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| 特集/2005年6月号 |
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| ベーカリーの夏
「ベーカリーの夏」のテーマで、ベーカリーを取材した。売上が減少する夏に何をするかは、そのベーカリーのコンセプトに深くかかわっている場合が多い。
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| 焼きたてを頻繁に出して鮮度をアピールしたい。 - パン・ド・ププ(神奈川県川崎市)
サンドイッチが売れ出した。
「先週はかなり涼しくて、今週になって暑くなり、お客様の来店パターンと売れ筋に変化が見られます」 こう話すのは神奈川県川崎市中原区のパン・ド・ププの店長、内田高広さんだ。 まず、暑くなってからは、カレーパンなどの揚げものの動きが悪くなった。また、デニッシュ類の販売量も減った。逆にサンドイッチの販売量が増えた。 パン・ド・ププではサンドイッチを約20種類製造販売しているが、中でも円柱状に焼いたラウンド食パンを使ったラウンドサンドの人気が高いという。 「冷蔵しているし、やはり涼しいイメージがあるのでしょうか」(内田さん) 暑くなってからは午後1時ぐらいから3時ぐらいまでの来店者が減り、午後4時以降の来店客が増えたという。 夏は新商品を増やしたい。 同店は、昨年10月のオープンで、今年の夏が初めての夏だ。 内田さんは「暑い中、来店してくださるわけですから、いつもと同じパンしかなかったら、申し訳ありません。だから、いつ来ても目新しい商品があるように、新商品を、寒い時期よりも多く出したいと考えています。夏限定の商品も作っていきたいと思っています」と話した。 さらに「暇になる夏だからこそ、多少の余裕をもって、商品をまめに作っていきたいと思います。1回に焼成する量を減らして、頻繁に焼きたてを店に出して、新鮮さをアピールしていきたいですね」。 同ベーカリーには、様々な具材をトッピングしたピザなど、生地を冷蔵保存しておいて、すぐに焼いて出せる商品があって、夏には、そうした商品をさらにアピールしていきたいという。 |

| 焼き菓子などパン以外の商品も品揃えに加えたい。 - プーフレカンテ(愛知県名古屋市) 来店客数は夏も変わらない。
名古屋市瑞穂区のプーフレカンテは、地域の人たちから支持され、その支持の輪が着実に広がっているベーカリーだ。「毎日の日常の食べものとしてのパンを提供するベーカリー」を目指してきた。 「夏になっても売上はほとんど落ちません」とオーナーの狩野義浩さんは話す。というのも、売上が毎年5割も伸び続けていて、比較のしようがないのだ。「多分、夏の暑さによる影響は、1割もないと思っています」(狩野さん)。1日の来店客数は夏になったからといって、ほとんど変わらないという。ただ、客単価は多少落ちるそうだ。 冷蔵で販売する商品は夏伸びる。 「春に新入社員を入れるのですが、今年は3人入りました。夏までには新入社員がだいぶ慣れてくることもあって、最も忙しい時期と比べると、多少の余裕は出てきますので、その分新しいことができます。今年は、焼き菓子を品揃えに加えられたらと思っています」(狩野さん) 同店は、地域の顧客の需要を満たすだけのパンを作るので精一杯で、「パンしか作っていない」(狩野さん)。売上も伸びる一方で、5年前のオープン初年度に比べて、3倍以上になった。焼き菓子などのパン以外の商品も品揃えに加えたいと常々考えているのだ。 夏に売上が落ちる度合いは少ないが、寒いときと暑いときとでは、売れ筋商品が変わってくる。 「サンドイッチは、夏場に強い商品です。また、ウチはブリオッシュやデニッシュ、例えばカスタードクリームを使ったデニッシュなんかは、冷蔵ショーケースで販売するのですが、こうした冷やして販売する商品は夏にむしろ売上が伸びるようです」と狩野さんは話した。 |

