天然酵母パンの卸売に特化。1日の小麦粉使用料は、300キロを超える。 - デニッシュハウス / - ブランスリー電子版

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お店拝見/2005年12月号

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天然酵母パンの卸売に特化。1日の小麦粉使用料は、300キロを超える。 - デニッシュハウス

窯担当の野村さんは、焼成のピーク時の午後2時半ごろ、大忙しだった。
「卸価格ですか。量によっても違いますが、7掛けはキープしたいですよね」

住所 神奈川県横浜市瀬谷区南台
2-11-2
電話 045-303-2910
営業時間 午前9時〜午後6時
定休日 日曜日



注文は、前々日の正午までにFAXで入る。

焼き上がったパンは、仕分け室に運ばれてくる。


仕分け室では、パンをスライスしたり、包装したりする。


仕分け室のパン棚は、どんどんパンで満たされていった。下には粗熱をとるために、扇風機が置かれている。


小売用のスペースはおよそ5坪。
 ある日の午後2時過ぎ。工場では、窯入れ待ちのパン生地がぎっしりとラックに並んでいた。デニッシュハウスオーナーで、熟練パン職人の野村忠雄さんが、窯の空きを確認しながら、次々と生地を窯に入れていく。「そこのパンは、もう窯に入れて!そこが空いているよ!」。工場内に野村さんの声が響き渡る。次々と焼き上がってくるパンを、女性のパートスタッフらが、手際よくパンの仕分け室のパン棚に並べていく。見る見るうちにパン棚はパンでいっぱいになる。パン棚の下には、パンの粗熱をとるために、扇風機がまわっている。粗熱がとれたら、次は包装だ。様々な種類のパンが次々と包装され、ばんじゅうに入れられていく。
 デニッシュハウスは、卸販売が全体の9割近くを占めるベーカリーだ。製造するパンの種類はおよそ100品目。卸先は、およそ30社70店舗。1日に使用する小麦粉の量は300キロを超える。パンの注文は出荷日の前々日の正午までに、すべてFAXで入る。それを専用の受注管理ソフトに打ち込み、1日の生産表を打ち出す。
 製造するパンの多くは、天然酵母(ホシノ酵母)を使った製品。仕込みは、前日の夕方に行い、翌日まで長時間発酵させる。
 野村さんが出勤するのは午前3時。同時に出勤する製造スタッフと共に、作業を開始。野村さんは、まず、イーストのパンの仕込みにとりかかる。そして、前日に仕込んでおいた天然酵母パンの生地の分割。とにかく量が多いため、分割は大変な作業だ。一部の小物類を除いて、すべて手分割。 そして成形、ホイロと作業は進んでいく。「酵母パン(天然酵母のパン)の場合、生地がふいてくるタイミングを温度を調節することによって、ずらすことができるので、これだけの量をこなせるんですよ」と野村さんは話した。



