夏場対策、教えてください。 - ブランスリー電子版

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特集/2003年6月号

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夏場対策、教えてください。

「夏場対策、教えてください」のテーマで、ベーカリーヘのアンケートを実施した。フルーツや夏野菜などを使って、夏向け商品の再発に努力を重ねていることか分かった。夏場に売上げか落ちる割合が少ないパンとして最も多くあがったのは食パンだった。

アンケートの方法 リテールべ−カリー60軒にFAXでアンケート用紙を送付し、回答を求めた。回答を寄せたのは22軒。主な質同事項は、「夏場(7〜8月ぐらい)の売上げは、1年で最も売上げが高い月に比べて、約何割落ちますか?または約何割上昇しますか?」「どんな夏向けの商品を出していますか?」など。回答したベーカリーの所在地は、東京都10軒、大阪府と新潟県が各2軒、埼玉県、山梨県、神奈川県、静岡県、千葉県、長野県、栃木県、兵庫県が各1軒。立地は住宅街7軒、商店街6軒、商店街と住宅街の中間、駅前、街道沿いが各2軒、スーパー内、観光地、病院そばが各1軒。



夏は平均2割落ちる。清涼感のあるパン

夏季に売上げが伸びるケースも
 「夏場(7〜8月ぐらい)の売上げは、1年で最も売上げが高い月に比べて、約何割落ちますか?または約何割上昇しますか?」と聞いたところ、落ちると答えたベーカリーが19件で、落ちる割合の平均値は、2割だった。
 夏場に売上げが落ちると答えたベーカリーの最大の落ち幅は5割だった。
 上昇すると答えたベーカリーも3軒あった。
 上昇する割合の平均値は2・5割。
 上昇する理由については、3軒とも観光地立地か、観光客の来店を期待できる立地で、夏に多くの人が来店するから、と答えた。栃木県のあるベーカリーは地元の土産店などにパンを卸していて、夏季に販売量が伸びるのだという。
 夏場に売上げが伸びるべ−カリーの最大上昇幅は3割だった。
 
フルーツと夏野菜
 「どんな夏向けの商品を出していますか?」(複数回答)との質問に対しては、「フルーツを使ったパン」と答えたベーカリーが4軒と、最も多かった。
 「辛いパン」が3軒、「カレーパン」「フルーツのデニッシュ」「夏野菜のサンドイッチ」「サンドイッチ」がそれぞれ2軒だった。(グラフ1)
 夏向けのパンとして、フルーツを使ったパンを重要視しているようだ。
 「フルーツを使ったパン」と「フルーツのデニッシュ」の他にも、「オレンジのデニッシュ」「甘夏のデニッシュ」の名前があがった。
 あるベーカリーは「生のフルーツを使ったみずみずしい商品を出すように心掛けている」と答えた。
 また別のベーカリーは「甘夏やグレープフルーツ、桃などさっぱりとしたフルーツを使ったデニッシュ」と答えた。
 夏野菜をセールスポイントにしたパンにカを入れるべ−カリーも複数あった。
 「カレーパン」などスパイシーなパンも当然ながら夏向けの商品だ。
 東京のあるベーカリーは「ベーコンを練り込んだハード系のパンに、夏だけ黒コショウも繰り込んで、ピリッと辛くしています」と答えた。
 この他、ゼリー類、アイスクリームのパン、蒸しパンなどの名前があがった。

食パン、メロンパン、サンドイッチなど
 一方、「夏でも比較的売上げが落ちないパンは何ですか?」(複数回答)と聞いたとところ、最も多かったのが「食パン」の10軒。次いで、「サンドイッチ」の6軒、「カレーパン」の4軒、天然酵母パンの3軒、「メロンパン」の2軒と続いた。(グラフ2)
 このほか、「フランスパン、あんばん」「調理パン」「ウインナーの挽き込み調理パン」などの名前があがった。
 食パンやメロンパン、カレーパンなどの定番南品や、サンドイッチなどが比較的夏場に強い商品のようだ。
 また、各ベーカリーの看板商品は、夏にも強いようだ。

グラフ1 「どんな夏向けの商品を出していますか?」に対する回答(複数回答、単位=軒)


グラフ2 「夏でも比較的売上が落ちないパンは何ですか?」に対する回答(複数回答、単位=人)



早朝と夕方を狙う。夏は商品開発を

夏は開店時間を繰り上げる
 「夏場は、比較的涼しい早朝と夕方に来店客が多い」と指摘したべ−カリーが複数あった。
 東京都のあるべ−カリーは「午後2時から3時までの最も暑い時間はきっぱりとあきらめて、午後4時以降の少し気温の下がってくる時間帯に焼き上げる商品を増やします」と答えた。
 また、大阪府のべ−カリーは「夏は朝と夕方のお客様が多くなります。朝はサンドイッチと焼き込み諷理パンにカを入れています」と回答した。
 「夏は早朝のお客様が増えるので、開店時間を繰り上げます」と答えたべ−カリーもあった。