| 夏は開店時間を30分早めて、6時半から店を開ける。 - ベルアルプ(東京都豊島区)
夏休みやお盆は売上増加の要因
「夏場はある程度売上が落ちるのは覚悟しています」 東京・豊島区の刺抜き地蔵商店街でベーカリー、ベルアルプを営む地引弘道さんはこう話した。 しかし、学校が夏休みになることや、お盆の時期に人の動きが多くなることなど、夏特有の売上を引き上げる要因もあるという。 「特に8月は、子供さんの好まれる、ウインナーを使ったパンなどを切らさないように心掛けています。よもぎの蒸しパンなんかも人気があります」 夏場は、開店時間を30分早めて、6時半から店を開ける。刺抜き地蔵商店街という場所柄、夏は早朝に散歩する人が多く、そうした人たちが立ち寄ってくれて、売上確保に大きく貢献してくれるからだ。 サンドイッチやクッキーが好調。 夏はサンドイッチの動きがよくなるという。 「気温が低くなると、ドック系の調理パンが出て、気温が高くなるとサンドイッチ系の調理パンがよく出ます。この傾向ははっきりとしています。やはり、サンドイッチ系は、口当たりがひんやりとしているからでしょう」(地引さん) 夏場には、サンドイッチにレタスを多く使ったりと、野菜を多く使うそうだ。 「お客様は、栄養を考えます。同じ食べるなら栄養があるものをと考えますから」 クッキー類やマフィン類も夏場に比較的動きがよくなる商品だという。 同ベーカリーでは、玄米の微粉末のリブレフラワーや、様々な黒い穀物などを混ぜた黒五などを使ったクッキーを製造販売しているが、こうした商品は、夏になっても売れ行きが鈍らないという。 夏の食パンは、品質保持に配慮。 地引さんが、夏場に最も気を遣うのは食パンだ。 「無添加で、水分が多いし、砂糖も使っていないので、夏場はカビが心配です。ですから、なるべくスライスしないで陳列します。サンドイッチを作る場合も、朝、作る直前にスライスするようにしています」 ベルアルプでは、夏に向けて、貼り紙やチラシを利用して、食パンの保存方法について提案している。 「冷蔵庫にパンを入れると劣化するといわれますが、密閉して入れておけば大丈夫なんです。冷凍保存すればベストですが・・・」 地引さんはこうしたことを地道に顧客に伝えてきて、今では、食パン1本を買っていって、冷凍保存する顧客も増えてきたという。 ベルアルプは、地域の人たちとのコミニュケーションを図りながら、「客が何を求めているか」をつかみ、きめ細かに対応する。玄米や全粒紛、天然酵母など材料を厳選して、丁寧なパン作りをしている。 |

| カスタードクリームをチーズクリームに代える。 - Breadal One(東京都世田谷区)
クロワッサンは、売れ行きが鈍った。
東京・世田谷区のBreadal oneは、昨年4月にオープンしたが、昨年の夏はそれほど売上は落ちなかったという。 品揃えは約30品目で、夏と冬で極端に売れ行きが違うものは少ないというが、クロワッサンだけは、昨年の夏、売れ行きが鈍ったそうだ。 同じパンでも夏になると材料の一部を変えるものがある。 例えば、ブリオッシュに使ったり、デニッシュに絞ったリするカスタードクリームは、夏は使用しない。代わりにチーズクリームを使う。「爽やかで夏向きということと、やはり衛生上の問題からです」とオーナーの山岸充さんは話す。 基本的に1日4時間の営業。 Breadal oneの営業時間は、基本的に正午から午後2時までと、午後5時から午後7時までの1日合計4時間。 店舗面積は6・5坪(売り場1・5坪、厨房5坪)。販売方法は対面販売。製造はオーナー1人。入り口のドアを開けると、すぐ右手が平台のような陳列台になっていて、パンがぎっしりと並んでいる。 販売は、パートもしくはオーナー夫人1人。 |
