個性が重視される時代の種を使ったパン - ブランスリー電子版

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特集/2005年5月号

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個性が重視される時代の種を使ったパン




メーアコルンのパン

レーズンと水などを容器に入れて発酵中のレーズン液種(右)。取材時には、カレンズの種もおこしていた(中)。右は、レーズン液種にレモンスライスを加えて発酵中のレモン種。


メーアコルンのパンで、「種」担当の大田憲裕さん。


「天然酵母食パン」は、しっとりとしていて、独特の風味がある。


「天然酵母カレンズ」(左)と「天然酵母フランス」(右)


「天然酵母フランス」の内相


「天然酵母カレンズ」の内相(右)と「天然酵母イチジク」の内相(左)


レモン種で作る「レモン種パンドリーナ」


「天然酵母クランベリー&クリームチーズ」は、クランベリーの酸味とクリームチーズのハーモニーが爽やかな商品。



レーズンから種を起こし、それをもとに、さらに数種類の種を作る。使用する小麦粉や他の材料の特性を考えて、理想の味と食感が得られるように、様々な工夫を凝らしている。

メーアコルンのパン
東京都町田市森野2−25−2
電話 042−725−1074

種を使って個性あるパンを作る
 東京・町田市のベーカリー、メーアコルンのパンでは、レーズンからおこした種を使って、「天然酵母食パン」など6品目を製造販売している。
 種作りは、レーズンを水洗いするところから始まる。水洗いしたレーズンとその倍の重量の水、10分の1の重量のハチミツを混ぜ合わせて、蓋つきの容器に入れる。
1日2回程度、蓋を開けて攪拌しながら、3日間置く。そこから液体だけをこしとったものがレーズンの液種だ。
 「天然酵母食パン」は、この液種を使って生地を仕込み、15時間程度じっくりと1次発酵をとる。
「しっとりとしていて、独特の風味があります。レーズンのほんのりとした甘さも出ています」
 メーアコルンのパンで、「種」担当の大田憲裕さんは、「天然酵母食パン」についてこう説明してくれた。
 種を使ったパンはこのほかに5種類ある。
 「天然酵母フランス」(150円)は、レーズン液種とフランスパン用粉、モルトなどから作る種を使って作る商品。
ライ麦粉も配合している。独特の風味と、しっとり感が特徴だ。
 同じ生地に、対生地でくるみを5%、フィグを15%練り込んだのが「天然酵母イチジク」(150円)、カレンズを20%練り込んだのが「天然酵母カレンズ」(150円)だ。
 さらに、同じ生地から、「天然酵母クランベリー&クリームチーズ」(200円)も作っている。くるみ5%、クランベリー15%を練り込み、クリームチーズを包んで焼き上げる商品だ。クランベリーの酸味と、クリームチーズがよく合っている。
 レーズン液種にレモンスライス、水、ハチミツを加えて、さらに2〜3日置くと、レモン種になる。これを使って作るのが、「レモン種パンドリーナ」(400円)だ。
バターをたっぷりと入れて、ドライフルーツを配合、ほのかなレモンの香りと相まって、爽やかな味に仕上がっている。
 レーズン液種や、レーズン液種に小麦粉などを混ぜて作った種は、冷蔵すれば、1週間程度はもつという。
ただ、、レーズン液種に小麦粉などを混ぜて作った種は、3日以上使わない場合は、小麦粉などを加えて継いだ方がいいという。
 メーアコルンのパンは、「日常のパンで支持されなければならない」との考えから、食パンの品揃えを充実させている。各品目の特徴を打ち出しているが、そんな中で「天然酵母食パン」も、独自の個性で、着実に「指定買い」を増やしてきた。
 太田さんは「種の種類によって、個性が違いますので、『他のどんな材料と組み合わせたら、そのよさが活きるか』を考えて、商品開発をしています」と話した。

温度管理が最重要項目
 「温度管理が一番大事です」
太田さんは、種のパンの製造についての注意点についてこう話した。
 さらに「気温が低いと酸味が出てしまう傾向があるので気をつけなければなりません」。
   ◇
天然酵母フランスの作り方
【配合%】
フランスパン用粉・・・・・・・・・・・・・60
ライ麦粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
▼種・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
モルト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・5
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
【工程】
ミキシング・・・・・・・・・L7分M3分
捏ね上げ温度・・・・・・・・・・30度Cフロアタイム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・2時間(パンチ)1時間分割・・・・・・・・・・・・・・・・・150グラムベンチタイム・・・・・・・・・・20〜30分成形・・・・・・・・・・・・・・・バタール形ホイロ・・・・・・・・32度C75%1時間焼成・・・・・・上火230度C下火2 10度C20〜25分(スチーム注入)
※焼成前に粉をふってクープを入れる。
▼種
【配合%】
フランスパン用粉・・・・・・・・・・100
レーズン液種・・・・・・・・・・・・・・・60
モルト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・5
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0・5
【工程】
ミキシングL5分、発酵25度C16時間
   ◇
 メーアコルンのパンは、2004年11月にオープン。倉庫を改装した手作りの店舗で、菓子パン、デニッシュ、食パン、フランスパンなど幅広い豊富な品揃えと丁寧な接客が受けて、すでに多くのリピーターを獲得している。



