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| 雑感/2005年7月号 |
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| いろいろなパン屋さんを見てきて、いろいろと感じたこと、考えたことを、思うがままに書きます。ブランスリー報道社記者・小平。
輝きがエネルギー源になって、さらに輝く
いくばくかのエネルギー 輝き出すまでの間、いろいろなことを維持し、持ちこたえていくためのいくばくかのエネルギーを持ち合わせているかどうかカギになると思います。いくばくかのエネルギーといってもそれは、人によって、種類が違います。それは例えば、地獄の修業をこなし切ったという自負だったり、誰がなんと言おうとわが道を突き進む頑固さだったり、ただ単に楽天的な性格だったり・・・。 ここでポイントはただひとつ。自分のエネルギーの源は何かを自分ではっきりと認識していることです。ひいき目なしの己を、他人が見るように客観的に認識できているかにかかっていると思います。その上で何ができるかなのですから。 そして、一度輝き出してしまえば、後はその輝きがエネルギーの源になって、ものごとは、すさまじい勢いで進んでいきます。 私はそういう人を何人か知っています。 自然な様子はかっこいい。 いろいろとパン屋さんを取材してきて、思い当たった成功パターンがありました。それは、パンがかっこいいこと、そしてオーナーがパンを作っている姿がかっこいいことです。あるパン屋さんのオーナーは某大手リテールベーカリー出身。割りとがっしりした体つきで、ぎょろっとした目つき。 「納得できるパンを作りたいと思ってただ作っているだけ」といっていましたが、パンへの思いの深さは、誰が見ても並大抵ではないことが分かります。自然体でありのままの彼が、パンを作ることを欲し、パンを作って充実感を得る、とういう感じです。多分彼は結果を期待していません。雑念がかなり少ないと思われます。 そして、結果を期待しない自然な様子はかっこいいし、スタッフを惹きつけ、顧客の心をとらえているように思えました。彼の店が輝き出すまでにそんなに時間はかかりませんでした。 ピンとくる感性を持ち合わせているか また、別のあるパン屋さんのオーナーは、いろいろなフェアを打ち出し、顧客にアピールすることを思い立ちました。父親の代からのパン屋さんで、彼が2代目です。彼は、「うまいパンを作れば必ず売れる」と信じ、頑張ってきました。しかし、「ジリ貧だな」と感じていました。 「待っているだけでは駄目だ」ということで、彼は外販に力を入れ始めました。それなりの効果は出ましたが、起死回生とまではいきませんでした。 あるとき、たまたま知り合ったコンサルタントに、店の客観的な状態をずばりと指摘されました。彼はそこでピンときました。やるべきことがはっきりと見えたのです。フェアの開催と告知チラシのポスティングを徹底的にやりました。彼は、商圏内に彼の店の存在を知らない人たちが多かったのに驚いたそうです。既存のよい商品には、新しい固定客が付き、よくない商品は、どんどん新しい商品と入れかわっていきました。久しぶりに彼の店を訪ねたとき、全く雰囲気が違っていることに驚かされました。ピンとくることはそう頻繁にはありません。コンサルタントの指摘にピンときた彼の感性が、輝き出すまでのいくばくかのエネルギーになりました。 すべては模倣から始まる。 話は変わりますが、模倣することは大事だと思います。私は、実は美大卒です。日本を代表する画家になることを夢見ていたことがありました。模写もやりました。 絵は、写真で見てもその本質が分かりません。実際に実物を目の前にすると、その絵の存在の本質をからだで感じ取ることができます。 パン職人の場合は、パンを写真で見ただけではもちろん分からないと思うし、実物を見ただけでも不十分なのだろうと思います。実際に手にとって、口に入れたとき、パンはすべてを包み隠さずにさらけ出してくれるのだろうと思います。 絵が発する「本音」を自分で感じとったら、それと同じように描いてみるとさらにその絵のことが深く分かってきます。 多分パンも、その「本音」をからだで感じ取ったら、それを自分で作ってみると、そのエッセンスがさらに深く理解できるのだと想像します。 こうした作業は、想像力と創造力をくすぐるし、それ自体がビジネスを離れたところで、面白いと私は思います。 エッセンスを深く知った人たちにとって、そのエッセンスから新たな創造物を作り出すことは、そんなに難しいことではありません(私の画家になる夢は挫折してしまったので、多分絵のエッセンスを感じ切れなかったのだと思います)。この喜びを知ってしまった人にとって、「輝く、輝かない」(世間的な成功という意味で)などということはもはや問題にはなりません。客観的にいえば、ほぼ例外なくいつかは輝き出すでしょう。 冷めてもおいしいパン 再び話はかなり飛びますが、パンは買った人が食べたときにおいしいと思うかどうかで価値が決まると思います。そこで注意しなければならないのは、買った人は、すぐにそのパンを食べるかどうかわからないということです。ある繁盛ベーカリーを取材したときに持ち帰った焼き込み調理パンを次の日、かなり冷たい状態で食べたときに「うまい」と感じたことを鮮明に覚えています。後で電話で聞いたのですが、そこのオーナーは、自分のパンを、焼き上がった時、1日経った時、2日経った時にそれぞれ必ず試食しているとのことでした。 |



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