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| 特集/2005年11月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 新商品開発の秘訣、教えてください。 新商品開発に、ベーカリーのオーナーらは、それぞれの方法で熱心に取り組んでいる。大変な労力を必要とする作業だ。この企画では、商品開発に熱心なベーカリーのオーナーを取材し、自信作の開発過程で、どんなことを考え、どんなことを具体的に行ったのかを教えてもらった。
浮かび上がったポイントは、世の中の様々なことを感じ取る豊かな感受性と、感じ取ったことから発想し、それを自分のものとして消化するオリジナリティーだ。 |

| すべてのパンを自分のオリジナルとして、ひとつひとつ検証する。
ベーカリーハンナ 阿部成人氏
「自分だったらこうする」という視点。 この道に入って25年が経ちますが、独立するまでの間にいろいろな店にお世話になりました。それぞれの店のパンの配合でパンを作ってきました。そんな中で「自分だったらこうする。こうすればもっとよくなる」という視点で考え続けてきました。そうしているうちに自分の中に理想のパンのイメージが出来上がっていきました。 自分のパンとしてのメロンパン 例えばメロンパンは、いわゆる「メロンパン」という一般的なイメージがキャッチーなので、普通の配合で普通に作れば、それなりに売れてしまうというところがあります。しかし、「メロンパン」という一般的なイメージを離れて、パン自体の品質を追求していくと、いろいろと考える点が出てきます。上にかけるビスケット生地についていうと、さっくり感を出すために水だけではなく、卵を加えてみるとか、バターだけではなく、マーガリンを少し加えて、狙った味や食感にするとか、いろいろと考えるべきことがあるわけです。 また、中の菓子パン生地についても、ぱさつきを押さえてメロン皮との一体感を出すために、工夫をしなければなりません。当店の場合は配合は一般的な菓子パンと変わらないのですが、仕込みから焼き上がりまで2日間かけています。そうすることでパンの部分がしっとりとして、食べたときにまわりのメロン皮の部分のサクサクした感じとの一体感が出てきます。 「栗山英樹」から発想したパン。 最近、秋のメニューのひとつとして「栗山英樹」という商品を開発しました。もとプロ野球選手で、現在野球解説者と活躍する栗山英樹さんの名前から発想したパンです。人物ではなく「栗山英樹」という字面がとても気に入っていたんです。 「見渡すかぎり、栗の木ばかりの広い森。そのなかにたった一本、群を抜くみごとな大樹。その実のなんと甘いこと。村に話は伝われど、木のありかすら誰も知らない。そんな栗の実で作ったお菓子はさぞかし美味しかろうよ。イメージの中で豊かに膨らむ物語を、両手で、ギュっと、おむすびして、そおっと開けば、手のひらにちっちゃなパンがひとつ」 そんなことを連想して作った商品です。パンのイメージが物語の中から鮮明に浮かび上がれば、あとは自分の技術の引き出しから、必要なものを出してきて、3Dジグソーを一気に組み立てるように、具体的な形にしていきます。具体的には、パン生地にチョコレートクリームを塗り広げて、甘みをつけた栗の刻みを散らし、ロールします。ベーキングカップに入れて焼き上げ、粗熱が取れたら、マロンホイップを絞って、マロンペーストを細く高く絞って仕上げます。(以上阿部氏談) ◇ ベーカリーハンナは、静岡県静岡市駿河区にあるベーカリー。オーナーの阿部成人氏は「古くからの「温(おいしくなる温度)、時(おいしくなる時間)、秤(正確な計量)の教えを守り、プロの感性、経験、技術で作った本格パンをお届けしようと努めています」と話す。 |

| 現代人の疲労やストレスは、想像以上に深刻だと思った。
個性パン創造アルル 林春二氏
薬膳ブレッド「疲労回復パン」 東京・巣鴨の個性パン創造アルルでは、「薬膳ブレッド」として、「疲労回復パン」や「ストレス解消パン」などを製造販売している。新聞やテレビを読んだり見たりしていて、疲れている人、ストレスを感じている人が多いことを実感し、「それじゃ」と思いついた。 まず、最初に取り掛かったのが「疲労回復パン」。漢方などの本を徹底的に調べた。 天門冬(てんもんどう)は、ユリ科の植物の球根を乾燥したもので、滋養強壮効果があることがわかった。 クコの実は、中国の古典薬学書に上薬の一つとして紹介され、滋養効果があって老いを防ぐとされていることがわかった。 また、山芋は、昔から滋養強壮、疲労回復の食べ物として珍重されてきたことがわかった。 これらの他に、にんにく、梅干、蜂蜜、卵、菜種油などをパン生地に練り込むことにした。パンの形は、山型食パン。思ったよりもスムーズに、食感も味も納得できるものに仕上がった。 「疲労回復パン」を発売したのはおよそ10年前。それ以来、同ベーカリーの名物商品のひとつになっている。製造販売は金曜限定。 アボガドで色と食感を改善 一方、「ストレス解消パン」は、ゆりの根、はすの実、ミントなどを同じく生地に練り込んでいる。 漢方の本を調べると、漢方の世界では、ゆり根は精神の安定や、不眠、ヒステリー、イライラに効果あり、はすの実は、脳の働きをよくし、滋養、強壮、精神安定の作用や心臓、腎臓、胃腸を強くする効果があるとされていることがわかった。 しかし、焼き上がった時の色と、食感に問題があった。パンが土色で、食感はざらざらとした感じだったのだ。林さんは、試行錯誤を重ねた結果、アボガドを練り込むと、色、食感とも改善されることがわかった。こちらの方は、毎週土曜日の限定販売。 ユニークなネーミング 林さんは「ネーミングは大事だと思います。昔からどこにでもある定番の商品でも、視点を変えて見れば、全く別のものに見えてきます。当たり前の商品の中に、隠れた別の要素を見つけ出して、それをお客様に伝えていけば、それはお客様にとって全く新しい商品ということになりますから。ネーミングはそれをわかりやすく伝える重要な要素です」と話した。 |


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