材料を吟味し、その特徴をひき出す。地方の強みを発揮する。 - パレット - ブランスリー電子版

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お店拝見/2005年8月号

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材料を吟味し、その特徴をひき出す。地方の強みを発揮する。 - パレット

パンも洋菓子も材料選びが決め手になる。

パレット古川店
住所 宮城県古川市李埣1-13-31
電話 0229-24-8010
営業時間 午前9時〜午後7時
定休日 火曜日



石窯のコーナーを作り、売り場に活気を出す。

奥の石窯のコーナー。客の間近でパンを焼き、すぐに手前の陳列台に並べる。石窯は、ツジ・キカイの「クラシカ」を導入した。


茶色の屋根とクリーム色の壁が印象的なパレット古川店。


石窯で焼いた「バタール」(左、126円)と「パリジャン」(右、252円)
 東北新幹線・古川駅を降りて、10分ほど歩くと、街道沿いにクリーム色を基調とした煙突のある建物が目に入ってくる。茶色の
屋根と壁のクリーム色の対比が鮮やかで、道行く人たちの興味を誘う。今年4月にオープンしたパレット古川店だ。
 入店すると、35坪ほどのゆったりとした店内に、様々なパンと洋菓子が並んでいた。入り口のドアを背にして左側がパンの陳列スペースで、右側が洋菓子の陳列スペース。パンのスペースの奥には、石窯が設置され、「リュスティック」や「田舎パン」などを焼成。焼き上がったパンは、石窯の前に置かれた2段の陳列台にすぐに並べられる。顧客は、まるで石窯でのパンの焼成実演を見ているようで、食欲を刺激される。
 その手前に、パン売り場の中央を陣取る形で設置された2段の陳列台には、「青豆パン」や「原人パン」などユニークなパンが所狭しと並ぶ。
 店長の高橋賢哉さんは「材料を厳選して、その特徴を最大限に活かすようなパン作りを実践しています。例えば、イーストでも、生イースト、ドライイースト、インスタントドライイースト、天然酵母をその用途に応じて使い分けています。特に奥の石窯の部分にはこだわりました。焼いているところをお客様に間近にご覧いただいて、パンの製造現場の臨場感を感じていただこうと考えました」と説明してくれた。
 石窯で焼くパンは、深い味わいと、特有のしっとり感があるのが特徴だ。
 高橋店長に「売れ筋商品は?」と聞くと、「『青豆パン』と『原人パン』ですね」と答えてくれた。
 「青豆パン」(399円)は、カスタードクリームを折り込み、うぐいす豆をたっぷり入れたパンで、お土産用に人気だ。「原人パン」(158円)は、くるみ、レーズン、沖縄産の黒糖などを使ったユニークなパンだ。



危機を乗り越え、年商5億円を目指す。

石窯で焼いた「レーズンとクルミのリュスティック(大)」(左、525円)と「レーズンとクルミのリュスティック」(右、126円)


くるみ、レーズン、沖縄産の黒糖などを使った「原人パン」(158円)


カスタードクリームを折り込み、うぐいす豆をたっぷり入れた「青豆パン」(399円)


高橋寛社長(右)と高橋賢哉・古川店店長(左)
 オーナーの高橋寛さんは、1986年にパレットを創業した。1号店の場所は、古川店がある古川市の隣の栗原市だ。創業までには紆余曲折があった。
 家は代々米を作ってきた農家だった。小さいときから料理を作るのが好きだった。農業関係の短大を卒業後、農業を継ぐかどうか悩む日々が続いた。学生のとき、菓子店やレストランでアルバイトをした経験があった。
 独立までの約8年間、数多くの店で修業を積んだ。仙台の有名ベーカリーで働いていたときはレストラン、パン、洋菓子とどんどん仕事を覚え、会社から重用されるようになった。
 その後、「農業を継いでほしい」という親の希望を聞き入れ、農業に1年半従事したこともあった。
 そして28歳のとき独立。「当初は店のコンセプトどころではありませんでした。とにかくこの仕事で食べていかなくてはならないという思いでいっぱいでした。親の反対もあったし、意地でも成功してやると思っていましたね」と高橋さんは振り返る。
 極度の緊張のせいか、オープン直後に、リバースシーターのローラーで、指を亀裂骨折してしまい、包帯に水がしみないように、片手にビニールをまいての作業が続いた。来る日も来る日もひとりで黙々とパンと菓子を作った。
 1996年、創業の店が手狭になり、移転、新装オープン。そしてついに今年4月、2号店の古川店を出した。1号店の年商はすでに2億円近くになっていた。次の目標は2店舗で年商5億円だ。
 いろいろあった。そして、もう駄目かも知れない、と思ったことが一度だけあった。ある結婚式場に納めたケーキに使ったバタークリームが原因で、食中毒を起こしてしまったのだ。 使用した冷凍卵白が、未殺菌のものであることを見逃したのが原因だった。120人が症状を訴え、入院した人も少なくなかった。 新聞やテレビで大きく報道された。死者が出なかったのが、不幸中の幸いだった。
 1軒1軒ひたすら謝ってまわった。保健所の人が付き添ってくれたこともあった。ただただ謝ることしかできなかった。怒られたり、罵倒されたりした。
 2度と同じことがおきないように、すべてを見直し、改善した。症状が出たすべての人の入院費、治療代を負担し、慰謝料も支払った。銀行が協力してくれた。
 久しぶりに店を開けたとき、多くの客が来店してくれた。中には励ましてくれる人もいた。涙が溢れてきた。
 1カ月以上入院した人がいた。その人から、高橋さんの元に手紙が届いた。「頑張って」と書いてあった。また、涙が溢れた。
 客の信頼を取り戻し、売上が完全に元の状態に戻るのに3年がかかった。



