「温故知新」を胸に秘め、真摯に、パン作りに取り組む。 - アンジェリック べべ - ブランスリー電子版

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お店拝見/2005年7月号

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「温故知新」を胸に秘め、真摯に、パン作りに取り組む。 - アンジェリック べべ

赤と緑の対比が鮮烈な印象を与えるアンジェリック ベベの店構え。
フランスやドイツなどと同じように、日本にもパンの伝統がある。

住所 東京都北区豊島6-8-8
電話 03-3927-0150
営業時間 午前10時〜午後7時
定休日 日曜、祝日



オーナーの並々ならぬこだわりがあった。

あんとパンの食感を一体化させた「あんぱん(こし)」(右、130円)と「あんぱん(小倉)」(左、130円)


約30時間じっくりと発酵させて焼き上げる「フランスパン」。戸島さんの自信作のひとつだ。


3坪ほどの店内には「丸い感じ」と「とがった感じ」が同居していた
 東京・北区の住宅街に小さなベーカリーがある。その名をアンジェリック べべ。オーナーの戸島康雄さんのパン作りのコンセプトは「温故知新」。あんぱんはあんとパンの食感を限りなく一体化させ、フランスパンは、約30時間じっくりと発酵させて焼き上げ、香り、食感、味とも極上。その背後には戸島さんの並々ならぬこだわりがあった。
 「あんぱんについていえば、中のあんがころっと落ちてくるようなものは嫌いですね」。戸島さんはこう切り出した。中種法で生地を作ることにより、生地中のグルテン組織が密で強固になり、保水性が増し、気泡が細かくなり、あんを包んで焼いたときに、あんに密着し、食べたときにあんとパンの一体感が生まれるのだという。
 フランスパンは、インスタントイーストの配合量を0・08%に抑え、1次発酵をまず8〜10時間とる。その後さらに冷蔵庫で18時間低温発酵させる。「長時間じっくりと生地を熟成させることで、香り、食感、日持ちが全然違ってくるんです」と戸島さんは話す。フランスパン生地を使った商品は、バゲットなどのほかにも、エピに似た「ソレイユ」(190円)や、モッツァレラチーズを使用した「フォルマッジョ」(210円)、サイコロ状のチーズをたっぷり入れた「チーズバタール」(190円)などがあり、バラエティー豊かだ。
 メロンパンの生地は、グルテンの発達を抑えて、歯切れの良さを出すために、油脂などもミキシングの最初から投入する。また、キル酒漬けパインを練り込み、心地よい意外性とアクセントをつけている。



真摯なパン作りの結果、伝統が生まれる。

オーナーの戸島康雄さん


店内右奥の棚には、様々なハード系のパンが並んでいた。


メインの陳列棚は2段。フレンチテイストあふれるトレーに様々なパンが並んでいる。


ドアは鮮烈な緑、壁は深味のある白、床はテラコッタ風のタイル、レジ台や陳列棚などは、落ち着きのあるブラウン。
 店舗デザインは、赤と緑の鮮烈な対比をベースに組み立てた。床にはテラコッタ風のタイルを貼った。デザインの要素を徐々に組み立てていくうちに、「南仏のリゾート」というキーワードが浮かび上がってきた。3坪ほどの販売スペースは、全体のやさしい雰囲気の中で、パンがきりっと引締って見える空間になっている。
 戸島さんは、スーパーなどのインストアベーカリーでパン職人としての修業を積み、30歳のとき、あるホテルベーカリーに入った。「私がインストアベーカリーでパン職人として働いていた頃は、効率重視の風潮が極端に高まっていた時代です。とにかくボリュームのあるパンを素早く効率的に作ることが求められていました。例えば、食パンでも、220グラムの玉を6つ使うべきところを、ミキシングを多くまわして、180グラム6つで済ませる、なんていうことが当たり前のように行われていました」。戸島さんはこう振り返る。
 それが、ホテルベーカリーに移って、環境が一変した。必要以上に売上を追求されなくなり、「真面目にパンを作る」ことが可能になった。「必要以上に改良剤などの添加物を使わないし、とにかくいいものを作ろうという雰囲気がありました。パン食文化を守り、発展させていこうという気概があったように思います」。戸島さんが今作っている多くのパンは、この時期に製法を習得したものだという。
 4年前に独立。「組織の中で上りつめることを考えていたこともありました。しかし、中々順番がまわってこないし、そもそも自分は組織の中でやっていくことには向いていないのではないか、と思うようになったんです」。
 「温故知新」が戸島さんのパン作りのキーワードだ。先人が築いたパンの伝統的な製法を完璧にマスターした上で、そのままの製法で伝統的なパンを再現したり、伝統の上に新たな要素を加えて、新しいパンを作ったりと、想像力にあふれるパン作りを実践している。
 戸島さんがいうパンの伝統とは、フランスやドイツなどヨーロッパの国々のものだけではない。
 「あんぱんなど、日本にも立派なパンの伝統があります。伝統とは、真摯にパンと向き合って真面目に作るという作業の積み重ねの結果生まれるものだと思うんです。その意味で、例えばフランスのパンの伝統も、日本のパンの伝統も、私にとって同じくらい大切なものなのです」



