込が基本だという。生地の種類は20前後。「1日中何かしらの生地を仕込んでいるという感覚です」と藤井店長はいう。



売れない商品は新商品と入れ替える。

厨房から売場の様子が見えるようになっている。


パンの陳列スペースは、クリスマスの飾り付けでいっぱいだった。


ベーカリー麦畑の店内。左手前がレジで、奥がパンの陳列スペース。
 同ベーカリーは、2年ほど前から、全品目について、販売個数のデータをとっている。デニッシュ類やブレッド類などのカテゴリーごとに全品目を表にして、1日の終わりに残った数をアイテムごとにすべてチェックし、その日に生産した数から引いた数を表に書き込んでいくのだ。
 「かなり手間のかかる作業ですが、大きな成果をあげています」と大谷社長はいう。
 売れる商品と売れない商品がはっきりと分かるので、売れない商品は中止して、その分新しい商品を投入していく。また、これにより、材料の仕入れにも無駄がなくなったという。
 「売れるものをさらに多く作って販売し、売れない商品は、新しいものと入れ替えていくことが大事だと考えています」と大谷社長は話す。
 同ベーカリーには「サービス商品」がある。例えば問屋が新しい材料を売り込む際に持ってくるサンプルを使って、新商品を開発し、リーズナブルな価格で「サービス商品」として1週間程度、店頭に並べるのだ。多くの場合サービス商品の価格は、100〜130円だという。販売数量のデータをとって、売れ行きがよければ、レギュラーの商品に加えていく。
 正式に商品化するかどうかの判断はすべて顧客の反応でくだすのだ。
 大谷社長は、1997年、ある玩具メーカーの社員から、ベーカリーオーナーに転身した。ベーカリー経営の根底に「子供が喜ぶような店作りをしたい」という思いがある。フェアを開くと来店した子供たちに、小さなおもちゃをプレゼントしたりと、様々な子供向けのサービスを行っている。
 現在は、動物などの形に作った型に、生地を入れて焼き上げる子供向けのパンの開発に力を入れている。
 ベーカリー麦畑は、店舗面積がおよそ38坪(厨房18坪、売場20坪)。スタッフは製造が2人、サンドイッチ、焼き菓子担当が3人、販売が常時2人。

ぶどうぱん


赤ワインで仕込んだ生地をぶどうの形に成形。ひとつ215円。
【配合%】
強力粉(ヨット)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100
生イースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
脱脂粉乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
卵黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
赤ワイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
ショートニング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
レーズン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
【工程】
ミキシングL4分ML5分MH3分(バター、ショートニング投入)L3分ML5分MH3分、捏ね上げ温度25度C、一次発酵28〜30度C75〜80%1時間30分(パンチ)40分、分割30グラム×6、ベンチタイム30分、成形→丸め直して、天板の上に、ぶどうの房の形に6つ並べ、枝に見たてて、プリッツを差す。ホイロ36度C80〜85%1時間(ホイロ後卵を塗る)、焼成上火210度C下火200度C10分〜
※赤ワインはミキシングの前に沸騰させ、アルコール分をとばしておく。
※レーズンは水洗いし、赤ワイン(配合外)に漬け込んでおく。
※生地の捏ね上がりはかなりやわらかい。

原価計算女王
原価計算女王
テーブルロール
ベーカリー麦畑の人気商品。バターを折り込んだ生地をロールし、輪切りにしてホイロをとって焼成。ひとつ90円。
【配合%】
強力粉(ヨット)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
強力粉(そめいよしの)・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
上白糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1・8
脱脂粉乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
ホシノ丹沢酵母生種・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
卵(全卵)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
マーガリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
【工程】
ミキシングL5分ML2分(マーガリン投入)ML2分MH2分、捏ね上げ温度20度C、一次発酵10時間〜(保温性のあるボックスに入れて)、大分割800グラム、3つ折り3回(2回目の折込のあとで、生地を冷やして休ませる)、折り込み油脂→800グラムの生地に対してバター125グラム、最終生地厚
3ミリ、成形→800グラム分割のシート生地をきつめにロールして、輪切り(16等分)にし、天板に並べる。ホイロ28度C75%1時間30分〜2時間、焼成上火210度C下火180度C12〜13分

ごまごぼうエピ
ごま入りの天然酵母生地でごぼうフィリングを包み、エピの形に成形。1個210円。
【配合%】
強力粉(ヨット)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
強力粉(そめいよしの)・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
中力粉(リスドォル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
上白糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1・5
ホシノ丹沢酵母生種・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
レモン汁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・1
はちみつ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
【工程】
ミキシングL5分ML2分、捏ね上げ温度18〜20度C、一次発酵10時間〜(保温性のあるボックスに入れて)、分割120グラム、ベンチタイム50分〜1時間、成形→(1)ナマコ形に成形して、麺棒で楕円形にのばし、ごぼうフィリングをのせて包み込む(2)両サイドに交互に、斜めのカットを入れる(ベーコンエピなどの成形と同じ)、ホイロ36度C80%1時間(ホイロ後卵を塗る)、焼成上火220度C下火200度C15分


2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

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