「卸価格は7掛けはキープしたい」

パンの仕分け室では、出荷の準備が着々と進められていた。


包装されたパンは、注文主ごとにばんじゅうに入れられる。


卸でも小売でも人気が高い「カフェ・ドゥ・ショコラ」(左、180円)と「十勝ミルクのきのこシチュー」(右、150円)。


人気商品のひとつの「から揚げ君」(140円)。


午後4時ごろ、配達担当のスタッフが車にパンを積み込む。
 仕分け室には、焼き上がったパンを並べる大きな棚が2つ置いてある。粗熱がとれたら、スライスしたりして、包装し、注文主ごとにばんじゅうに入れる。
 午後4時ごろになると、配達担当のスタッフが車で乗りつけ、注文主と商品を確認しながら車に積み込んでいく。商品は、車で配達するほか、宅配便で送るものも多い。宅配便は、午後7時ごろに、運送会社が車で荷物をとりに来てくれるという。梱包する箱の大きさはかなり大きいものもあって、量も半端ではない。
 スタッフは野村さん以外はすべてパートかアルバイトで、製造担当、包装・仕分け担当、調理パン担当など総勢約20人。10年戦士のスタッフも数多い。
 「卸価格ですか。量によっても違いますが、7掛け(小売価格の70%)はキープしたいですよね」(野村さん)。
 デニッシュハウスは、20年近く前から、天然酵母パンの製造を手掛けてきた。当時はまだ天然酵母パンを作るベーカリーが少なく、完全な作り手市場だったという。
 「嬉しいことも辛いこともいろいろありましたね」。
 野村さんはしみじみとこう話した。
 「ある日、朝工場に来てみると、前の日に仕込んでおいた生地が、発酵がうまくいかなかったのか、全滅状態だったことがありました。もう顔面蒼白です。取引先にかたっぱしから電話して、『すみません。今日は納入できません』と平謝りに謝りました。だめになった大量の生地を、オーブンですべて焼いて、ごみ焼却場まで車2台で運びました。今となってはもういい思い出ですけどね」
 デニッシュハウスは、相鉄線・三ツ境駅からバスで約10分の場所にある。広さ約5坪の売場があって、小売も行っている。工場はおよそ25坪。小売の平均日商は約5万円という。卸売の日商は50〜60万円だ。



卸売の利点は、販売ロスがないこと。

デニッシュハウスの外観。卸売中心だが、小売も行っている。


自家製の黒ごまペーストを巻き込んで焼き上げた「黒ゴマモンスターデニッシュ」(130円)も好評だ。


デニッシュハウスオーナーの野村忠雄さん。


冬季限定の人気商品「ウインターデリシャス」(200円)。くどさのない甘さが特徴だ。
 野村さんは、今から23年前、それまで勤めていた食品総合商社を退職し、相鉄線・三ツ境駅前の商店街に「デニッシュハウス」をオープンした。オープン前の1年間は、朝4時から友人が営んでいたベーカリーで、パン作りを教わり、それから会社へ出勤するという日々を過ごした。
 オープン当初は、製造小売の業態で、卸売はやっていなかった。3年後、現在の場所に移転。「当時は面白いほどよく売れましたね」と野村さんは振り返る。
 しかし、移転から3年がたったとき、すぐ近くにコンビニがたて続けに2軒できたのが響いて、売上が激減した。それを機に、野村さんは、すでに少しずづ増えていた自然食品店などへの卸販売に力を入れるようになっていった。
 「当時、神奈川県内に3つの大きな自然食品店があったのですが、そのうちの1店の社長と交友があったんです。それで、うちのパンを扱ってもらったのですが、評判がよかったみたいで、ほかの2店からも声がかかり、卸すようになりました。そのことが大きかったと思います」(野村さん)
 卸先を増やすために営業をしたことは一度もない。「出どころが明らかな安全な材料を使ってていねいにパンを作る店」として評判になり、口コミで、徐々に取引先が増えていった。
 「卸売のいい点は、注文を受けて製造するので、販売ロスがないことです。一方、卸売のハンデは、小売より当然ながら利幅が狭くなることです。また、注文を受けた商品は、何が何でも納期に間に合うように作らなければなりません。待ったなしなので常に追われている感じがします。製造小売ならば、その日の状況によって作る商品を調整できますし、ある意味で作り手の都合で製造できるじゃないですか」(野村さん)
 小規模ながら現在も製造小売を行っている。
 「日銭が入るということに尽きますよ。卸売の場合は、お金が入ってくるのが、早くて1カ月後です。2カ月後という取引先もあります」と野村さんはいう。
 デニッシュハウスの人気商品は、まず、冬季限定の「ウインターデリシャス」(200円)。水を使用せず、ミルクと卵だけで仕込んだ生地に、シュガーバターとココナッツをトッピングして焼き上げた商品だ。自家製の黒ごまペーストを巻き込んで焼き上げた「黒ゴマモンスターデニッシュ」(130円)や、無農薬栽培のクスココーヒーを使ったコーヒーバターとチョコチップを巻き込んで焼き上げた「カフェ・ドゥ・ショコラ」(180円)なども人気だ。

原価計算女王
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