「変わった店ですね」 - ポルカドット - ブランスリー電子版

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お店拝見/2004年11月号

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「変わった店ですね」 - ポルカドット

ポルカドットの店構え
JR京浜東北線・大森駅からバスで約15分の雑多な感じの住宅街。近くには学校や大きな病院がある。ポルカドットはそんな場所に今年4月1日、オープンした。商圏内人口は比較的多いが、競合店が3店ある。他店を調査すると、パンの価格はかなり低めの設定。伊藤幸男オーナーはそんな中で、「ハード系を中心にした品揃えで、価格も安くはない」という路線をこれまで貫いてきた。

住所 東京都大田区大森西6-2-1
電話 03-5471-5281
営業時間 午前9時〜午後7時
定休日 日曜日



天然酵母のパンに特化。アットホームな雰囲気

看板商品の「田舎パン」


インド製のレトルトカレーを使った「プンジャブカレー」


カレーフィリングに使っているインド産のレトルトカレーは、それ自体も販売している。左から、カシュミアカレー、プンジャブカレー、ジャイプールカレー
ポルカドットは売り場面積約4・5坪の小さな店。棚には、ハード系を中心にした様々なパンがセンスよく並んでいる。製造は伊藤オーナーが担当し、販売は伊藤オーナーの長女のまどかさんが担当。伊藤オーナー夫人の淑江さんは製造と販売の両方をこなす。家族3人で切り盛りするアットホームな雰囲気のベーカリーだ。
看板商品は、「田舎パン」(330円、ハーフカット165円)。甘みがあって、比較的ソフトな食感に仕上がっている。1日7〜8個程度の売れ行きだが、少しずつ固定客が増えているそうだ。
めずらしいのはカレーパンだ。インド製のレトルトカレーを入手し、それを食パン生地で包んで焼き上げる商品で、その名も「プンジャブカレー」(189円)。カレーを作る手間が要らなくて、しかも他ではまず売っていない、というパンだ。インド製のレトルトカレーは3種類使っていて、日によって使うカレーを変える。人気は上々で、同ベーカリーの売れ筋商品になっている。
「カレーは小麦粉を加えるようなことはせず、そのまま包んでいます。フィリング用ではないので、手早く包まないとこぼれてしまいます」(伊藤さん)。
「コキーユ」(189円)もユニークな商品だ。調理パン生地で、ハム、チーズ、ポテト、バジルペーストを包み、特殊な形に成形して焼き上げた商品で、バジルペーストの味がとても印象的。ポテトは生のじゃがいもを茹でて、つぶしたもの。これも人気商品の一つだ。
このほか、発酵バターを折り込んだクロワッサン(137円)も人気がある。



ハード系を中心に据えて、低価格は打ち出さない。

ハム、チーズ、ポテト、バジルペーストを包んだ「コキーユ」


発酵バターを折り込んだ「クロワッサン」
「競争は激しいですね」。伊藤さんはしみじみとこう話す。最近また近くに新たにベーカリーができたそうだ。
ディスカウントショップなども多く、競合ベーカリーを見ても、価格は安く設定されているという。
しかし、ポルカドットの進むべき道ははっきりしている。ハード系を中心に据えて、低価格は打ち出さない。
材料も出来る限り味を優先させ、いいものを使う。サンドイッチに使う野菜などは減農薬栽培や有機栽培のものを使う。棚に並んでいる商品を見ても、価格設定は決して低くない。
「半年間ここで商売をしてきて分かったことは、安さを求める人だけではないということです」と伊藤さんはいう。
商圏内の人口の多数派ではないが、伊藤さんが打ち出すパンを必要としている人が少数派ながら、確実いるという手応えがあったのだそうだ。
「例えば都心に出かけたときには、どこどこのパンを買うが、地元では買いたいパンがなかった、という人が実際にいるんです。外国人の方も目立ちます」(伊藤さん)。
有名店のパンの味に似ている、といわれることが少なくないという。「出かけたときだけではなく、日常的に好きなパンが買えるのが嬉しい」との声をかけてくれる顧客がいるというのだ。
また、「子供さんがアレルギーで、例えば卵を使っていないパンがほしいといった要望も多く、そうした人たちもウチのパンの固定客です。それと最近は子供にちゃんとしたものを食べさせたいと考えている母親が多くなっているんだなと感じる場面が多くなりました」。
オープンしたての頃は「変わったパン屋さんですね」とよく言われたという。
伊藤さんにとってはこの上ないほめ言葉だった。



「とにかく一度食べてもらうことが大事です」

左からくりごま、グランベリーチーズ、プチプチmix、全粒パンミニ。


オーナーの伊藤幸男さん
「とにかく一度食べてもらうことが大事です」ともいう。
ポルカドットでは、顧客にいろいろなパンを食べてもらおうと、月ごとに様々なプロモーションを行っている。10月は、1日に1品目を、通常価格より安く販売する企画を実施していた。取材した日は、「田舎パン」を通常330円のところ、300円で販売していた。
「お客様が食べ慣れている商品ではなく、こちらがお客様に食べてほしいと思う商品を値引きの対象にします。普段はハードルが高い商品をとにかく1回食べていただいて、その中で1人でも2人でも固定客になっていただければと考えています。もちろん試食提供も積極的に行っていますよ」。
今後も、さまざまな商品を積極的に提案し、少しずつ固定客を増やしていきたい、と伊藤さんは考えている。



自分の店でも、人の店でも、パンに対する思いは同じ。

奥の陳列棚の最上段には、インテリアとしてフランスパンが飾られていた。


レジは主に長女のまどかさん(手前)が担当している。
伊藤さんは約20年前にあるスーパーのインストアベーカリーの立ち上げにかわった。最初は冷凍生地を仕入れて焼成するベークオフのベーカリーからのスタートだった。それ以前はパンにかかわったことは全くなく、手探り状態からのスタートだった。
3年が過ぎたとき、粉から生地を捏ねるスクラッチ製法に転換した。伊藤さんはそれまでも、冷凍生地を扱いながら、独学でスクラッチ製法のパンを学んでいた。
「人から聞いたり、本を読んだりして自分で勉強しました。そうしているうちに冷凍生地を仕入れて焼いているだけでは満足できなくなりました」と伊藤さんは振り返る。
スクラッチでパンを作り始めて、3年が過ぎたとき、ホシノ酵母と出合った。伊藤さんはそのシンプルなおいしさに魅かれ、徐々にホシノ酵母のパンを増やしていった。
あるとき、効率化を図る目的で、スーパーの経営陣がパートスタッフだけで店がまわせるシステムを作り上げることを伊藤さんに課した。経験がなくても、指示通りに作業をすればパンが焼き上がるようなオペレーションが完成し、当初は利益率も向上したが、商品の開発力などが低下した結果、商品が固定化してしまって、結局は売上がジリ貧になった。
自然系の酵母を使ったパンからイーストのパンにシフトする方針が決定し、伊藤さんは「自分のやりたい方向と180度違う」と感じ、10年間陣頭指揮をとったそのベーカリーを退職した。
その後すぐに、新たにベーカリーを立ち上げようとしていた会社から声がかかり、伊藤さんはそこで再びベーカリーを立ち上げることになった。
そして、3年後、今年の4月1日、自分の店をオープンさせた。
「ずっとヘッドとしてやってきたので、何が何でも自分の店を持ちたいという気持ちはありませんでした。自分の店であろうと、人の店であろうと、パン作りに対する気持ちは変わりません」と伊藤さんはいった。

原価計算女王
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