夏こそ、普段できないことを!
 比較的時間に余裕がある夏に普段できないことをこなすべきだと考えているべ−カリーもあった。
 「夏こそ新商品の試作をして、年間商品の入れ替えのスケジューリングをしています」(神奈川県のべ−カリー)。
 フルーツゼリーやアイスキャンデイーなどパン以外の夏向け商品で健闘しているベーカリーもあった。
 栃木県のベーカリーは、土産店などに自家製アイスキャンデイーを卸して、夏場の貴重な売上げの柱のひとつにしている、と答えた。





ベーカリーに「どんな夏場対策を行っていますか?」と聞いたところ、様々な答えか返ってきた。各ベーカリーとも、思い思いに工夫を凝らして、売上減少を少しでも食い止めようと頑張っている。

ベーカリーの声
●お礼の手紙などの個別対応をしています。新潟県、住宅街
●チラシの配布を心掛けています。新商品も多く出すようにしています。栃木県、スーパー内
●商品の品揃えはもちろんですが、クーラーを少し強めに効かせて、店内を涼しくして、入って来たお客様にほっとしてもらうようにしています。千葉県、住宅街
●梅雨時には1000円に対して50円くらいの割引券を差し上げますが、それを8月〜9月中旬くらいまでとします。生クリーム、バタークリームのように甘めのものを減らしています。山梨県、商店街
●夏こそ新商品の試作を重ね、年間商品の入れ替えのスケジューリングをしています。神奈川県、病院そば
●イベントを行う。夏に5〜6品の新商品を出し、お客様に対するアンケートをとって、上位を定番化。新潟県、住宅街
●特別な夏向け商品は出していませんが、製品の入れ替えを月単位で行っています。パン類は菓子類より落ち込みが少ない。冷たいパンの開発をしたいと思っています。東京都、商店街
●夏限定商品を出します。また、夕方少し涼しくなってきた頃に追加の焼きたてパンを出します。東京都、商店街
●バターの多いクロワッサンやパイは夏は製造しません。バターが溶けてしまうからです。あんパンなど中にフィリングが入ったパンは夏は売上が落ちます。無添加の天然酵母パンなので、夏場は4〜5日しか日持ちがせず、各家庭でも夏は冷凍庫がいっぱいになるので、売上げが落ちます。したがって、製造量を控えています。
東京都、商店街と住宅街の間
●見た目が涼しげな商品を充実させます。店内外のインテリアにも工夫をしています。埼玉県、商店街
●お客様に冷たいお茶や麦茶を配っています。静岡県、観光地
●サンドイッチフェアなどを催します。東京都、駅前
●夏場は周りの人口が増えるので2〜3割売上が上がります。長野県、街道沿い
●天然酵母パンだけを作っているので、8月の暑い時期は2〜3週間休業します。東京都、住宅街
●午後2時から3時までの最も暑い時間はきっぱりとあきらめて、午後4時以降の少し気温の下がってくる時間帯に焼き上げる商品を増やします。東京都、住宅街
●季節によって商品を変えています。特に夏場は全商品の半分くらいを入れ替えます。同じ商品でも夏バージョンに変わるものもあります。東京都、街並沿い
●デニッシュなどを減らして、涼しげに見えるパンに切り替えています。東京都、商店街
●夏は朝と夕方のお客様が多くなります。朝はサンドイッチと焼き込み調理パンにカを入れています。大阪府、住宅街
●食欲が落ちる夏は衝動買いが馬鹿になりません。今年はレジ周り商品の開発にカを入れてみようかと思っています。ブルーべリーマフィンやレモンマフィンなどフルーツをあしらったマフィンや疲労回復がキャッチフレーズの黒五、玄米、黒カリンを使ったケーキ、クッキー、従来の大型パンを小型にしたものなどを考えています。夏は早朝のお客様が増えるので、開店時間を繰り上げます。東京都、商店街
●甘いおやつパンよりも食事的なパンを多く出します。東京都、商店街と住宅街の間
●ネット店では冷凍配送、実店舗では調理パンの販売にカを入れています。大阪府、住宅街

夏場は売上が3割増える。土産店での販売が好調 - パン・アキモト

アイスキャンディーも販売
 栃木県黒磯市のパン・アキモトは、約20年前から、自家製のアイスキャンディーを販売している。
 バナナ、ミルク、小豆、いちご、宇治金時の5品目で、価格はいずれも150円だ。「味が濃くておいしい」と地元客に青ばれているという。
 また、同べ−カリーは、那須高原の入り口に位置することから、これらのアイスキャンディーを牧場などの土産ショップなどにも卸していて、観光客からも好評を得ているそうだ。
 同べ−カリーは、夏場のパンの売上げも好調だという.現在黒磯市などの複数のスーパーにインストアべ−カリーを展開するほか、那須高原の様々な施設にもパンを卸している。「夏場は、観光客が多く、卸しのパンが好調なんです」と同べ−カリーの真船さんはいう。
 例えば、「げんこつパン」(1袋=5個人り=500円)。
 「パン生地そのものに深い味わいがあり、何も付けずにそのままで大変おいしく召し上がれます」(真船さん)。
 那須高原の観光名所で販売し、手軽なお土産品として好評だという。
 また、仕込み水に牛乳を100%使った食パンの「牛乳100食パン」も、お土産品として人気があるという。