メロンパン
【配合%】
強力粉(ゴールデンヨット)・・・・・・・・・・・・・・・・80
薄力粉(バイオレット)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1・8
生イースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3・5
バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
全卵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
キル酒漬けパイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
【工程】ミキシング(オールイン)L25〜30分、捏ね上げ温度23度C以下、フロアタイム30分、分割28グラム(この時点で、冷凍保存し、使用する際に冷凍庫から冷蔵庫に移し、約18時間解凍・発酵させる)、成形→丸め直して、円形にのばした▼ビスケット生地(28グラム)をかぶせる、ホイロ室温2時間30分〜3時間、焼成下火210度C13分(上火は生地投入前に210度に設定しておいて、投入直前に切る)
※さくっとした食感を出すために、ミキシングはオールインで行う。
▼ビスケット生地
【配合グラム】
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1000
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
全卵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500
バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・500
【工程】(1)砂糖、塩、バターをポマード状に混ぜ合わせ、全卵を少しずつ混ぜ入れる(2)[1]に薄力粉を合わせる



あんぱん
【中種(水種=ルバン・ド・パート・ポーリッシュ)配合%】
フランスパン用粉(リスドォル)・・・・・・・・・・・・20
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
モルト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・2
老麺(フランスパン生地)・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
【中種工程】
(1)全材料をボウルに入れ、手で混ぜ合わせる(2)[1]を18時間発酵させる
【本捏配合%】
強力粉(ゴールデンヨット)・・・・・・・・・・・・・・・・40
強力粉(カメリヤ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
砂糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
生イースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3・5
全卵・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
無塩バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
【本捏工程】
ミキシングL3分ML12分(無塩バター投入)L6分、捏ね上げ温度20〜23度C(24度C以上にならないようにする)、フロアタイム30分、分割23グラム(この時点で、冷凍保存し、使用する際に冷凍庫から冷蔵庫に移し、約18時間解凍・発酵させる)、成形→こしあんまたは粒あんを包む、ホイロ25度C75%1時間〜1時間20分、焼成上火210度C下火180度C8分

フランスパン
1次発酵を30時間近くとって、じっくりと熟成させる。香り、食感とも申し分なし。日持ちがいいのも特徴。
【配合%】
フランスパン用粉(リスドォル)・・・・・・・・・・・・50
フランスパン用粉(レジャンデール)・・・・・・・・50
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
モルト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・5
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
インスタントイースト・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・08
【工程】
ミキシングL4分、捏ね上げ温度18〜20度C、フロアタイム30分(パンチ)8〜10時間(この後さらに冷蔵庫で18時間ねかせる)、分割240グラム、ベンチタイム1時間〜3時間、成形→バゲット形、ホイロ(乾ホイロ)1時間10分〜1時間20分、焼成上火230度C下火250度C30分(スチーム注入)
※分割してから成形するまでの時間は1時間から3時間ぐらいの間で調整できる。

原価計算女王
原価計算女王



アンジェリック ベベでは、「ブラウニー」(580円)や「バナナパウンド」(1本1050円、ハーフ550円)などの焼き菓子にも力を入れている。

サイコロ状のチーズをたっぷりと入れた「チーズバタール」(左、190円)とモッツァレラチーズを使った「フォルマッジョ」(右、210円)

「スコーン」(85円)と「レーズンスコーン」(105円)は背の高いしゃれた棚に置かれていた。

エピを太陽の形にした「ソレイユ」(右、190円)とソーセージを2本巻き込んだ「フランスパン ソーセージ」(左、160円)

ヘーゼルナッツ、レーズン、クランベリーをたっぷりと練り込んだ「木の実とフルーツのカンパーニュ」(ホール630円、ハーフ315円)

ガーリックバターをたっぷりと使った「ガーリックフレンチ」(160円)



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