ブルー・デェ・ロシェ

クリーム色の漆喰風の外壁に、ブルーのテントが映えるブルー・デ・ロシェの店構え。


オーナーの塩見高世さん


4坪ほどの小さな売り場だが、固定客が頻繁に来店する。


ホワイトサワーを使った「パン・オ・フィグ」


レーズン種を使った「ブリオッシュナンテール」


ライサワーを使った「ビアブロート」


ライ麦パンに使用するライサワー。


(1)種継ぎ用に残しておいたホワイトサワーをまとめる。


(2)重量比でフランスパン用粉50%、全粒粉50%、塩0・5%、水50%を加える。


(3)ミキサーで捏ねる。


捏ね上がる直前の状態


(4)捏ね上がったら、ボウルに移す。
生イースト、ドライイーストは使用せず、独自に開発した3種類の種を使ったパン作りを実践する。それぞれの商品について、味と食感の構図を頭に中でクリアに描き、個性あふれる商品開発を行っている。

ブルー・デェ・ロシェ
千葉県市川市高谷2−8−1
電話 047-328-0091

クリアな味に感動した。
 千葉県・市川市のブルー・デェ・ロシェは、「レーズン種」「ホワイトサワー」「ライサワー」の3種類の種を使用している。生イーストやドライイーストは使用していない。
 オーナーの塩見高世さんは、あるとき、ある有名店の天然酵母パンに出会い、そのクリアな味に感動した。それ以来、種について徹底的に研究し、いろいろな人に指導を受けた。
 「ブリオッシュナンテール」(250円)は、「レーズン種」で作る商品だ。レーズン種は、ノンオイルコーティングのオーガニックレーズンと重量比で5倍の水を合わせ、密閉容器に入れて、26度Cの場所に5日程度置き、レーズンを漉し取った液体。
 これを生地に配合して、約15時間発酵させる。この生地が中種に相当する。
 低温殺菌牛乳や卵の味がそのまま素直に出ていて、雑味がなく食べやすいのが特徴。
 レーズン種は発酵力が他の種に比べて強い。また、それ自体の味の主張が少なく、主原料や副材料の味をそのまま生かしたい場合に使う種だという。

3種類の種を巧みに使い分け。
 「ビアブロート」(150円)は、「ライサワー」を10%配合して作る。ライ麦粉を40%配合しているが、食べ口のいいパンに仕上がっている。
 「パン・オ・フィグ」(350円)は、「ホワイトサワー」で作るパンで、かすかな酸味がとても爽やかな商品だ。
 ライサワーとホワイトサワーは、レーズンからおこした液体状の種に、それぞれ、ライ麦など、全粒粉などを加えて発酵させたものだ。
 同ベーカリーは品揃えおよそ80品目に対して、生地数がおよそ20種類とかなり多い。
 レーズン種、ホワイトサワー、ライサワーの3種類の種をうまく使い分けて、個性あるパンを作っている。レーズン種は、小麦粉本来の甘みや、その他の材料の味、発酵による香りや味、などを最大限に引き出したい場合に主に使用する。ホワイトサワーは、主にハード系のパンなどに使用し、かすかな酸味と爽やかさを出している。
 ライサワーは、ライ麦系のパンに使用。
 種の管理にはやはり経験が必要だ。塩見さんは「特に温度管理が大切です。私の場合は種の発酵は、20度Cがベストでプラスマイナス3度が許容範囲と考えています。ドウコンで生地を管理する場合、生地玉が大きいと、中心部分の温度が、ドウコンの設定温度よりかなり上昇するので、要注意です」と説明する。
 レーズン種は基本的に1度おこしたら、すべてを使い切る。ライサワーとホワイトサワーは、毎日必要量を残しておいて、小麦粉などを加えて混ぜ合わせ、継いでいく。
 取材中に、ホワイトサワーの種継ぎの様子を見せてくれた。
 まず、種継ぎ用に残しておいたホワイトサワーをボール状にまとめる(1)。新たに加えるのは、残しておいたホワイトサワーに対して重量比でのフランスパン用粉50%、全粒粉50%、塩0・5%、水が50%だ(2)。
 これをミキサーで捏ねて(3)、まとまったらボウルに移し(4)、28度Cで5時間発酵させ、冷蔵庫に約12時間入れておく。この作業を毎日欠かさず繰り返すのだ。
 「厨房に生き物を飼っているような感覚です。旅行には行けませんね」と塩見さん。
 ブルー・デェ・ロシェは、東京メトロ東西線の原木中山駅から徒歩約10分の場所にある。街道からわき道に入って5分ほど歩くと、道沿いにひっそりとたたずむ店舗が見えてくる。クリーム色の漆喰風の外壁に、ブルーのテントが映える。ブルー地に「Bleu de Roche」の白い文字が印象的だった。





原価計算女王
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