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話題/2012年5月号

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ミニベーカリー開業支援プロジェクト‐おかやま工房のリエゾンプロジェクト

パン作り未経験でも、ベーカリーが開業できる
「ミニベーカリー」の厨房は4坪あれば足りるが、「ラ・スリーズ」の厨房は7坪と「ミニベーカリー」としては広い方だ
リエゾンプロジェクト事務局の福田忠志さん
 店舗面積7坪、日商10万円を想定した「ミニベーカリー」の開業が、話題となっている。この「ミニベーカリー」の開業支援を行っているのは、岡山県岡山市のベーカリー「おかやま工房」(河上祐隆社長)が3年前に立ち上げた「リエゾンプロジェクト」だ。
 「全国から問合せがあり、現在35店舗ほどが実際に開業しています。今夏には40店舗を超える予定です」と話すのは、同プロジェクト事務局の福田忠志さん。問い合わせの電話やメールの応対から、個別相談、開業準備、そして開業後のフォローまでを一手に担っている。
 同プロジェクトの申込者は、40〜50代のサラリーマン、30代後半の主婦、会社経営者などが多いという。こうした人たちのほとんどが、パン作り未経験者だという。
 「ベーカリーは職人の世界です。さらに添加物を使わずに作ろうとすれば、少なくとも3年以上は修行が必要になるのではないでしょうか。当プロジェクトでは、たった5日間の研修で、イーストフードや乳化剤などが添加されていないパンが作れるようになります。熟練した技術を持つ職人の『感覚の部分』がなくても、パンが作れるようになるんです」
 河上社長は、パン職人としての技術を持つ一方で、学生時代に得意としていた理数系の思考力を持つ。
 その理数系の考え方で、職人の「感覚の部分」を数値化してマニュアル化を図ったという。5日間の講習で、そのマニュアルを正確にこなしていけば、パン作りができるようになるという。

視覚化するために数値化された工程
 マニュアルの数値化は徹底している。
 「朝、厨房に入ってまずやることは、エアコンのスイッチを入れることです。長年の経験を持たずして、安定した品質を維持し続けていくために、工程中のパン生地の温度だけでなく、厨房内の環境も数値化し、目で見て確認できるようにしています。また、厨房内にはストップウォッチを最低6個は取り付けています。生地の状態を見て判断していくというよりも、時間の管理をしていくという感覚です。成形時は定規を当ててサイズを計ることは欠かせません。このように工程一つひとつを、数値で視覚化することが、当プロジェクトのパン作りの特徴です」(福田さん)
 さらに、初期投資額が少なくて済むというも、同プロジェクトの特徴だ。厨房機器や什器、店舗の内装費、従業員の研修費、同プロジェクト契約料などを含む初期投資にかかる費用は約1125万円。
 「ミキサーや一部の機器は、メーカーと独自に開発しました。このほか、冷蔵庫やオーブンなども当プロジェクトで指定のものがあります。すべての機材を小型化しているので、たった4坪の厨房でもパン作りが可能です。また、小型なので女性や年配の人でも扱いやすいという利点もあります」(福田さん)
 「安全でおいしい無添加のパンが、近所でも気軽に買えるということを、全国にもっと広げていきたい」。河上社長は、この思いで同プロジェクトを立ち上げた。
 ベーカリーの開業時に立ちはだかる主な問題は、資金と技術力。ましてや、「無添加、安心、安全にこだわったパン」を提供するとなると、高い技術力が必要とされる。
 河上社長は、自身でベーカリー「おかやま工房」を経営する傍らで、こうした問題点の解決策を探った。そしてベーカリーの開業を目指す誰もが、その夢を諦めることのないよう、開業と運営の新しい仕組みをつくったのだ。

