実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識(11) - ブランスリー電子版

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実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識/2005年2月号

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実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識(11)

文・折井英雅
昭和30年に東京農工大学農芸化学科を卒業し、(株)東急フーズ(現サンジェルマン)入社、サンジェルマン開発部長、海外事業部長として国内外約120店舗のインストアベーカリー、レストランベーカリーの企画から開店までをプロデュース。平成3年ハワイ・ディーライトベーカリーでの2年間の社長職の後退社。平成4年から11年まで食糧学院・東京ホテルレストランカレッジ製菓喫茶店経営科(現在、東京栄養食糧専門学校に移管)科長として専門学校の教育に従事。現在はベーカリー会社顧問のほか、名古屋文化短大食生活専攻科講師として製菓製パン理論、フードマネージメント論を講義。所属団体としてはRC・アミカル会副会長、フードシステム研究所主任研究員として「食文化から食マーケティングヘ」の視点から、同研究所の江戸を学ぶ会、新発想開発塾に研究員として参画。



ベーカリー出店企画の進め方のポイントは何か?

第5章 出店戦略


企業を永続発展させるためには、個店を守りきってそこで利益をきちんと出し続けていくこともありましょうし、多店舗化を図って規模の増大で売上拡大、利益確保を狙っていくこともありましよう。
個店でも客がついているからとそのまま現状推持では、客が魅力を感じなくなり経営が不安定になります。
従って個店であっても環境の変化や、客の動向についていくためには、店舗の内外装のリニューアルや、店舗業態のモデルチェンジ、新しい品態発想による商品構成の転換などが必要になってきましょう。
その場合でも新店舗企画の考え方と技法を知っていれば役立つことが多くあります。
この章では出店戦略の進め方の概略をAベーカリーの例をひきながら説明していきますが、今回の連載は「ベーカリーマネージメントの基礎知識」ということもあり、あと2回になりましたので、出店企画の手順でポイントとなる重要点についてどう考えていったら良いか、それぞれの項目の考え方を中心に述べるにとどめます。
なお具体的な出店の技法については「出店戦略の実際知識」のような形で、将来機会がありましたら書きたいと思っております。



第1節 出店計画フローチャート
一つの仕事を成し遂げるためには、まず時系列のフローチャート(仕事の手順が順序よく流れるように作成された表)を作成します。そしてそのチャートに従って手順項目ごとに抜け落ちる事や、あいまいな所がないように一つ一つ確認し合いながら、仕事を進めていきます。AベーカリーのA社長も第1号店の出店の時には、これといってはっきりした進め方もわからないままに店の配置の希望を述べただけで、内装やレイアウトの設計から施工までほとんど建築屋まかせでした.開店してからA社長はどうも内装が自分のイメージと違っていたなとか、機器の工場への納まり具合が悪かったなとか、不満なことが多々ありました。そこで2号店からは、きちんとした計画にしたがって進めようと思い、このフローチャートで流れを確認しました。もちろん細かいフローチャートを作ればきりがありませんが、Aベーカリーのような規模の店では基本の流れを作っておき、それぞれの節々で考え方をしっかり持っていれば表19の程度で十分だと思います。
このフローチャートは、Aベーカリーで新しく任命された企画課長が、第2号店出店について、社長の意向をまとめるところから開店するまでの流れをわかりやすく表にしたものです。
もちろん皆さんのようなすぐれた経営者のいる所では社長1人で進める場合もありましょう。しかしその時でも社長の頭の中ではきちんとこのフローチャートがシーンとして描かれ、その順序と内容とポイントがストーリーとして組立られており、それをもとに進めていくことで、自然の流れでセンスのよい店が出来上がることでしょう。しかし万人が万人そういうわけにもいかないので、このフローチャートの各順序項目での考え方を次節から説明していきます。



