記事の閲覧
| <<戻る |
| 実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識/2004年10月号 |
2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 実践的ベーカリーマネージメントの基礎知識(7)
文・折井英雅
昭和30年に東京農工大学農芸化学科を卒業し、(株)東急フーズ(現サンジェルマン)入社、サンジェルマン開発部長、海外事業部長として国内外約120店舗のインストアベーカリー、レストランベーカリーの企画から開店までをプロデュース。平成3年ハワイ・ディーライトベーカリーでの2年間の社長職の後退社。平成4年から11年まで食糧学院・東京ホテルレストランカレッジ製菓喫茶店経営科(現在、東京栄養食糧専門学校に移管)科長として専門学校の教育に従事。現在はベーカリー会社顧問のほか、名古屋文化短大食生活専攻科講師として製菓製パン理論、フードマネージメント論を講義。所属団体としてはRC・アミカル会副会長、フードシステム研究所主任研究員として「食文化から食マーケティングヘ」の視点から、同研究所の江戸を学ぶ会、新発想開発塾に研究員として参画。 |

| 計画を立て、実施し、チェックし、アクションを起こす。 第3章マーケティング活動(続) 第4節 セールスプロモーション セールスプロモーション、すなわち販売促進については、私どもベーカリーは日常の販売活動において売上増をはかるために常になされておることではあります。しかし何となく習慣的に行われ、惰性に流されたり、販促のためとただカネをかけて費用の割には効果があがらなかったりということがよくあります。こうしたことを防ぐには、まず販促の基本的考え方をしっかりわきまえ、目的をはっきりさせ、それに合った計画を立て、実施し、チェックし、アクションを起こすというサイクルを回していくことが大切です。
1.顧客づくりと販促 パンという日常商品を取り扱う私どもベーカリーにとっては、固定客を作りその固定客の増大と来店頻度の増加をはかることが一番大切です。そのためにはまず自分の店の顧客になってもらうことです。その顧客づくりのポイントは6つのPで総合的に考えていくと良いと、日本フードコーディネーター協会編の「フードコーディネーター教本」で述べられておりますので、それを参考にしながらベーカリーについて考えてみます。 PLACE―店のある場所の商圏、立地条件 出店企画の時から大切なことで、そこに店を出した場合にその商圏の人々が、顧客になりうるか、すでに店がある場合はそこの人々に合った店舗コンセプトの店として顧客がいるのかを考えていくことです。 PRODUCT―商品 設計の品質 製造の品質 魅力のある商品でなければ店の顧客になってくれません。ではベーカリーにとって魅力のある商品とは何でしょうか。商品構成が的確で自分の買いたい商品が常にあること、商品の品質にバラツキがなく品揃えが十分であること、といえましょう。これを店側からいえば、そこの顧客にあった設計の品質になるように商品企画がなされており、商品構成と新商品の売出しが適正であること、製造の品質が常に安定した水準にあり、品揃えもお客さんのタイミングにあわせて、十分であることといえます。この設計の品質と製造の品質に関しては、次のプライスとともに次節コリティコントロールで説明いたします。 PRICE―価格 値打感 値頃感 値打感=客の価値感価格÷価格×100%の数式で表され、その商品に付けられた価格自体が高いか安いかということではなくて、その商品の価格がお客さんにとって高く感じられるか、安く感じられるかということです。そして100%が適当な価格、それより数字が上がるほどお客さんが価値を認めてくれて魅力のある商品になり、数字が下がるほどお客さんにとっての価値がさがります。 値頃感はその価格が店のプレイス―商圏、立地にマッチしているかということです。いくら値打があるからといって、店の商圏が近隣型で立地は一般住宅街のところで、高級百貨店で売るような高価格商品をもってきてもなかなか売れません。その場その場の適正価格帯というものがあるわけです。 PERSONAL―接客、店長、店員の態度 顧客づくりには日常お客さんに接触する店員、特に店長の態度が重要です。これは、営業活動の章で述べます。 PARTICIPATION―顧客参加、仲間意識の雰囲気 接客というどちらかというと売手側からの活動になりますが、お店は商品を通じて店員と客の出会う場という観点から積極的に客に新商品の希望にしても、意見、苦情にしても参加してもらい仲間意識をもってもらうということで、これも顧客満足の一環として次節で説明します。 PROMOTION―販促活動 以上の5Pで店ができて商品も揃い店員も販売活動に入るということで顧客を迎えることになりますが、店を継続していくためには顧客の増大をはかっていかなければなりません。そのためにこの販促活動が必要となります。 2.販促の基本的考え 競争のない、作りさえすれば全部売れてしまう売手市場の場合には、販促は必要ありませんでしたが、競合店もたくさん出来、商品もお客さんが選んで買える買手手市場では、経営者はまず店舗を整え、商品を考え、店員を揃え、他店との差別化を図りました。 今でも、うちの商品は絶対だからと自信をもって別に販促しなくても売れている店もありましょう。しかし大部分の店では何らかの販促活動をしなければ顧客の増大をはかれず売上も低迷しがちです。しかしやみくもに販促にカネをかけても効果は出ません。まず考え方の基本をわきまえ、具体的な活動に入っていくことが大切です。 販促には大きく二つの活動があります。一つは来店促進であり、もう一つは店内促進です。 来店促進は新規店や改装店に新規客を吸引すること、固定客のさらなる増大を図る活動です。 店内促進は来店された客に満足してもらい、リピーター客になってもらうための活動です。そしてこの二つの顧客づくりの販促活動が継続的、有機的にトータルに進められることが肝要です。 3.販促の目的と手段 販促には費用がかかりますし、はっきりした効果もすぐには出てこない場合もあります。したがって目的にあった手段を有効に使い分けていくことが肝要です。 来店促進―広告、チラシ、パブリシティ、口こみ 店内促進―POP、メニュー表、ポスター、サービス券、 4.販促の計画 顧客の増大とその顧客のリピーター化をはかっていくためにはまずきちんとした計画をたて、それを実施し、その結果を反省し、次の計画に反映していくといういわゆる、PLAN、DO、SEE、ACTIONの環を継続して回していくことが重要です。 そのために年度計画で月々の実施計画をたててそれに従いおこないます。 Aベーカリーでは毎月イベントセールとしてイベントに関係する日を中心に5〜7日間ニューアイテムセールとして月初めに5日間の計画をしました。(新商品3〜5点) イベントセールはなるべくお客さんにも親近感をもってもらうため国家的オケージョン、社会的オケージョン、慣習的オケージョン、を中心に組みましたが、店の特徴をだすため個人オケージョンを入れることにしました。Aベーカリーでは開店何周年セールとして毎年3月にあてています。そしてイベントにふさわしいパンを選定し、ツールを揃えます。ニューアイテムセールでは季節にあわせて、また新材料を駆使した新商品を紹介することになりますのでPOPと試食が中心になります。 尚、オケージョン商品について、私のハワイ・ディーライトベーカリーでの体験からの感想をコラムに記しますので、ケーキが中心ですがベーカリーでも考え方は参考になると思われますのでご一読ください。 ツールなどに費用がかかりますが Aベーカリーでは予算で売上の0・5%37万円を、装飾費として計上していますので月々にふりわけ効果的に使っていきます。試食の費用やPOP、宣伝チラシは別の広告宣伝費から支出されます。Aヘーカリーの年度計画表を表11に示します。 |