| 季節の果物や野菜などを使って、顧客の食欲を引き出す。 - パンピジョン(埼玉県鳩ヶ谷市)
摘みたてのブルーベリーのゼリーが好評
埼玉県鳩ヶ谷市のパンピジョンは昨年7月から9月にかけて、摘みたてのブルーベリーを使ったゼリーを製造販売して、好評を得た。販売価格は200円以上で、1日20〜30個売れる商品になったという。 ブルーベリーは、埼玉県川口市のブルーベリー農園で、摘んでくるものだ。 八村努オーナー夫人の奈都子さんの実家の近くにあり、奈都子夫人の母親が直接積んでくる新鮮なものだ。透明のカップに入れて、冷蔵ショーケースに陳列して販売する。 八村オーナーは、「デニッシュのトッピングや、ピザのトッピングなんかに、季節の果物や野菜などを積極的に使って、お客様の食欲を引き出す努力をしています。それでも夏場はやはり売上は少し落ちます」と話す。 製造量が減るからといって、悪いことばかりではない。 「普段なかなか、スタッフの仕事を付きっ切りで指導するということはできないのですが、夏場の多少余裕があるときは、例えば包あんひとつにしても、じっくりとスタッフに教えられます。夏場こそスタッフ全員の技術向上のチャンスだと思っています」(八村オーナー) |
| 凄腕の女性販売スタッフの指揮のもと、販売の改革を断行。 - ブーランジェリー・トースト(東京都豊島区)
売り場からのオーダーで揚げる
「昨年の夏は、春から初夏にかけての時期より売上が伸びました」 こう語るのは、東京・巣鴨のベーカリー、ブーランジェリー・トーストの土屋正博オーナーだ。 凄腕の女性販売スタッフが入り、同スタッフの指揮のもと、販売の改革を行ったのだ。 まず実践したことは、売り場の販売スタッフの判断でパンを焼き上げるタイミングを決めるようにしたことだ。 例えば、カレーパンは、一回に揚げる量をそれまでより減らし、店頭に並ぶ商品が少なくなってきた段階で、売り場から「次のカレーパンお願いします」というオーダーをもらい、揚げるようにした。 同ベーカリーでは、カレーパンは、オーブンで半焼きしてパン粉をまぶした状態でストックしておき、必要なときにフライする段取りなっていて、売り場からオーダーが入ってから、5分程度で準備できる。 「とにかくパンの温もりをお客様に感じてもらおうということです」(土屋さん) 重点商品は常に焼きたて。 ピザや焼き込み調理パンなども、売り場からのオーダーで小まめに焼き上げるようにした。 1日200程度は売れるという看板商品の「メープルメロンパン」は、冷蔵保存しておいた生地玉を成形してビス生地をかぶせホイロをとって焼成するが、こちらの方は、1回の焼成量をできる限り減らし、焼成回数が多くなるように製造スケジュールを組み直した。 パンの品質基準をさらに厳しくした。 売り場に出すパンの品質基準も厳しくなった。 「あるとき、クリームパンを焼き上げて売り場に下ろしたらば、『これは駄目です』と売り場から言われたんです。何でかなと思って聞いてみたら、卵を塗ったときの刷毛の小さな白い毛が1本ついていたんですね」と土屋さんは苦笑い。 売り場では、顧客に声をかける頻度がかなり多くなった。 売り場の意見が製造現場に反映される度合いがかなり高くなった。 スタッフの意識を高めることが大事 昨年は夏前にこうした改革に取り組んだ結果、夏になると、猛暑にもかかわらず、売上は改革以前より逆に上昇したという。 「今回の改革で、スタッフの一人一人の意識を高めることの重要性を実感したので、最近は、スタッフに様々な勉強会に、できる限り行かせるようにしています」(土屋さん) 今年の夏は、看板商品のひとつであるコロッケパンの夏バージョンを育てたいという。 また、「日本におけるドイツ年」に因んで、「ドイツパンフェア」を大々的に開きたいと考えているそうだ。 |
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