売り場に清涼感を演出。手が空いた時間に作れる。 - ルチアの自家製アイスキャンディー

ルチア本店の概観


7月になるとレジの横に移動するアイスキャンディーの冷凍ショーケース


ルチア本店のスタッフが勢揃い(右から2番目が賤機さん)
売上が落ちる夏場に、自家製アイスキャンディーを販売するべ−カリーが今回のアンケートで数軒あった。千葉県市川市のベーカリー、ルチアもモの中の1軒。「独自の味か出せるし、売り場に清涼感を演出できる。人手も要らないし、作りだめできて、利幅も大さい」と同ベーカリーは説明する。

「アズキ」「いちご」など5品目を販売
 自家製のアイスキャンディーは、毎年3月から11月まで、販売する。花火大会の日などはアイスキャンディーだけで、10万円を売り上げることもあるという。
 「アズキ」「いちご」「ミルク」「オレンジ」「青りんご」の5品目がある。
 同べ−カリー専務の賤機秀和氏は「作りだめできるし、人手もいらない。材料原価も25%程度に抑えられます」と話す。
 水は、屋久島の縄文水を使用しているが、通常の水を使えばさらに材料費を抑えられるという。
 3月から11月までの約9カ月間のうち、7月中旬から9月いっぱいまでは、レジの横に冷凍ショーケースを置いて、店内に涼しさを演出している。残りの期間は出入り口脇に冷凍ショーケースを置いている。夏場の平均売上げは3万円〜5万円という。
 同べ−カリーはおよそ10年前に自家製アイスキャンディーの製造販売を始めた。現在べ−カリーを3店舗展開するが、アイスキャンディーは、本店に隣接するセントラル工場内で一括製造し、各店に運んでいる。
 自家製なら、味も自由に変えられるし、独自性も出せます。中間業者が入らないので、利幅も大きくなります。また、手の空いたときに作れるので、余分な人手はほとんど必要ありません。さらに販売ロスがないのもメリットです」と賤機さんは説明してくれた。
 「夏場はどうしてもパンの売上が落ちます。清涼感のあるアイスキャンディーは、暑い時期に人を集めるカはあると考えます。アイスキャンディー目当てに買いに来るお客様もいるように思います」とも。

原価計算女王
原価計算女王
3時間で300本作れる。専用の機械で製造する。

型に流し込む直前の原液


型に流し込んで凍結中の様子


固まったら型から外し、包装の準備


ひとつひとつ丁寧に包装する。


冷凍ショーケースで販売。
衛生管理が重要。作り方は簡単
 同べ−カリーでは、1日に1品目のアイスキャンディーをおよそ300本製達し、冷凍保存しておいて、毎日必要な数量だけ冷凍ショーケースに移す。
 作り方は比較的簡単だ。例えば、「アズキ」の場合、配合は、▼縄文水13500cc(9本)、▼水あめ1800グラム、▼グラニュー糖2750グラム、▼脱脂粉乳1000グラム、▼ユニアガー(乳化剤)50グラム、▼エキセル(乳化剤)32グラム、▼塩12グラム、▼ショートニング180グラム、▼あんこ9000グラム.
 直径約80センチほどの専用の寸胴形のボウルにまず水を投入し、機械にセット、およそ50度Cまで加熱する。次に残りの材料を投入し混合する。
 アイスキャンディーを作る上で最も気をつけなくてはならないのは菌の問題だ。
 保健所のチェックも厳しい。賤機さんによると、低温殺菌は78度Cの状態を30分キープしなければならないという。実際には80度Cを30分維持している。
 殺菌工程が済むと、原液を冷やす工程に入り、水道水の温度程度まで冷やす。そして専用の型に流し込んで、棒を差し込み、凍結用の装置にセットする。
 30分ほどたって固まったら、型から外し包装する。あとは冷凍庫で保存、必要な数量だけ冷凍ショーケースに移して販売する。
 1回で約100本が製造できる。効率的に作業をすれば、300本作るのに1人で約3時間程度しかかからないという。「菌の問題ですが、殺菌工程で菌はほぽなくなりますが、それ以降の工程で、人の手が触れて、菌がついてしまうこともあります。この点は注意が必要です.殺菌工程以降は、極力製品に直接手を触れないように注意します。もちろん、手を常にきれいにしておくことが大切です」と賤機さん。
 アイスキャンディー製造機への投資額は約400万円だったという。


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