| ディーライトベーカリーにおけるオケージョン商品の考察 - コラム
ディーライトに限らず、アメリカではあらゆるオケージョンを利用してのオーダー商品の売上は大きい。ディーライトでも売上の40%はオーダー商品であった。
日本でオケージョン商品がそんなに多く期待できるか疑問視するむきもあるがむしろこれからのベーカリーショップやケーキショップでは、日常品とオケージョン品の融和した食文化を売る店としてのスタイルを心の片隅に入れておくのも将来のプラスになろう。 食文化とはその地域、その風土の共有と伝承、そしてそれを基盤とした創造だといわれる。一つの例として当初メリーが仕掛けたバレンタインのオケージョンは、外国にあったバレンタインデイの文化を日本のバレンタインデイとして創造し、チョコを中心に色々しかけてきたものだ。そして、日本全国で業界、消費者がバレンタインデイとはこういうものという一つの概念を共有し、それが年々伝わってきて、さらに商品的な展開方法に創造が加わって益々規模が拡大している。たった一つのオケージョンでも年間売上を左右する程の大きさになった。 ディーライトの在り方は一つだけのオケージョンでなく、国の、都市の、社会習慣の、個人の、そして個人を取り巻く社会環境のあらゆる機会を捉えている。それらのオケージョンを巧みに取り入れ、デザインにマッチさせ、それぞれのオケージョンに合う商品を提供できる店として、国や個人の文化と共有させてしまった。さらに親から子へとバースデイやグラジュエーションなどの体験を通して自然の中に伝承させている。個人環境の広がりとともに新しいオケージョンが創造されている。こういう新しい考えのケーキができないかと要望がありそれに沿ったデザインのケーキができ、それがまた共有され、定着していく。 具体的な例としてある会社の社長から「会社の売上が5年連続予算を上廻った記念パーティ」のケーキを要望され、売上グラフを大きなスクエアケーキの上にプロットしたデザインをした。その後他の会社からも同じようなオーダーがあり売上が向上した。 またよくあったのはゴルフコンペに優勝したパーティ用のスイングするゴルファーのデザインのものだった。もちろんアメリカではちょっとしたことですぐ集まりパーティがあり、そこにふさわしいデコレーションケーキがある、というのが文化になっているということもあるのだが。 日本でもバレンタイン、こどもの日、母の日、クリスマス、バースディにケーキのオーダーはある。しかし既成のものが多く受動的である。人の一生を文化史的にとらえると、誕生、入学、卒業、就職、結婚、出産、新築、栄転、リタイア、還暦等いろいろある。また日本でも年々パーティが増加してきており謝恩会や趣味の集いなどの会合も多くなってきているので、オケージョンは質量ともに充実してきている。オケージョンのいろいろの場合を通じて客と店との間に共有が生まれ、店は技術やデザインを伝承し、客は子に、周囲に伝え、さらに創造がなされていけば、店は「食文化のある店」として客に評価され、日常品の売上も上がっていくことになると思考する。 |

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。