健全な経営が職場の豊かな環境を実現する。

創業以来のロングセラーの「げんこつパン」(1個53円、5個入り263円)


売り場は天井が高く開放感があり、ゆったりとした気分で買い物ができる。


「石窯ロング」(右、294円)と「黒糖ミニクロワッサン」(左、53円)


自家製のトマトソースを使用した「自家製トマトピザ」(368円)


洋菓子製造販売も手掛けるだけあって、焼き菓子類は充実している。


洋生菓子を陳列する冷蔵ショーケースは、入店して右手にある。
 パレット古川店には様々な商品が所狭しと並んでいた。
 「げんこつパン」(1個53円、5個入り263円)は、創業時代からのロングセラーで、「パン自体の味を味わいたい人にお薦めのパンだ。バターロール生地を使用している。
 「石窯ロング」(294円)は、長いソーセージをチャバッタ生地で包んで焼き上げた商品。石窯で直焼きする。 「黒糖ミニクロワッサン」(53円)は、沖縄産の黒砂糖を使ったミニクロワッサンだ。
 自家製のトマトソースを使用した「自家製トマトピザ」(368円)も人気だ。アメリカンタイプのパンピザで、レンジで再加熱して食べることを提案している。
 洋菓子は、本店(1号店)で作っている。紫陽花(あじさい)をイメージしたブルーベリーとチーズケーキのタルトケーキの「紫陽花〜あじさい〜」(315円)や、「クレームブリュレ」(294円)、「苺いっぱいのタルト」(399円)などが人気だという。
 焼き菓子類も豊富で、「エンガディナー」(105円)、「クロカント」(105円)、「ブルトンヌ」(147円)などが所狭しと並んでいた。
 高橋社長は、「健全な経営が職場の豊かな環境を実現します。技術を磨いて、よい商品を作ることが、お客様の生活を豊かにします」と、経営者としての方針について語る。
 「パンと洋菓子の両方を製造販売するメリットも大きいと思っています。それだけ使う材料が多くなるので、材料への理解が深まるし、材料へのこだわりも出てきます。また、地方のメリットもあります。つまり、土地代が安いので、いい材料を使った安い商品が実現できるのです。お客様に『美味しかったよ』と誉めていただく喜びを胸に、毎日社員と共に頑張っています。『今日より明日』を目指し、菓子作り、パン作りに励んでいきたいですね」。

しっとりレーズンブレッド
卵不使用のカスタード風味のレーズンパン。
【配合%】
強力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1・8
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
BBJ(改良剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・2
クリミビット(カスタードクリーム用ミックス)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
カルメン(パネトーネ用サワー種)・・・・・・・・・・・6
マーガリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
生イースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
レーズン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
【工程】
ミキシングL4分M6分(バター投入)L3分M5分、捏ね上げ温度27度C、フロアタイム1時間、分割220グラム×2、ベンチタイム25分、成形→手丸め、ホイロ32度C80%50分、焼成220度C23分(スチーム注入)
※焼成後、バターを塗る。

リュ・スティック
石窯で焼成。薄くパリッとした皮と、モチモチした中身が特徴。日持ちがする。
【配合%】
フランスパン用粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100
チャバタ(リュスティック用ミックス)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
生イースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
オラコロ(サワー種)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
【工程】
ミキシングL2分M10分、捏ね上げ温度26度C、フロアタイム40分、分割300グラム、成形→分割したままの状態、ホイロ30度C80%50分(布どり)、焼成230度C25分(スチーム注入)
※生地はよく捏ねるようにする。

原価計算女王
原価計算女王



食パンも充実。左から「胡麻食パン」(1斤263円)、「パンドミー(6枚切り)」(1斤263円)など。

「チーズフォカッチャ」(126円)は石窯で焼成。フォカッチャ生地を円盤状にして、ピザソース、オニオン、チーズをトッピングして焼成。


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