元異業種会社員が開業。パン職人とは異なるベーカリーの捉え方
昨年7月に「ラ・スリーズ」を開業した櫻木幸人さん
陳列棚左手前の「ミルクバトン」(120円)と「いちごミルクバトン」(130円)は、合わせて1日70個売れる人気商品。1日に7回ほど焼きたてが並ぶ
平日は実弟と2人体制。週末は妻も加わり3人体制となることもある
「ラ・スリーズ」は京王井の頭線の浜田山駅からすぐの商店街にあり、人通りが絶えない立地
 同プロジェクトを利用して昨年7月、東京・杉並区の商店街に「ラ・スリーズ」を開業したのは櫻木幸人さん。櫻木さんはベーカリーとは全く関係のない異業種の、ある有名企業を辞めて、ベーカリーを開業した。
 「パン屋さんに来るお客さんは皆さん、本当に嬉しそうな表情をしています」。前職では、「お客さんの笑顔に触れることは皆無でした。開業して10カ月が経ちましたが、自分が作ったパンを喜んで買って下さるお客さんと、対話が弾むときに最もやりがいを感じます」と話す。
「当店で取り扱う商品は嗜好品ではなく、庶民が楽しむ日用品です。その日用品を、お客さんと対話を楽しみながら販売していると、『自分もお客様の生活の中にいる』という感覚が持てるんです」
 櫻木さんは、もともとベーカリーにこだわっていた訳ではなかった。
 社会人20年目の節目に「これまでの会社組織で取り組む大規模事業ではなく、小さくても全てが自己責任で完結する仕事がしたい」という思いを胸に、次の人生のステップを踏もうとした。そのときに、「おかやま工房」の河上社長が考案した同プロジェクトに出合った。
 「ベーカリーとの出合いは偶然だった」と話す櫻木さんの、ベーカリーの捉え方は、数年の修行を経て開業するパン職人とは異なる。
 「厳しい修行を何年も積んだ職人さんは、自分の製パン技術と商品に自信を持って独立開業という目的を果たすのでしょう。一方、私は製パンの素人です。リエゾンプロジェクトという手段を活用しながらベーカリーを生業にすることで、すべてが自己責任の仕事をするという目的が実現できたんです」
 朝は6時に厨房に入り、前日仕込んだ生地の成形から始める。天然酵母を使用した生地で作る食パンなどは当日仕込みだ。開店時刻に合わせて次々と焼成していくが、小型のオーブンで焼成していくのでどの商品も少数ずつ提供。その結果、1日中焼きたてが並んでいる状態を確保できる。
 1日に100個近く売れる1番人気の「さくさくメロンパン」(120円)は天板1枚に6個しかのらない。4段入るコンベクションオーブンで1度に焼けるのは24個だけ。
 午後3〜4時くらいから、焼成しながら次の日の仕込みを始める。始めた当初は夜10時半頃までかかっていたが半年経って作業に慣れ、今では夜8時までには作業を終えられるようになった。
 アイテム数は25種類とかなり絞っており、今後もそれ以上増やす予定はなく、むしろ減らそうと考えている。25のアイテムは、「おかやま工房」が育ててきたヒット商品だ。「パンは日用品」と考えて店づくりを進める櫻木さんは、定番のアイテムを最も重視する。
 「商店街にある当店のメインターゲットのお客様は、自分の母親世代と未就学児童を持つお母さんです。この方々に、末永く愛される商品を厳選して提供することが大切だと考えています。ベーカリー開業で重要なことは、こうした商品のニーズの確認を含め、出店に適した立地の選定だと思います」
 同プロジェクトは、「素人でもパン作りができ、開業できる」ということがセールスポイントになっている。「勘や経験が必要ない分、マニュアルに忠実に従うことが大事」と話す櫻木さんの作業する姿は真剣さに満ち溢れている。

ShopData
店名ラ・スリーズ
住所東京都杉並区浜田山3‐28‐9
電話03‐3316‐7717
営業時間午前10時〜午後7時
定休日月曜日
品目数25品目
店舗面積売り場3坪、厨房7坪
スタッフ2人
日商9〜9・5万円



コンベクションオーブンは、クロワッサンなどだけではなく、菓子パンや食パンなどあらゆる種類のパンが焼けるように進化しています。スチーム焼成が可能ものもありますので、ハード系も焼けます。

ブランスリー業者街のコンベクションオーブン特設会場をご覧下さい。


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