第2節 出店構想

お店を出すに当たって社長の頭の中には、何となくこんなお店をこんな場所にこのくらいのカネをかけて出したいとおぼろげながらの考えがありましょう。これを聞き出しながら社長のコンセプトとして明確にしておくことが、今後の計画をスムーズに進めるために大切なことです。
構想の第一に目的をあげます。もともと仕事をする時にはまずその目的をしっかり把握することが大事です。特に出店については、会社の将来方向をにらんでやる必要がありますし、保証金や設備投資などで投資額が多いことから、特に明確化が必要になります。Aベーカリーの2号店では将来の多店舗展開の基礎づくりのモデル店を目的にしました。
第二には業態です。最初から今までと同じベーカリーでいくかどうか、将来のためにケーキ屋や飲食店などを複合的に考えていこうかどうしようか、業態についてはっきりさせます。Aヘーカリーではベーカリーカフェを考えました。
第3は立地です。これには2通りの考えがあって、既に出店地が決まっていれば、その立地の性格からどういう態様の業態にするか、店の性格付けをあわせていきます。
もう一つは「こういう業態の店にしたいからそれにふさわしい立地を探していこう」という方法です。
どちらをとるにしても商圏立地をよく調査して店のコンセプトと立地が一致することが大切です。
Aベーカリーは業態にふさわしい立地を探すことにして、商圏としては地区型か地域型で、立地としては高感度の住宅街かオフィス街を考えました。
商圏立地についてはこの連載の第5回を参熊してください。
第4は規模です。目的、業態、立地と資金を考えて、その規模の店にふさわしい物件をさがします。
Aベーカリーでは、約30〜40坪で、イートインも考えました。
第5は投下資金です。カネさえかければ場所も店の規模もいくらでもありますが、そうはいきません。
今までの構想の店のアウトラインでの営業予想(カンの段階で結構ですが)から、この位のカネをかけてもやっていけるだろうという面と、会社としてどの位の自己資本がありどのくらいの資金調達が可能かという両面から考えることが必要です。Aベーカリーでは5500万円ぐらいは可能であり、坪辺りで内装設備機器に100万〜120万、保証金に60万〜80万ぐらいかけられるとみて、この構想に基づき物件を探すことになりました。



第3節 物件情報収集

採用する物件は一つだけですから、構想に合った最適な物件を選ぶ必要があります。自分の出したいエリアをピックアップし、そこに構想に合いそうな物件情報を求めることになります。収集の依頼先としてはいろいろ考えられます。
▼不動産業者(地元で長年やっていて、その地のことをよく知っている不動産屋)▼設計事務所▼建築会社▼内装業者▼銀行開発部
受け付けた物件情報はすべて一覧表にし、将来の多店舗化の時の参考にします。立地と条件の相対関係などがわかります。

第4節 有力物件調査

有力物件についてマーケティングリサーチ(この連載の第5回参照)を行い、その結果を出店検討物件表 (参考例=表20)にまとめます。
表の中では付近図があり、そこには物件の周囲のショッピングビルとか集客性のある店名を入れて参考にします。
また検討メモでは次の売上推定にも参考になるように商圏の性格、駅からの導線、物件周辺の商業状態、その物件の位置どり、周辺の競合店状況を記入しますので、そのため次のような資料で調査します。
▼物件の案内資料▼統計刊行物▼地図▼グルメ誌▼専門誌等の記事
▼実地調査(曜日別、時間帯別に詳しく)

原価計算女王
原価計算女王
第5節 売上推定調査

いかにその物件が構想に合っていたとしても、一定の売上が確保されなければ利益を産み出す店舗にはなれません。
その売上予測はマーケティング調査によって相当の確度で推定できます。
第4節のマーケティングリサーチの手法に一定の指数を掛けた売上推定表 (参考例=表21)から予想売上高を出します。その売上が経営者の思っていた通りでしたら採用の最終決定になります。不満足でしたらもう一度前にもどって、他の有力物件をあたることになります。

第6節 コンセプトワーク

ここで具体的な計画に入る前にもう一度社長の意向と今までの調査情報からの結論がぴったり合っているか、直すところはないか再確認の意味で、店舗の狙い(これがコンセプトになりますが)をストーリーとシーンに表現して、社長と企画者のマインドを統一します。
ストーリーとしては目的からどういう商圏立地でどんな客層にどんな接客をして満足してもらうか、シーンとしてはどんな商品構成でどんなイメージの内装の店舗にするかを文章や絵、写真の張り付けなどでコンセプトワークシートとして表現します。

第7節 企画構成

具体的な計画の基本となるものであり、構想からコンセプトワークまでの経営の意志を系統的にまとめあげたもので次のような項目になります。
▼目的―構想段階の目的を更にはっきりさせます。
▼基本コンセプト概要―店舗展開の基本となるコンセプトを明示します。
[1]業種、業態
[2]出店立地
[3]対象客層
[4]商品構成コンセプト
[5]デザインコンセプトおよびネーミング(ネーミング、イメージ、カラー)
▼店舗概要
[1]物件平面図
[2]賃借条件
▼予想売上高
▼収支予想
[1]投資額
[2]収支要目
[3]損益収支表
[4]損益分岐点売上
▼ラフレイアウト


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